【日本海中部地震から40年】青森県内も襲った地震・津波 当時を振り返る 6人が犠牲になった地区では… 当時中学生だった男性の体験… 日本海側の地震・津波で注意すべきことは・・・

2023年5月26日は、日本海中部地震から40年です。秋田県や青森県内を中心に、日本海沿岸に大きな被害をもたらしました。どんな災害だったのか、当時の写真で振り返ります。

逃げ惑う人々を目掛けて押し寄せる津波。瞬時に襲い掛かり、そして飲み込みました。

1983年5月26日正午に発生した、日本海中部地震。秋田県沖を震源とし、地震の規模を表すマグニチュードは7.7、青森県内では、深浦町とむつ市で最大震度5を観測しました。

地震発生後、わずか8分で津波の第1波が深浦に到達。五所川原市市浦には5.8メートル、深浦町や中泊町の沿岸にも3メートル以上の津波が襲いました。この地震や津波で、全国では104人、青森県内では17人が亡くなっています。強い揺れによって、建物や道路、鉄道などにも甚大な被害が出て、青森県内の被害額は518億円余りとなりました。

この地震で死者6人と、青森県内では一番多くの犠牲者を出した五所川原市市浦地区。40年後の今の様子を取材しました。

十三湖のほとりに建立された、日本海中部地震の慰霊碑。

【西田俊明記者】
「今は穏やかなこちらの日本海。40年前のきょう、津波が起き、県内では17人が犠牲になりました」

40年前の5月26日、地震が発生した時刻に、この場所を訪れた男性がいました。当時、この近くでレストランを営んでいた小山内文明さん(75)です。

【小山内文明さん】
「音を立てて(波が)盛り上がって押し寄せてきたんですね。まともに見ましたからね。そしてまた、それがまた音を立てて引いていくんですよ。引いていけば十三湖の水が少なくなって、魚がいっぱいバシャバシャ。それを拾いに入った人もいたからね。あれにはびっくりしました」
「あの体験を心に持っている人が、いろんなところで語り合っていければ良いなと思っています」

【中学校の避難訓練】
「訓練、訓練。ただ今地震が発生しました…」

この日に合わせ市浦地区では、初めてとなる小中学校合同の避難訓練が行われたほか、避難所では、生徒に加えて住民も参加しての設営訓練も行われました。

【女子生徒】
「昔の災害の話を聞いて大変だったということが分かったので、避難するためのものとかを入れるバッグがないので、そういうのを準備したり、自分のできることをちゃんとやっていこうと思いました」

その一方で、日本海中部地震で津波があったことを知らない世代が増えている現状があります。

【五所川原市 佐々木孝昌市長】
「風化をさせないように、このことを教訓にして、毎年このような訓練を通じながら、意識をしっかりと、意識づけをしていきたいと思っています」

日本海中部地震が起きたときに、鰺ケ沢町の海岸にいて実際に避難をした、青森朝日放送の社員がいます。40年の節目に、改めて当時の話を聞きました。

40年前の5月26日に、遠足で鰺ケ沢町の漁港を訪れていた弘前市立第四中学校の生徒たち。その中に、当時中学3年生だった青森朝日放送デジタルメディア部の佐藤英樹さんがいました。

【佐藤英樹さん】
「音がすごかった。ゴーとかすごい音がして、何か岸壁にぶつかったんじゃないかなと錯覚するような音がしたんです。そのあとすごい揺れが来て、女子生徒の悲鳴がキャーって聞こえて」

岸壁で船の様子を描いていた時に、地震が起きたそうです。揺れが収まった後、佐藤さんたちが昼食を取り始めたところ、先生たちが慌てて呼び掛けました。

【佐藤英樹さん】
「集まれから急に逃げろとなって、先生が血相を変えてすごい顔で、とにかく高いところへ逃げろと。高いところってどこなんだろうって感じで、もうてんでんばらばらに、山の方に海と逆の方に走って逃げたと」

避難した丘の上で津波を見たと言います。

【佐藤英樹さん】
「白い波が来ているのを見て、あれが津波なのかなって漠然と。見たことそれまでなかったと思うので」

生徒と教職員およそ360人は全員、無事に避難できました。

【佐藤英樹さん】
「当時は怖いという意識はなかったんですけれども」
「やはり東日本大震災で新たに映像を見ると、こういう同じ経験をしたなと思い出すというか」
「放送をすることで多くの人に伝えること、それから今はインターネットでの情報も伝えるということも大事かなと思っているので、幅広い年代の人に分かってもらえるように、いろんな企画で伝えていきたいなと思っています」

【稲葉千秋アナ】
佐藤さんも話していましたが、災害現場を取材する私たち記者たちも、自分たちが災害に巻き込まれてはいけないという意識を持って、取材をしなければならないですね。改めてそれを確認しました。

最後に、青森県が想定している海岸線の「最大津波高」を見てみます。

日本海側では、中泊町で22.6メートル、深浦町で21.7メートル、鰺ヶ沢町やつがる市、五所川原市の沿岸でも10メートルを超える津波が想定されています。

日本海側の海溝は沿岸に近いこともあり、地震の揺れが大きく、津波の到達も早いとされています。いま一度、避難経路や備えを確認して、自分の命を守れるように準備をしていきましょう。

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