中国では、成長をけん引してきた不動産業界で、最大手の企業が1兆円の赤字の見通しを示すなど、経済の低迷が深刻化しています。
中国の不動産最大手『碧桂園』は10日、今年前半に1兆円前後の最終赤字に転落した模様だと発表しました。「資金調達で深刻な困難に直面している」としています。
碧桂グループが北京市内で開発を進めているマンションの建設現場に行ってみました。平日でしたが、工事をしている様子はなさそうでした。
マンション購入のため、すでに大金を投じた人たちがいます。マンション建設現場に止まっている車。そこには『抗議に来た買い主の車』と書かれていました。
デフォルト=債務不履行に陥る懸念も出ている碧桂園。「庶民をワナにはめる悪徳業者」として、各地で抗議活動が行われているようです。
もちろん、最大手だけの問題ではありません。
上海市内にあるマンション。1戸あたり4億円で売り出され、去年3月に引き渡されるはずでしたが、工事がストップしています。工事が止まったきっかけは、コロナによるロックダウンでしたが、解除されても、工事は一向に進みません。
一体、どうなっているのか。気になって見に来たという購入者がいました。
マンション購入者:「元々、住んでいた所から近かったので、その部屋を売ってここを買いました。いまは、実家で両親と暮らしています。去年3月には、入居できてたはずなのに」
不動産市場の深刻化は明らかです。新築住宅価格は、16日に発表されたデータでは、主要70都市のうち、49都市で下落しています。
家が売れない状況で、どうにか売り込もうと業界は必死です。
中国のSNSには、マンションを買ったら、もう1部屋おまけするという動画があります。家が投げ売りされている状況です。また、家を買うと金をプレゼントするキャンペーンをやっているところもあります。
関連産業を含めると、GDP=国内総生産の3割を占め、中国の成長を引っ張ってきた不動産業界。経済全体への影響は計り知れません。
特に若者の苦境は深刻です。今年、大学卒業時にゾンビのような写真を投稿するのが流行りました。若者の失業率は過去最悪。こんな状況では、“死んだも同然”という自虐です。
こうしたなか、中国政府は、若者失業率の公表を停止することにしました。
中国国家統計局会見の会見:「大部分の新卒学生はすでに就職先が決まっており、大学生の就職状況は、全体的に安定しています」
中国では、いま「“日本病”が現れた形跡が見られる」との声が出ています。
不動産バブルの崩壊から、“低成長”“低所得”“デフレ”といった日本がたどった道をゆく可能性があるのでしょうか。
大和総研・齋藤尚登主席研究員:「これほど不動産市場が弱い。“不動産不況”という状況は、恐らく、初めてかと思います。特に心配、日本と似ているのが、少子高齢化の問題。特に高齢化のスピードが、実は、日本よりも早い。そうすると、住宅の実需も減っていく。それだけではなく、総需要も低迷していく。長期的な低迷局面が、いつあってもおかしくない状況」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
powered by Auto Youtube Summarize