【解説】覚醒剤どう飲ませた? 検察の立証のポイント ”紀州のドン・ファン”殺害事件 元妻の初公判

 状況証拠をどれだけ積み上げられるのか。どう立証していくのかがポイントになるわけなんですが、大きくこちら3つのポイントが挙げられます。

 まず、「覚醒剤の入手経路を明らかにできるのか」。
 また「事故・自殺の可能性を排除できるのか」。
 3つ目は、「第三者の犯行の可能性を排除できるのか」です。

■覚醒剤の状況証拠は?

 まず、覚醒剤についてです。
 野崎さんの死因は急性覚醒剤中毒とみられていて、致死量の覚醒剤成分が検出されています。
 須藤被告は、密売人と接触の形跡があったということなんですが、日常的な使用の形跡はなく、ただネットで「覚醒剤」「完全犯罪」に関連した情報を検索していたことが明らかになっています。

 一方の野崎さんは、日常的な覚醒剤の使用の形跡はなく 注射の痕や吸引道具なども見つかっておらず、毛髪からも覚醒剤の成分が検出されていないということです。

 事故、つまり日常的に使用する中で誤って亡くなってしまったという 、そういった事故で亡くなった可能性はないという立証につながる、そういった状況証拠が示されるのではないかとみられています。

■自殺の可能性は?

 では、一方の自殺の可能性についてです。
 
 野崎さんは5月24日に亡くなりました。
 翌月の6月11日に死んだ愛犬のお別れ会を準備していて、盛大に行う予定でした。
 そんな中で自殺の可能性があるのかといったところを立証して、状況証拠として積み上げていくということです。

■事件当日に何があった?

 では3つ目、「第三者の犯行の可能性はないのか」。
 当日の経緯をご覧いただきたいと思います。

 家の中には、家政婦と須藤被告、野崎さんの3人がいたとみられていて、この家政婦さんは、午後3時ごろ外出し、午後7時頃に帰宅をしています。
 この4時間の間は、野崎さんと須藤被告は2人きりだったとみられています。

 それに加え、防犯カメラにはその3人以外映っていなかった、犯行時間帯とみられる間、外部からの侵入はないとみられています。

 ただ、これはあくまでも状況証拠ですので、弁護側はこうした状況証拠に対して無罪を主張するものとみられているんですが、ではそんな中、大きな争点となるのが「覚醒剤をどうやって飲ませたのか」という点です。

■覚醒剤をどうやって飲ませたのか?

 野崎さんは、致死量を超える覚醒剤成分が検出されていて、口から摂取したとみられているんですが、専門家によりますと、致死量の2.5グラム以上を一度に飲ませる必要があるが、これはだまして飲ませられるものではないということです。

 相当苦くて料理に入れたとしても味の変化で気づくのではないか。またカプセルも大きいものを5個以上続けて飲むのか、このあたりどんな主張を繰り広げるのか、注目です。

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