「止まらない兵器開発」戦争のたびに投入される新兵器…その背景は【風をよむ】サンデーモーニング

いまも激しい戦争が続くウクライナ。こうした戦争の行方を左右するのが、最新鋭の兵器です。

紀元前からも続く兵器開発
古代エジプトの王・フォラオを載せて走る2頭立ての戦車。紀元前14世紀のツタンカーメン王の棺に描かれたもので、当時の戦争に使われた“最新兵器”です。

それから、3300年余り… 

ずらり並んだ最新兵器。8月14日、モスクワ郊外で、ロシア製兵器などを展示した見本市が開幕しました。

新しい戦争のかたち“ドローン戦争”
同時に開かれた安全保障に関する会議には、中国やベラルーシの国防相ら、各国の軍事関係者が参加。この場でプーチン大統領が強調したのは、無人機の重要性でした。

プーチン大統領「特に注目されるのは無人機だ。この分野は軍民ともに活発に開発が進められている」

ウクライナ情勢では無人機を用いた攻撃が連日繰り返され、モスクワの大統領府にまで。

高性能ミサイルと比べ、はるかに安価な「ドローン戦争」の様相を見せ始めています。

実際、歴史を振り返っても、戦争や紛争のたびに人類は、様々な兵器を導入してきました。

科学技術の発展はついに“原爆”まで
第一次大戦では、「戦車」や「毒ガス」といった新兵器が使われ、第二次大戦では、都市を丸ごと火の海と化す、「爆撃機」による空爆で、多くの市民が犠牲になりました。

その後もとどまるところを知らない兵器の開発競争。その究極が…
「原子爆弾」でした。

原爆の生みの親とされるオッペンハイマー博士。7月から、アメリカで
その半生を描いた映画が公開され話題になっていますが、彼は晩年、自ら生み出した兵器の恐ろしさを憂い、こんな言葉を残しています。

オッペンハイマー「原爆が世界を変えてしまうことは分かっていた。私は死神、世界の破壊者となった」

兵器はもう自動?AI兵器の出現
そして今、さらに戦争のありようを一変させる技術として、火薬、核兵器に続く「第3の軍事革命」とも言われるのが、AI兵器です。

見た目は普通の小銃ですが、実はこれはイスラエルの軍事会社が開発した“AI銃”。

相手に一度照準を合わせると、AIが、400メートル離れていても敵を自動で検知。風速なども計算して、標的を自動で狙うとしています。

科学技術の進歩を利用し、次々と開発される新兵器。2023年3月、日本で開かれた防衛装備品見本市でも…

エアロバイロンメント担当者「スイッチブレード(自爆型ドローン)をウクライナに提供して使用されています。間違いなくウクライナの助けとなっている」

現在ウクライナで使われている様々な兵器。その開発・製造に携わった企業に巨額の投資マネーが流入し、ロッキード・マーチン社の株価は、去年末、過去最高値をつけました。

兵器開発の裏にうごめく“軍産複合体”
以前から、こうした軍需産業と、軍部などが深く結びつき、政治に影響力を持つ「軍産複合体」の危険性が指摘されてきました。

1961年、当時のアメリカ・アイゼンハワー大統領は退任演説で、こうした軍産複合体が歯止めなく膨張を続ける危険性を訴えたのです。

アイゼンハワー大統領「政府を預かるものは、“軍産複合体”が不当な影響力を獲得することを警戒しなければならない」

それから半世紀余り、実際、世界の軍事費は増加の一途をたどり、去年の軍事費はおよそ300兆円となり、過去最高を更新しています。

兵器開発の恐ろしさをいまに伝える戦争遺跡
終わりの見えない兵器の開発。その愚かさを象徴するような場所があります。

スタッフの案内「ここが勤めた人たちが弾薬庫と呼んでいた場所です。爆薬や細菌兵器だとかを貯蔵する場所だったのではないかと」

川崎市にある「登戸研究所資料館」。かつてこの場所にあった旧日本陸軍の登戸研究所では、生物兵器や電波兵器、そして風船爆弾に至るまで様々な秘密兵器の開発や製造が行われていました。

こうした兵器に加え、当時の日本は、別の場所で原爆研究まで行っていました。

ではなぜ、こうした兵器開発に、歯止めがかからなかったのでしょうか。

資料館展示専門委員・渡辺賢二さん
「普通はやっちゃいけない細菌兵器とかそういうものも研究開発していた。平時じゃちょっと考えられない。人間というのはどんどん変になっていく、これが戦争ではないかと思います」

科学技術を利用して、際限なく新兵器を生み出し続ける世界。そうした状況が変わる日は来るのでしょうか。

(「サンデーモーニング」2023年8月20日放送より)

▼TBS NEWS DIG 公式サイト https://newsdig.tbs.co.jp/

▼チャンネル登録をお願いします!
http://www.youtube.com/channel/UC6AG81pAkf6Lbi_1VC5NmPA?sub_confirmation=1

▼情報提供はこちらから「TBSインサイダーズ」
https://www.tbs.co.jp/news_sp/tbs-insiders.html

▼映像提供はこちらから「TBSスクープ投稿」
https://www.tbs.co.jp/news_sp/toukou.html

#ニュース #news #TBS #newsdig

powered by Auto Youtube Summarize

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事