東日本を襲った台風19号の上陸から12日で2年です。千曲川の堤防が決壊した長野市の長沼地区では、被災した住民が住む「災害公営住宅」の建設を望む声が住民から上がる中、市は建設の断念を決めました。
長野市建設部 小林正明 部長
「建設することは適切でないという結論に至りました」
9日に長野市の長沼地区で開かれた説明会。市の担当者が災害公営住宅の建設断念を地元の住民に伝えました。災害公営住宅は、経済的な理由などで自宅の再建が困難な人のために自治体が国の補助を受けて整備します。
おととし10月の台風19号で千曲川の堤防が決壊した長沼地区。今もなお、およそ180世帯が仮設住宅などで避難生活を送っています。仮設住宅の期限は原則、入居から2年。市は、まず去年4月、市営団地が全壊した豊野地区に災害公営住宅を建設する計画を示しました。
一方、長沼地区からも去年9月に建設の要望があり、市と住民が協議を続けてきました。
小滝浩子さん
「こっち側が玄関で、ここ廊下で、だからここら辺ぐらい」
長沼地区にあった自宅を失った小滝浩子さん(61)。市が家賃を負担する「みなし仮設」のアパートに身を寄せています。結婚してから人生の半分以上を、この場所で過ごしてきました。
小滝浩子さん
「やっぱ、人とのコミュニティと景色、リンゴ畑がいっぱいあるところに居たい」
経済的な理由から自力での再建はままならず、望むのは、長沼への災害公営住宅の建設です。
小滝浩子さん
「いろんな人との出会いかな。まだ戻ってこないの?家どうするの?会うたびに言われますね」
長沼への建設を希望するのは小滝さんを含む5世帯。市と住民の協議は結論が出ないまま、およそ1年続きました。
小滝浩子さん
「いったい何か月、どれくらい振り回されなければならないんですか、私たちは。ここに戻りたい、それだけですよ」
そして、9日。市は住民に対し、建設の断念を伝えました。建設する場合は、浸水対策として2.5メートル以上の盛り土が必要で、市は高齢者が生活するには不便な上、盛り土だけでは安全性が担保できないことなどを理由に挙げました。
小滝浩子さん
「本当に早く言ってほしかった。作る、作らないも(その理由も)含めてもっと早くに」
台風から2年、住民の思いにどう寄り添うか、復興のあり方が問われています。(12日09:50)
#台風19号 #千曲川 #災害
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