三重県松阪市では、救急搬送されても入院にまでは至らなかった場合、7700円かかることになるそうです。背景として、軽症での救急車の利用が増えていることがあり、これは松阪市以外の自治体でも指摘されています。
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そこで、以下のポイントを中心に詳しく解説します。
●「7700円」なぜ?
●呼ぶかどうか迷ったら
■三重・松阪市の救急搬送 7700円かかるケースとは?
「救急車で搬送されて7700円かかる」というのは、どういうことなのでしょうか。
対象になるのは三重・松阪市内の3つの基幹病院で、これらの病院に救急搬送された患者のうち、「入院に至らなかった」患者は1人につき「保険適用外の7700円」を支払うことになります。3月以降の周知期間を設けて、6月1日から始まります。
この7700円は、搬送料や救急車利用料として支払うのではありません。「選定療養費」です。本来は一部の病院に外来患者が集中することを防ぐためのもので、一定規模以上の病院では紹介状を持たずに外来で受診した患者さんは、支払うことになっている料金です。
ただし以下のようなケースは「選定療養費」の対象外となります。
・医師からの紹介状を持っている人
・医師が「この救急搬送は必要だった」と判断したケース など
■松阪市民は…「当然ちゃいますか」「7700円かかるのは結構大変かな」
松阪市民らはどう捉えているのでしょう。
松阪市民(22日)
「自分も救急車で運ばれたことが何回かあるんですけど、そのときも処置はしてもらったけど、入院することなく帰ったことがほとんどだったので、7700円かかるのは結構大変かな」
松阪市民(22日)
「当然ちゃいますか。救急隊員も大変でしょうし。呼んだはいいけど、タクシー代わりに使う人もいると聞くんで、有料にした方がいいと思う」
実家が松阪市の人(津市在住)
「入院するかどうかっていうのは緊急時にはわからないですし、それによって有料か無料か(判断)されるのは困るかな」
東京でも聞いてみました。
街の人(東京・有楽町、22日)
「7700円と聞くとやはり高いと思いますし、緊急を要する場合でも、ちょっと一度呼ぶのをためらってしまう」
街の人(東京・有楽町、22日)
「2000~3000円くらいだったら、ある意味、それぐらいはとるべきかなと思いますけど」
戸惑う人もいれば、金額によっては仕方がないという人もいました。
■なぜ有料に? 松阪市の救急車の出動件数が過去最多に…
では、なぜ有料にするのでしょうか。
松阪市によると、目的は、医師・看護師らの負担の軽減、救急医療体制の維持のためだといいます。
松阪市では、2023年、救急車の出動件数が過去最多の1万6180件となりました。これは、20年前の2倍以上です。危機感を募らせた市は2022年、今回対象となった3つの基幹病院に実態調査をしました。
それによると、平日の昼間に救急搬送された患者のうち入院した人は50.6%。さらに休日・夜間では37.1%だったことがわかりました。つまり、軽症者の利用が目立ったといいます。
そこで「このままでは限界を迎える」「助かるはずの命が助からない」ということで、今回の判断に至ったということです。
しかし、7700円がかかると思うと、本当に必要な場合もためらってしまうかもしれません。それでも市としては「まずは入院を基準にやっていくしかない」とし、その上でケースによっては「細かい対応も必要になってくると考えている」と話していました。
■海外では有料…救急車要請
実は海外では、救急車が有料のところが多く、たとえば中国の北京では約1000円(50元)です。搬送中の医療行為や距離に応じて追加料金がかかります。
アメリカのニューヨークでは日本円で約20万円(1385ドル)。こちらも搬送距離に応じて追加料金が発生するというものです。
イギリスのロンドンは無料ですが、たびたび救急がひっ迫するということで、よく考えてから呼んでほしいと注意を呼びかけています。
■東京でも…救急医療がひっ迫
実際、東京でも救急医療はひっ迫しています。
東京消防庁によると、2022年の救急隊の出動件数は87万件以上でした。このうち半数以上にあたる53.4%は、入院の必要がない軽症者でした。
では、救急車の出動が多いとどうなるのでしょうか。
救急車の到着にかかる時間に影響があります。出動件数がおよそ75万件だった2013年は7分54秒。これに比べて2022年は9分43秒と、2分近く到着が遅くなっています。
■救急車を呼ぶか迷ったら…「#7119」に電話を
救急車を呼ぶかどうか迷ったら、どうすればいいのでしょうか。
総務省消防庁は、救急車を呼ぶか迷ったら、まずは「#7119」に電話してほしいとしています。
「#7119」は、医師や看護師などが電話で症状などを聞きとり、緊急性の有無などを判断する相談窓口です。救急車を呼んだ方がいいのか、急いで病院に行った方がいいのか、受診可能な医療機関はどこなのか、といったアドバイスを受けられます。
しかし、全国どこでもつながるわけではなく、24地域でしか実施されていません(2023年11月現在)。(別の番号で実施している地域あり)
■こんな症状は…ためらわず救急車を
総務省消防庁は「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」をホームページに載せています。
たとえば「顔半分が動きにくい」「突然の激しい頭痛や高熱」など、具体的な症状が載っています。上記は大人の例ですが、高齢者や子どもの例も載っていますので、一度確認しておくのもいいかもしれません。
救急車の稼働にも限りがあるということを私たちも頭に入れて、1人でも多くの命を救うために、適正な利用が大事になります。
(2024年1月22日放送「news every.」より)
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