地球温暖化を止めるため、日本は温室効果ガスを2030年度までに「46%削減する」という新たな目標を掲げました。旗振り役の小泉進次郎環境大臣が、その本気度をオリンピックのメダルに例えました。
「くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。『46』という数字が。シルエットが浮かんできたんです」(小泉進次郎 環境相)
23日午後、私たちの単独インタビューに応じた小泉環境大臣。「浮かんだ」という「46」とは、各国の首脳が参加した「気候変動サミット」で菅総理が示した目標です。
「我が国は2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す」(菅首相 22日)
日本は、これまで2030年度までに「26%削減」を目標にしてきました。今回、菅総理はサミットで「46%削減」と表明、目標を大幅に引き上げました。アメリカは2005年に比べ50%から52%の削減、中国も二酸化炭素の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までに実質ゼロにすると改めて決意を示しました。
菅総理でさえ、達成は「容易ではない」と言う高い目標。産業界との板挟みになった経済産業省からは、こんな「恨み節」も漏れます。
「現実的には、どれだけ積み上げても30%台後半が限界だった。それ以上の数字は、環境省と小泉環境相が背負っている」(経産省幹部)
「旗振り役」の小泉大臣、そのような声は意に介さないようです。
「意欲的な目標を設定したことを評価せず、一方で現実的なものを出すと『何かそれって低いね』って。『金メダル目指します』と言って、その結果、銅メダルだったとき非難しますかね」(小泉進次郎 環境相)
小泉環境大臣は、温室効果ガス大幅削減の鍵は、再生可能エネルギーの活用だと強調します。
「窓の外に東京の代表的と言っていいのか、高層ビルがいっぱい並んでますね。この景色が変わりますよ。見てください、空いている屋根がいっぱいありますでしょ。太陽光をできる限り置いていきたい」(小泉進次郎 環境相)
これは、2030年度の温室効果ガスの削減目標を「26%」にしていた時の電源構成です。小泉大臣が希望を託す再エネは22%~24%程度。このうち、太陽光発電は7%に過ぎません。46%を目指すには、かなりの増設と費用負担が求められます。
一方で、避けて通れないのが温室効果ガスの排出量を抑えられるとされる原子力発電の扱いです。現在、建設中も含め全国に36基ある原発のうち9基が再稼働しましたが、果たして「46%削減」という高い目標の達成に向けて、さらに再稼働を進めていくのでしょうか。
「再生可能エネルギーを優先するなかでも、あと9年しかない。原発に頼っていく可能性はありうる?」(小川彩佳キャスター)
「再エネを出来るだけ入れていく。もしも(再エネが)入らなければ、他の電源をどのように活用するかという話になる」(小泉進次郎 環境相)
本格導入が2030年代以降と見込まれている「洋上風力発電」や、天候に左右されやすいなどと言われる「太陽光」。削減目標が達成できるかどうか、これからが正念場です。(23日23:54)
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