コロナ犠牲者が残した“最後のLINE”

新型コロナ「第3波」が猛威を振るっていた今年1月、東京では、診察も受けられないまま自宅で死亡する人が相次ぎました。ある男性が死の直前まで友人に送っていたLINEのメッセージは、医療崩壊の恐ろしさを浮き彫りにしていました。

 〈なんか、コロナになったかも。辛子明太子を食べたら辛くないのです〉

 新型コロナ「第3波」の真っただ中にあった今年1月、ある男性が友人に送ったメッセージです。

 〈全身が痛くて起きられない〉
 〈はやく病院行ったら。本当にいきなり、急変して死んじゃった人いるからさ〉(友人)

 映画のプロデューサーとして活動していた及川淳さん(60)は、このやりとりの数日後、東京・新宿の自宅で亡くなっているのが見つかりました。検査も治療も受けられないまま、一人暮らしの自宅で容体が急変。死亡した後の検査でコロナへの感染が判明したのです。こうしたケースは第3波で急増し、1月には、警察が把握しているだけでも76人に上りました。

 及川さんが亡くなる直前までLINEでやりとりをしていたのは、友人で仕事仲間でもある杉本正幸さん(61)です。

 「(及川さんと)ここのスタジオにお世話になった。本当に(映画の)できあがりを楽しみにしていた」(杉本正幸さん)

 当時、2人が制作中だった映画が完成間近で、去年の大晦日に映画関係者や俳優らとの会食をしていました。

 「年末に会食した時に一緒にいた方について(及川さんは)『あの人大丈夫かな』と話していたので、どうしてって聞いたら『なんか咳出ているし』という感じで話していました」(杉本正幸さん)

 会食メンバーの中に、せきこんでいた人がいたということで、及川さんが体調の異変を訴えたのは、その2日後のことでした。

 〈具合は、どうですか?〉
 〈痛くて七転八倒・・・食欲はゼロです〉(及川さん)

 悪化の一途をたどる様子を見かねた杉本さんは、とにかく病院に行くよう勧めます。及川さんは発症から3日後、ふらつく体で自宅近くの病院に向かいました。

 「及川さんは自宅近くのこちらの大学病院を歩いて訪れました。しかし、受診することはできませんでした」(記者)

 当時、この病院では外来の診察を制限していて、検査すら受けることはできませんでした。

 「すごく怒って『病院の意味ないですよね』って、写真入りで僕に送ってきてました」(杉本正幸さん)

 〈頑張って病院に来たら、コロナは受付しないと言われて保健所に連絡してください、と言われました〉(及川さん)

 気力と体力を振り絞って向かった病院で診察を断られ、保健所に連絡する気力もなかったのでしょうか、そのまま自宅で横たわっていた及川さんの容体は、3日後に急変します。

 〈杉本さん、身体中が痛くて会話になりません。メールもまともに打てません。いきを吸うとハアハアせきが止まらなくなります〉(及川さん)
 〈肺炎起こしていたら、本当に死にますよ〉

 杉本さんのメッセージに及川さんが反応することはなく、翌日、自宅で亡くなっているのが見つかったのです。

 「耳に残っています。及川さんの言っていた言葉、『門前払いですよ』って。病院から門前払いされれば、具合が悪くない人でも悪くなっちゃう。亡くならないでいい人も亡くなっちゃうと思うんですよ。本当に無念。あの時に動けて歩けた時に絶対助かったはずだから」(杉本正幸さん)

 及川さんが「門前払いにあった」という病院はJNNの取材に対し、「個別のケースについては答えられない」としています。ただ、当時、東京では、この病院に限らず、多くの医療現場は極限状態でした。

 「既に医療崩壊の状態になってきています。医療崩壊から医療壊滅になってしまうおそれがあります」(中川俊男 日本医師会会長 1月13日)

 友人の死によって、まさに「医療崩壊」の怖さを経験した杉本さん。自身も念のためPCR検査を受けると、結果は陽性。さらに・・・

 「生まれて初めて、あんな痛み味わったことないくらいの。“これはこのまま死ぬな”って感じ」(杉本正幸さん)

 入院できないままコロナと闘っていた杉本さんは、血栓による心筋梗塞を発症したのです。救急車を呼びましたが・・・

 「(救急車は)ここに止まった。(救急車が)1時間ちょっと、ずっと動かない。(救急隊員が)『もう少し我慢して下さいね』って」(杉本正幸さん)

 一刻も早い治療が必要な心筋梗塞。しかし、受け入れ先の病院が1時間以上も決まらず、結局、杉本さんの心臓は壊死が進んで後遺症が残りました。

 当時、東京では・・・

 「医療提供体制がひっ迫をして、通常の救急医療も含めて危機的な状況にある」(小池百合子知事 1月14日)

 コロナだけでなく、一般の救急医療も危機に瀕していたのです。救急車からの要請が5つ以上の医療機関に断られるなどしたケースは、都内で1月には1日あたり110件を超え、心疾患の救急病院については、多いときで14の病院が急患の受け入れを停止していました。

 「救急車ってすぐ走り出せるものだと思っていた。『この状態でこんなに待っていることがおかしいんだ』と(救急隊が)言っていた。『心臓なので、死なないで助かったこと自体が奇跡だ』と医者からは言われた」(杉本正幸さん)

 自分が救急車に乗せられて初めて感じる恐怖。“救えたはずの命”が失われ、通常の医療も受けられない非常事態は、第3波の東京で実際に起きていました。第4波に同じ悲劇が繰り返されないよう、今、感染拡大を食い止める対策は待ったなしです。(04日23:18)

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