【溶連菌】20代~40代の患者急増「人食いバクテリア」 風邪の症状も「手足の痛みや腫れに注視して」と専門家【コレ知り】 (2024年4月1日)

近年急拡大している「人食いバクテリア」。「溶血性レンサ球菌」通称・溶連菌によって引き起こされる病気です。溶連菌に感染すると、多くの人は喉の痛みや発熱など風邪の症状が出ますが、まれに劇症化することがあります。これが劇症型溶血性レンサ球菌感染症(人食いバクテリア)なのです。愛知県立大学看護学部の清水宣明教授に、人食いバクテリアの特徴や対策方法について解説してもらいました。

症状を確認してその日のうちに命を落とすケースも

初期症状は手足のズキズキした強い痛みや腫れ、発熱などです。進行すると皮膚や筋肉の壊死、多臓器不全などを引き起こします。これが「人食いバクテリア」といわれる由来です。感染症の大きな特徴は進行速度と致死率。清水教授によると、朝に手足の痛みを感じて病院を受診したものの、抗生物質が間に合わず夜には命を落としたケースもあるそうです。そして致死率は3割以上ともいわれています。

イギリス株の溶連菌が関係している可能性

人食いバクテリアの患者数は、2014年から徐々に増加しています。コロナ禍には一時的に下がったものの、2023年は過去最多の941人が感染。2024年からはさらに急拡大していて約2カ月半で517人とすでに2023年の半数を超えています。

増加した詳しい理由は分かっていませんが、清水教授によると「イギリス株の溶連菌が関係しているのでは」と話します。イギリス株は2014年ごろから国内に入り、従来の株より毒性や感染力が強いといわれています。これにより患者の母数が増え、劇症化する人の割合も増えたといいます。

手洗いうがいなどの基本的な感染対策が重要

感染経路は鼻やのどの粘膜からの「飛沫感染」とけがの傷口や手術によって体内に入り込む「接触感染」です。そのため基本的な手洗いうがいを呼びかけています。こちらも理由は分かっていませんが、国立感染症研究所によると20代~40代の患者が多くなっています。基礎疾患の有無にかかわらず、症状が重くなってしまうそうです。

“後回し”はとにかく危険、早めの受診を

清水教授は「後回しはとにかく危険。症状が出たらとにかく早めの受診が必要」と話します。病院によっては症例が多くないため、初期症状で風邪と診断されることも。ただ、進行速度が非常に早い病気なので風邪と診断されたあとも、念のため手足の痛みや腫れがひどくなっていないか注視してください。もしものときは、来院前に電話で症状を伝えると受診がスムーズです。

今後さらなる感染拡大が心配されます。正しい知識を持っておくと命を救うことにつながるかもしれません。

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