福島第一原発の処理水の海洋放出に反発を強める中国では、訪日ツアーをキャンセルする動きが広がっています。実際に今、日本を訪れている中国人観光客はどのように考えているのか、取材しました。
■高まる半日感情「抗議ダイブ」「和食店破壊」
中国外務省 汪文斌副報道局長:「日本側は、直ちに処理水の海洋放出を取りやめ、責任ある方法で国際社会の懸念に対応すべきです」
処理水放出について連日、日本批判を繰り返す中国政府。風評被害を払拭(ふっしょく)しようと、岸田文雄総理大臣は、すべて福島県産の食材を使ったランチを食べ、その安全性をアピールしました。
岸田総理:「うん、歯ごたえが違うね。こりこり感。大変おいしいです」
しかし、中国では…。
中国のSNS:「私は怒っている!日本をやっつけてやる!」
橋の周りに集まった多くの人々。その視線の先にいるのは、一人の男性です。
次の瞬間、処理水放出に抗議するメッセージを大声で叫び、川に飛び込んでいきました。
この男性の他にも、次々と飛び込んでいく人々。さらに、日本風に装飾された店を破壊する男性もいます。
中国のSNSから:「日本に関係があるものすべてぶっ壊した!もう店をやらない!」
この男性は、実は店のオーナーです。
中国のSNSから:「もう中国料理の店にする!」
中国メディアによると、この店は今年5月にオープンしたばかりだという日本食レストラン。男性は「もう日本食は作らないという覚悟を伝えることが目的だ」と話しているということです。
別の飲食店では、批判を恐れたのでしょうか、ガラスに表示されている「日本」の文字をポスターで隠してしまいました。
さらに、日本にあるインターネットのルーター機器がハッキングされ、処理水放出に抗議する内容のメッセージが表示される事態も発生しました。
ハッキングされた画像:「私たちは日本政府による無責任な排出に反対し、行動を起こします」
■訪日団体旅行…変化は?日本産の酒購入も
中国では、今月10日に日本への団体旅行が解禁となりましたが、先週の処理水放出以降、日本行きの航空券の予約数はおよそ3割も減ったといいます。
そんななかでも、日本を訪れている中国人観光客。彼らは、処理水問題についてどう考えているのでしょうか?
富士山近くの観光スポットとして人気の山梨県「忍野八海」。処理水放出の3日後にあたる27日も、近くの駐車場には大型の観光バスがずらっと並んでいます。すべて海外からの観光客を乗せたバスだということです。
中国人観光客:「とてもいいです。5年ぶりに来ましたが、変わっていません」「1週間で50万円ほど使いました」「桃と旦那へのお土産に日本酒を買いました」
日本産のお酒を買う中国人観光客の姿がありました。都内では…。
■寿司店で“生もの”注文せず
東京・浅草の雷門前です。30日も、多くの外国人観光客でにぎわっています。
中国人観光客が続々と来店しているのは、回転寿司店。処理水放出決定を受け、日本の水産物を全面禁輸している中国。しかし、店内を見てみると、メニュー表に並ぶのは北海道産の貝や静岡産の魚など。このお店で使っているネタは、日本産が多いといいます。
処理水放出以降も、連日多くの中国人観光客が来店するといいます。
この中国人観光客は、回転寿司を食べるのは数年ぶりだといいます。
子ども:「これ(寿司)が好き」
母:「(寿司が)好きなの?」
子ども:「うん」
子どもが大好きなアナゴのお寿司を食べている一方、お父さんのほうを見てみると、入店してからわずか10分で約10枚数。その後も、お刺身や追加のお寿司を注文します。
中国人観光客:「サシミ!」
店員:「刺身?刺身一人前です!」
中国人観光客:「すごく、おいしい!」「とても新鮮でおいしい!」
帰るころには、お父さんの前には、なんと20枚のお皿が積み上げられていました。
中国人観光客:「処理水の問題、これはしょうがないことです。国が決めたことなので、私たちには何もできません」「私たちには問題ないので、食べます!」
寿司店に入り、まずカキフライを注文したのは、武漢から来た親子2人組。実はこの親子、どうしてもお寿司を食べてみたく訪れたものの処理水問題が勃発。根拠は無いものの、火が通ったものを食べようと揚げ物を頼んだといいます。
子どもが“ウナギ”を手にすると、火が通っているか心配する母親でしたが、2人で仲良く食べます。
母:「ウナギは問題ない?」
息子:「大丈夫でしょう」
息子:「(Q.味はどう?)すごくおいしい!初めて日本で回転寿司を食べたのですが、おいしくてよかった」
食事を終えた親子に、処理水問題について聞きました。
母:「このような回転寿司を食べたことがなく、(日本に来て)食べてみようと思いましたが、処理水の放出問題が怖く、今回は雰囲気を味わうために少しだけ食べました」
息子:「(Q.やはり処理水問題は気になる?)やっぱり怖いですね」
母:「(放出されてから)まだ5、6日しか経っていなくて、どのような影響が起こるか分からないです。2~3カ月経っても問題なければ、少しは安心すると思います」
■化粧品購入…自分はOK 土産は?
多くの外国人観光客でにぎわう東京・銀座。南京から家族で旅行中だという男性は、「化粧品も買いました」と話します。
しかし今、中国では、SNS上で日本の化粧品などを買わないよう呼び掛ける“不買リスト”が出回っているといいます。
中国のSNSから:「日本の化粧品やスキンケア用品を避けましょう」
男性も、化粧品を購入。自分で使う分には気にしないものの、友人に配る際には少し気を使うといいます。
中国人観光客:「自分と友達用に化粧品を買いました」
しかし…。
中国人観光客:「もし友達にお土産を配るなら、一応聞きます。友達が嫌かどうか。もし嫌がるなら、あげません」
■中国国内…空港と市街地で状況一変
北京空港で、これから日本へ旅立つという女性は、日本の海産物を気にせず食べるといいます。
日本へ旅行に行く中国人:「(Q.処理水の話が報道されていますが、気にしますか?)海を汚染する可能性はあるでしょうね」「(Q.日本では海産物はを食べますか?)別に気にせず食べますよ」
しかし、空港から市街地へ移動して話を聞くと、状況が一変します。
中国人:「(Q.日本の処理水について、どう思いますか?)本当に厚かましい!自分は生きたくないから、他の人も道ずれにしたいからでしょ。今後がとても心配です」「とても無責任だと思います」「(Q.これから日本の食品を食べますか?)食べません。不買です」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年8月31日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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