過去最多56人が立候補した今回の東京都知事選。選挙ポスターをめぐっては、同じデザインのポスターがずらりと並ぶ、異例の光景が広がっています。
都知事選の選挙ポスターの掲示板です。ある特定の政治団体が、25番から48番まで24枚分のスペースを占める形となっています。
一体、何が起きているのか。実はこの行為は、立候補者の半数近くを擁立する、ある政治団体が呼びかけたもので、この政治団体に寄付すれば、掲示板の1ヵ所で最大24枚、自作のポスターを貼れる権利が与えられるといいます。
ポスターに写っているのは、候補者とは全く関係のない人物やペット、生き物のイラストなどです。女性専用風俗の広告もありましたが、おととい警視庁が警告し、撤去されました。
では、ポスターの位置はどうやって決まるのでしょうか。告示日の午前8時半、すでに届け出に並んでいる人の中で、くじ引きによって番号を決めます。それ以降は先着順になるとのことです。
こうしたポスターの枠をめぐって、都知事選を取材したABCテレビ・木原善隆コメンテーターは…
「この政治団体は『U字型』になるよう25番から48番を取るために抽選には参加せず、抽選が終わった後、25番の順番がきたときに24人分まとめて並んで、提出手続きしました。この政治団体は、4年前の都知事選ときにも同じようなことしています。そのときは3枚だけだったんですが、掲示板のど真ん中にくる3枠を確保したんです。ただこの時は『掲示板の枠を寄付の形で事実上売り出す』ことはありませんでした。今回、選管は対策を講じ、掲示板の番号について『1番を真ん中付近』にし、午前8時半に来て並んだ人たちが中央に来るよう工夫をしました」
「ところが、この政治団体はその裏をかいて、24番から48番を『U字型』に占領しました。イタチごっこです。ただ全ての掲示板がジャックされているわけではありません。私は今回、約30ヵ所の掲示板を見てきましたが、『ジャック』されていたのは3ヵ所でした。その政治団体も『1万4000ヵ所のうち1000ヵ所ぐらいしかまだ申し込みがない』と言っていました。9割以上は寄付がされていないということです」
「結果として、掲示板の枠が足りなくなって、数人の方はクリアファイルで横に付け足さなくてはいけなくなるという事態になりました。これでは平等性の観点からも問題があります。この選挙が終わった後に、制度改正もあるだろうし、そもそも掲示板がそんなに必要なのかどうかっていう議論にもなってくると思います」
林官房長官は21日、ポスター掲示板について「候補者以外が使用できるものではない」とする一方で、「記載内容を直接制限する規定はない」と述べています。
木原コメンテーターは「こうした結果として、掲示板の枠が足りなくなり、クリアファイルを貼り付けて対応する事態となっている。これは平等性の観点からも問題があると思う。この選挙が終わった後には、法改正の議論もあるだろううし、そもそも掲示板がそんなに必要かどうかっという話にもなってくる」として指摘します。
(『newsおかえり』2024年6月24日放送分より)
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