【解説】高騰続く電気代...値上げの“上限"に達したのにまだまだ上がる?そのわけとは

電気料金の値上がりが続き、比較できる5年間では最も高い水準となった。今回の発表で大手電力10社中9社が制度上は、値上げできる“上限”に達したが、家庭の電気料金はまだ値上がりする可能性がある。経済部でエネルギーなどを担当する、藤吉記者が解説します。

◼昨年から2000円以上!上がり続く電気料金
最近、電気料金が“高い”と感じる方は多いと思います。

先週も大手電力10社のうち、東京電力など2社が9月の値上げを発表。比較できる5年間では最も高い水準となりました。
例えば東京電力の場合、去年9月以降、値上がりは13ヵ月連続。平均的な電気使用量の家庭でみると、前の年の同じ月と比べて2000円以上も値上がりしました。

■そもそも電気料金の仕組みとは?
家庭の電気料金プランは数多くありますが、大きく分けると、国の認可をもとに設定する「規制料金」のプランと、電力会社が自由に設定する「自由料金」のプランの2つになります。

毎月、電力会社が価格の発表をするのは「規制料金」の方です。2016年に電力が「自由化」され、家庭も電力会社や料金プランを自由に選べるようになりましたが、その前はすべて規制料金でした。

自由化の後も、電力会社が急に料金を高く設定する・・・ということを防ぐために、この制度が残っています。
そして、この規制料金は電力会社が購入している“燃料の価格"と連動しています。これに基づいて電力会社は毎月、価格がどう変わるか発表しています。いまウクライナ情勢を受けて世界的に燃料価格は高騰を続けており、連動して電気料金も値上がりしているのです。

ただ、規制料金の制度では、経産省に申請して認可がおりた価格の1.5倍が「上限」と決まっています。
いま、電力大手10社のうち、9社はすでに上限に達しています。
◼値上げの上限...もう上がることはない?
上限に達したと聞くと、もう値上がりはないのか...?と考えてしまいますが、残念ながら、そうとも言えません。

電力会社が今より高い料金を経産省に申請して認められれば、その額をスタートとして上限はその1.5倍まで引き上げられます。

また、毎月大手電力が発表している「規制料金」以外にも、料金プランはたくさんあります。
大手電力と契約している人の3割以上が「自由料金」のプランを使っており、大手電力以外の会社はすべて「自由料金」です。

この自由料金では制度に縛られた規制料金より安い場合も多いのですが、そもそも「上限」がない場合があります。また、「上限」があっても経産省への申請などなしに、自社の判断で上限を撤廃できることになっています。

実際、こちらではすでに、上限の撤廃の動きが相次いでいます。
◼今後の電気料金は
契約している電力プランなどによりますが、しばらくは電気料金の値上がり傾向は続くと見られます。
燃料価格の高騰はおさまる様子がなく、ある大手電力の関係者は「電気をつくって売れば売るほど赤字が膨らんでいる」と話しています。

これは大手電力以外でも同様で、自前の発電所がない会社では経営が苦しくなり、事業撤退するところも増えています。

まずは自分の契約している電力プランを改めて確認し、無理のない範囲で節電をするなどの工夫が必要となります。
(2022年8月3日放送)

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