神戸市長田区にある和楽寺。
僧侶のティック・ドゥック・チさんは
２０１５年に留学生としてベトナムから来日。
日本で仏教の教えを知り、多くの人に伝えたいと出家しました。
僧侶になってからは日本で亡くなったベトナム人の葬儀を執り行ったり
技能実習生を中心に生活に困るベトナム人を寺に住まわせるなど
１００人以上を支援してきました。
【チさん】
「生活の中に困ることが多くなっている。
アドバイスとかサポート支援活動」
技能実習とは
開発途上国などの外国人が日本で一定期間（最長５年）働き、
技能を習得する制度です。
実際は、日本を支える労働力となっていて
去年１０月時点の技能実習生はおよそ３４万３千人。
その４割近くがベトナム人です。
この制度で働く多くの人が日本語の習得など
母国で１か月以上の研修を受けています。
研修や就職先を斡旋してくれる現地の送り出し機関に
ベトナムの実習生らは多額の手数料を支払っているのです。
【チさん】
「日本で仕事をするために
８０万や１００万借金をして（来日している）
毎月の手取りが１０万１２万円になったら
借金を返すのがすごく難しい」
出入国在留管理庁によりますと
ベトナム人技能実習生が送り出し機関へ支払った費用の平均は
およそ６５万円で物価が近いフィリピンのおよそ７倍です。
彼らの８０パーセントが
平均６７万円の借金を抱えて日本に来ています。
日本の労働者とは違い、自分で転職を決められない境遇も問題です。
【チさん】
「仕事で差別や、関係が良くなくなって
会社でうまく仕事ができなくなる。
皆さんが日本に来たばかりだから
言語の問題で支援やサポートを知らない」
制度上、職場を変えることは可能ですが
日本の監理団体が企業に問題があると認めない限り転職はできません。
【チさん】
「仕事ができないので収入が入らず生活も困る。
たくさんの人が失踪しました」
技能実習生の失踪者数の実に６割以上がベトナム人です。
なぜ、ベトナム人実習生に失踪者が多いのかー
外国人労働者の人材派遣業を営むグェン・ヴァン・トゥンさんです。
トゥンさんはベトナムにいる悪質な送り出し機関の存在を指摘します。
【トゥンさん】
「ベトナムのブローカーもいろいろ（問題が）ある
日本でする仕事の内容と
ベトナムで面接するときに（説明される）仕事と合っていない」
手数料を手に入れるためにうその説明をしていると言うのです。
【トゥンさん】
「きちんと仕事があって給料をきちんともらえば
トラブルや犯罪が起こらない。
聞いている話だと給料もらえない
残業しても給料を払わないだったり
人間関係やいじめられたりすることがあって
逃げてしまうこともある。
逃げてしまうと働く所が無くなるので犯罪しかできなくなる」
２０２１年に検挙されたベトナム人は１９０８人。
２年前と比べて１．５倍に増えていて、
その３分の１以上は万引きです。
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