【やりたくなる…】再び、覚醒剤に手を染めた女性受刑者たち。身近に潜む実態と薬物依存の恐怖。

「ダメ。ゼッタイ。」厚生労働省が進める薬物乱用防止の普及運動が6月20日から始まっています。覚醒剤に手を染め、人生が一変。薬物依存と向き合う女性たちのいまを追いました。

関西唯一の女子刑務所。和歌山刑務所。現在、300人の受刑者が収容されている。今年1月。出所後、就職を希望する受刑者と、採用を検討する企業との面接会が開かれた。面接に臨むのは窃盗・詐欺、そして覚醒剤に手を染めた受刑者12人。

(女子受刑者)
「罪名ですか?覚醒剤です 同じです 一緒です」

3人とも覚醒剤に手を出し、服役している。

(女子受刑者)
「(覚醒剤が)欲しいんやけどって言われたら分かった、探すわとか、言って…。

「(覚醒剤が)近寄ってくるんですよ。近寄ってくる?(覚醒剤を)やめたくても寂しい時とか、向こうから近づいてくるみたいな、気づいたらやってしまうみたいな」

自身の過去を、赤裸々に語るこの女性。出所後、再び覚せい剤に手を出し服役している。刑務所では薬物依存への回復にむけた治療や教育を行う一方で、出所後の不安を隠せない、受刑者も…

Q:断ち切れそうですか?
「そうですね…今の自信は80%くらいですかね」

Q:残り20%はまだ不安?
「出てからどうなるのかなという不安があります、やめられないとかではなくて、どういう自分で生活とかができるのかなって、まだ自分が見えない世界なので、はい…。
出てからどうなっていくっていう不安がちょっとだけあります。」

大阪府警によると、2018年からの5年間で覚醒剤取締法違反の検挙者数は減少傾向にある一方。10人のうち7人が、再び覚せい剤に手を出すなど、再犯率は高止まりが続いている。

堺市でスナック店を経営する中野瑠美(なかの・るみ)さん。中野さんは過去に覚醒剤を使用したなどとして4回逮捕され、のべ12年間、刑務所に服役した。

(#中野瑠美さん)
「彼氏に振られてどうしようもない気持ちでお酒に逃げたんですけど、お酒だけで堪えられへんようになって、覚醒剤に手を出してしまった。

小さいころの夢は器械体操の選手になること。21歳の時。覚醒剤に手を染め、人生が一変。

Q:自分が覚醒剤に手を出すと…
(中野瑠美さん)
「思っていなかった??全然思っていなかったし、一回でやめると思っていたんです、一回だけやったらやめると決めていて、一回やったら冗談じゃないくらいやめられなくなって、悩んだやりながら悩んだ…。やめたいと思っても体がしんどくなるから、もう一回買いに行って、これを最後にしようと思って買いに行くんですよ。それが何回も繰り返して結局、やめられなくて」

逮捕と刑務所暮らしを何度も繰り返した中野さん。変わったきっかけは、“家族の存在”だった。

(中野瑠美さん)
「3回目の時に(服役した時)に次男坊が少年院入ったんですね、先生が面会に来てくれて「おかんに会いたい」って言ったらしいです。その時に、子どもにごっつい思いさせているなと思って。辛かった顔していたよと聞いて、自分一人のことばっかり考えて子どものこと考えてなかったなと思って、それは大きいきっかけになったと思う」

37歳で服役を終え、覚醒剤を断ち切ってから、今年で14年。人生のリスタートにオープンした店で、家族のようなスタッフと共に歩んできた。

(中野瑠美さん)
「自分がちょっとしたことで、覚醒剤でこけてしまったら、お店もつぶれるし、あの店で働いていた女の子やろって指さされることになるじゃないですか、責任がすごく大きくなって、もうしょうもないことに心を揺れている暇がない。店がなかったらもう捕まって刑務所の中にいてると思う、女の子らの生活も支えるけども女の子らに私も支えてもらって、今があるかな~って。宝物やね」

家族や仲間の支えもあり、立ち直った今。自身の過去の経験から、いまは薬物依存に苦しむ人たちの更生を支える立場に。支援をしている中で、危惧しているのは、覚醒剤がより身近に潜んでいること。

「ネットでパンパン買えると聞いて、すごい世の中になったなと思うのと、ネットで買うほど怖いものはないと思って」

巧妙化している覚醒剤の手口。隠語を使ったSNS上での取り引きに、捜査関係者も「SNSの普及で捜査そのものが難しくなっている」と話す。

(60代女性)
「大阪だな~都会だな~って思いますね。人が多い方が良いと思う、私」

3か月前から、大阪市内に住む60代の女性。彼女もかつて覚醒剤取締法違反で2回逮捕され、刑務所に服役していた経験を持つ。

(60代女性)
「夫と知り合ってなかったらまた人生が違ったんだろうけど、たまたま自分から声をかけた人がそういう人だった」

初めて覚醒剤を使ったのは50歳の時。当時の夫に勧められたのがきっかけだった。

(60代女性)
「癖みたいな感じ、理屈じゃなくてやめられない」

実はこの女性、わずか3か月前に出所してきたばかり。縁もゆかりもない大阪を再出発の地に選んだ。彼女を大阪に迎え入れたのが美容室や居酒屋を経営している黒川洋司さん。

黒川さんは、10年前から元受刑者や少年院を出た若者の更生支援を続けてきた。活動を続ける中、女子刑務所で出会った高齢の女性をこの春、初めて受け入れることに。

(黒川洋司さん)
「今、高齢者も再犯もすごく社会問題になっているので、全体的にどうしても社会的弱者が暮らしにくい社会になっているのが再犯も虐待も自殺も全ての根源がそこやと思うんで。

覚醒剤に手を染めていた環境を断ち切るため女性に仕事や住まいを提供し、四六時中、行動を共にしている。

(黒川洋司さん)
「再犯する人って孤立している人が多いですし、一人だとやっぱりどうしても厳しいと思うんですよ、一人で断ち切るというのは、でも薬物を全くしていない人の中で、
関わることができたらそれ以上にやりたいことが見つかるんじゃないかなと僕は思うので、環境を変えるのが大事かなと思う」

出所してまだ3か月―。初めて暮らす大阪で薬物依存と向き合う彼女は今何を思うのか。

(60代女性)
「どうしても何かイライラすると(覚醒剤を)使いたいなとなる。頭では分かっているんですよ、良くないことだって分かっているんですよ、変な言い方だけど薬物は使いたいけど、刑務所にはもう行きたくないっていう自分の中でもそれは決まっていて…黒川さんは何かがあって出会ったわけだから。一歩一歩歩んでいくところ。」

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