トキソプラズマ症

トキソプラズマ症, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=373252 / CC BY SA 3.0

#寄生虫病
#人獣共通感染症
#寄生虫学
トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)による原虫感染症である。
世界中で見られる感染症で、世界人口の3分の1が感染していると推測されているが、有病率には地域で大きな差がある。
健康な成人の場合には、感染しても無徴候に留まるか、せいぜい数週間のあいだ軽い風邪のような症状が出る程度である。
しかし臓器移植後やエイズ患者など、免疫抑制状態にある場合には重症化して死に至ることもあり、重篤な日和見感染症といえる。
重症化した場合には、脳炎や神経系疾患をおこしたり、肺・心臓・肝臓・眼球などに悪影響をおよぼす。
また、妊婦が初感染すると胎児が先天性トキソプラズマ症を発症する場合がある。
予防するためのワクチンはない。
トキソプラズマはアピコンプレックス門に属する単細胞生物である。
以下の3つの形態をとる。
トキソプラズマは人間を含む幅広い温血動物に寄生するが、終宿主はネコ科の動物である。
人間への感染経路としては、シストを含んだ食肉やオーシストを含むネコの糞便に由来する経口感染が主である。
オーシストは耐久性があるので、直接糞便に接触しなくても、土壌を経由して野菜や水を汚染する場合がある。
その他に妊婦から胎児への経胎盤感染がある。
おそらくほぼ全ての哺乳類・鳥類がトキソプラズマに感染する可能性があり、したがって食肉は種類によらず感染源になりうる。
とくに羊肉・豚肉・鹿肉など、高頻度にシストが見付かるものもある。
感染動物由来の食肉を生食したり加熱が不十分だったりすると、感染の原因となる。
食肉そのものだけでなく、包丁やまな板などが汚染されて、それが他の食材や手を汚染することもある。
例えばネコの糞便中のオーシストが付着した物質を食餌としてネズミが食べることで感染し、ネズミの体内に形成されたシストはネコがネズミに噛み付くことで取り込まれる、という具合に生活環が成立していると考えられる。
人間への感染経路としては、飼い猫のトイレ掃除、園芸、砂場遊びなどで手に付いたオーシストが口に入ることが考えられる。
感染は通常腸管で起こるが、マクロファージに侵入し血流に乗って全身へ広がることができる。
このとき宿主が妊娠していると、胎盤を経由して胎児に伝染する場合がある。
伝染のリスクは感染時期によって異なり、妊娠初期の感染では低率で、しだいに増加し妊娠末期ではリスクは70%に達する。
ただし、胎児の症状は感染時期が早いほど重篤になる。
臓器移植や輸血によって感染した例が知られている。
また実験中に誤って注射したり、飛沫が眼や鼻に入って感染した例もある。
初感染でも、およそ8割の場合は発熱もなくリンパ節が腫れる程度でほとんど気付かれない。
残り2割程度では、リンパ節の腫れや発熱・筋肉痛・疲労感が続く亜急性症状が出て、そのあと緩やかに(1ヶ月程度で)回復する。
この間、患者は単球が増加しており、伝染性単核球症と似た徴候を示す。
普通は治療の必要がない場合が多い。
しかし、まれに急性症状を示す患者がいる。
この場合は眼(脈絡網膜炎)、心臓、肺などに病変が起き、神経系に症状が出る場合もある。
血液中に原虫が認められる虫血症(parasitemia)も長引き、尿や唾液のような体液にも原虫が出現する。
いずれの場合でも組織中にシストが生じて慢性感染に移行する。
シストの検出は難しい。
慢性感染になった場合の治療法は確立していないが、特に症状が出るわけではないので問題になることは少ない。
トキソプラズマの慢性感染が宿主に影響を与えるという研究報告がいくつかある。
疫学的な研究により、トキソプラズマ陽性だと男児が生まれやすいという結果が得られている。
トキソプラズマに感染したマウスはネコのフェロモンを恐れなくなる(猫の尿の匂いに引き寄せられるようになる)。
これはネコを終宿主とする原虫にとっては都合がいいと思われる。
詳しい機構はわかっていないが、ドーパミン量が多くなっていることと関係があるかもしれない。
トキソプラズマの慢性感染によりヒトの行動や人格にも変化が出るとする研究報告もあり、男性は反社会的に女性は社交的になる、男性はリスクを恐れなくなる・集中力が散漫となる・規則を破る・独断的・反社会的・猜疑的・嫉妬深い・女性に好ましくない、女性は社交的・ふしだら・男性に媚びをうる、などの傾向が見られる。
近年の研究によっててんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、双極性障害、パーソナリティ障害、間欠…

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