【宝塚歌劇団】“いじめやパワハラは確認できなかった”  調査結果を公表

宝塚歌劇団の宙組に所属する25歳の女性が死亡した問題について、歌劇団は14日に会見を開き、調査結果を公表しました。会見で歌劇団は、女性へのいじめやハラスメントについては「確認できなかった」と話しました。

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14日、宝塚歌劇団が会見を開きました。

宝塚歌劇団 木場健之理事長
「宝塚歌劇にとってかなり、今回のことは危機的な状況」

自ら命を絶った25歳の劇団員の女性を巡る過重労働とパワハラの問題。14日、外部の弁護士による調査結果の内容が明かされました。

宝塚歌劇団 木場健之理事長
「安全配慮義務を十分に果たせていなかったと、深く反省しております」

「清く 正しく 美しく」。来年で110周年を迎える宝塚歌劇団。華々しい世界に送られる熱い視線から一転、14日は多くの報道陣による厳しい視線が注がれました。

会見に臨んだのは、宝塚歌劇団のトップ・木場健之理事長らです。

宝塚歌劇団 木場健之理事長
「宙組生の急逝につきまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様には、大切なご家族を守れなかったこと、心より深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございません」

冒頭、謝罪の言葉を口にしました。

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今年9月、25歳の女性が宝塚市内のマンションの敷地内で遺体で見つかりました。宝塚歌劇団の「宙組」に所属する7年目の劇団員で、現場の状況から自殺とみられています。

女性の遺族側は、10日に行われた会見で――

遺族代理人 川人博弁護士
「約1か月半、わずか1日3時間程度の睡眠しかとれない状況が続き、加えて上級生からのパワハラもあり、健康を損なって亡くなった」

女性が亡くなった背景に「過重労働」と「上級生からのパワハラ」があったと主張。劇団などに対し謝罪と補償を求めていました。

この問題について、劇団側が外部の調査チームがまとめた調査結果を14日に公表したのです。「宙組」の劇団員など70人あまりから、1人1時間から2時間ほど聞き取りを行ったということです。

まず「過重労働」については、遺族側の弁護士によると、女性は亡くなる直前の1か月間、1日も休むことなく、睡眠時間わずか3時間ほどの生活を続けていたといいます。

宝塚歌劇団 井塲睦之理事・制作部長
「客観的に精神障害を発病させる恐れがある強い心理的負荷であるとされる場合に相当する、強い心理的負荷が故人にかかっていた可能性が否定できないとの指摘を受けました」

女性は自身が演じる役に加え、下級生のまとめ役もつとめていました。調査報告書では「過重労働は存在し、心理的負荷がかかっていた可能性は否定できない」とされました。

宝塚歌劇団 木場健之理事長
「長の期として、娘役2人のみであたったことが、故人にとって大きな負荷になっていたと判断。状況や問題を劇団側が十分に把握できず、対処できなかったことにつきまして責任を痛感しております」

続いて「上級生からのパワハラ」については、遺族側の主張では、女性は稽古中に上級生に頻繁に呼び出され「下級生の失敗は、すべてあんたのせいや」「マインドが足りない、マインドがないのか!」「うそつき野郎!」などの心ない暴言を受けていたといいます。

この点については、調査ではいじめやパワハラは確認できなかったといいます。

宝塚歌劇団 木場健之理事長
「いじめやハラスメントは確認できなかったとされており、たとえば『うそつき野郎』『やる気がない』といった発言の有無については、すべて伝聞情報であり、実際に発言があったことは確認されていない」

ただ、その一方で――

宝塚歌劇団 木場健之理事長
「(上級生が)『うそをついていないか』何度も聞いていたといった状況は確認。それらが時間的に近接、重複して起きたことで、故人にとっては、大きな心理的負荷になったものと十分に考えられる」

そして、週刊誌で報じられた「女性が上級生にヘアアイロンを当てられやけどした」という一件。劇団側が10月、両者などへのヒアリングの結果“トラブルはなかった”と否定した一方で、遺族側は――

遺族代理人 川人博弁護士(10日)
「(女性は)聞き取りに対して事実を述べたけれど、上級生から詰問され、劇団はホームページで、この事件の報道は『事実無根』と理事長の声明を発表」

主張が食い違っていました。

これについては、改めてやけどがあった事実は認めたものの、ヘアアイロンを“故意に押し当てたか”については、客観的な証拠がないため判断することは困難としています。

宝塚歌劇団 木場健之理事長
「故人の舞台にかける思いを劇団がサポートできなかったこと、共に歩んだ大切な仲間である故人を守れなかったこと。大変重く受け止めており、組織の長として深く反省しています」

木場理事長は、12月1日付で辞任することを表明。劇団は今後、年間の興行数を減らし、稽古の時間を見直すなどして対策するとしています。

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劇団の調査報告書を受けて、遺族側は長時間業務を行ったことを認定したことなどについては一定の評価をした上で、ハラスメントが確認されなかったという評価については苦言を呈しました。

遺族代理人の弁護士(遺族側の会見、14日午後5時半ごろ)
「ハラスメントの問題に関しては、報告書は否定的な評価。この報告書の内容は失当、間違いである」
「上級生のパワハラ行為を認定しないのは、一時代前の、二時代前と言ってもいいかもしれません。価値観による思考と言わざるを得ない」

遺族側は今後、劇団に意見書を提出する予定だということです。

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藤井キャスター
「今、every.をご覧になっている方の中にも、この報道を見てつらい気持ちになった方がいらっしゃるかもしれません。心を落ち着けるためのウェブページがあります。『こころのオンライン避難所』というサイトです。気持ちを落ち着かせる方法などが具体的に紹介されています」
「そして、悩みや不安を抱えている方。厚生労働省や自殺の防止活動に取り組む専門家などは、自分1人で解決しないようにして、専門の相談員に相談してほしいと呼びかけています。電話やLINEの相談窓口もあります。相談してみてください」

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(2023年11月14日放送「news every.」より)

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