「台湾総統選挙の情勢と中台関係の行方」(近藤伸二さん)2023年12 月11日

「台湾総統選挙の情勢と中台関係の行方」
近藤伸二さん2023年12 月11日@「ジャーナリズム研究 関西の会」
内容
( 1 )蔡英文の政権運営

〇蔡英文の政権運営
・内政は各種の改革に取り組む
年金改革、働き方改革、同性婚合法化、脱原発、「移行期の正義」、「新南行政策」・中台関係は冷却化
・中台対話は断絶。ペロシ米下院議長訪台で中国が大規模軍事演習。国交のある国は
22カ国から13カ国に減少
・米国との関係は良好
大統領就任前にトランプと電話会談米国は台湾を優遇する各種法律を制定台湾への武器売却も活発化
〇各政策に対する評価(台湾民意基金会世論調査)
・対中政策=満足34.5 %、不満足55.4%
・経済政策=満足35.8 %、不満足56.7 %
・政策全体=満足37.1 %、不満足57.4%
・蔡英文総統の評価=良い38.6%、悪い53.6 %
・民進党政権継続を楽観視するか=楽観視する34.7 %、楽観視しない53.5 %
・政権交代を「望まない」27.8%、「望む」46.2% (美麗島電子報世論調査)
〇歴代総統の支持率
・蔡英文は1期目は低く、1期目終盤から2期目の初めにかけて急上昇。その後はアップダウンを繰り返す。陳水扁、馬英九は1期目途中から低空飛行が続き、任期終了前はレイムダック状態

( 2 )総統選の情勢

〇各党の候補者は、与党・民進党は頼清徳副総統、最大野党・国民党は侯友宜・新北市長、第三勢力・台湾民衆党は柯文哲・前台北市長に決定。国民党の予備選で敗れた鴻海精密工業創業者の郭台銘は署名を集めて無所属で出馬の構えを見せる
〇 11月に国民党の馬英九前総統を仲介役として国民党と台湾民衆党の候補一本化を調整。いったん合意したものの、協議は決裂。郭台銘氏は撤退し、三つどもえの争いが確定
〇 3候補の支持率の推移
・春ごろは柯文哲が首位に立ったこともあったが、夏以降は頼清徳がリード。野党候
補一本化合意破綻後は柯文哲氏の支持率が低下

( 3 )候補者のプロフィールと政治的立場

〇頼清徳(民進党)
64歳。腎臓内科医。立法委員(国会議員)、台南市長、行政院長(首相)などを歴任し、完璧なキャリア。独立志向が強いが、現状維持路線継承を表明
〇侯友宜(国民党)
66歳。警察畑を歩み、49歳で警察部門トップに就任。新北副市長として政治の道を歩み、現在新北市長2期目
〇柯文哲(台湾民衆党)
64歳。救急外科医。台北市長を2期8年務め、その間に台湾民衆党を設立し、党主席に就任。二大政党制を批判して、中間路線をアピール

( 4 )選挙戦終盤の焦点

〇投票日までの注目点
・野党支持者の間で「棄保効応」(投票乗り換え現象)が働くか
・郭台銘氏がどちらかの野党候補支援を表明するか
・中国が何らかの「介人」をするか
・各候補者に致命的なスキャンダルが発覚するか
〇2000年台湾総統選の結果(三つどもえ対決の参考例)
・与党・国民党は連戦氏を公認候補に決定。大衆的人気があった宋楚瑜氏は無所属で出馬し、国民党が分裂。野党・民進党の陳水扁氏が「漁夫の利」
・得票率は陳水扁39.3 %、宋楚瑜36.8%、連戦23.1 %

( 5 )選挙戦後の展望

〇民進党が政権維持の場合
頼清徳政権は「現状維持」を掲げ、米国や日欧などとさらなる関係強化に動く。中国とは対話断絶状態が続く。台湾海峡が緊張する事態も。台湾を巻き込んで、米中対立はさらに激化
〇野党が政権奪還の場合
中国との対話復活に動き、中台の経済交流が活発化。中国が統一に向けた政治協議を迫ったりすれば、摩擦が生じる恐れも。米国との関係は維持するが、対中制裁などを求める米国と反発する中国の間で板挟みになる可能性も

( 6 )立法委員選の情勢

〇立法委員選制度はかって定数225だったが、2004年以降は定数113に。中選挙区比例代表制( 1票制)から小選挙区比例代表並立制( 2票制)に
〇民進党、国民党ともに過半数( 57議席)に達しない見通し。現有5議席の台湾民衆党が上積みする勢い。キャスティングボートを握る可能性も
〇民進党「完全執政」支持31.6 %、不支持59.0 %。与党が強大になることの警戒感

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