シリーズ「現場から、」です。人手不足の深刻化を背景に、政府は、専門の知識や技能を持つ外国人労働者を受け入れる「特定技能制度」を大幅に拡大する方針を示しています。その一方で、特定技能の資格を持つ外国人の来日が滞るといった問題も発生しています。
レタスの出荷量で全国トップを誇る長野県川上村。この春、大きな問題を抱えていました。
農家
「まだまったく見通しが立たない。来てもらえると助かるんですけど…」
「4月中旬に来る予定でしたが、まだ来ていないのが現状」
農作業を支える「特定技能」の外国人の来日が大幅に遅れているのです。
農家
「外国から来る人の認可が順番待ちみたいで下りない」
「特定技能」は、専門の知識や技能を持つ外国人に認める在留資格で、労働力の確保を目的に2019年に始まりました。日本語が使えて、即戦力で働いてもらえるメリットがあることから、受け入れの希望が年々増加。去年の1年間ではそれまでの倍以上に急増しています。
このため、日本からいったん帰国したり、母国で資格を取ったりした「特定技能」の外国人の入管の審査が滞り、来日が遅れているのです。審査の期間は、去年は60日から70日が平均でしたが、日本の受け入れ団体によりますと、現在は110日から120日に延びているといいます。
登録支援機関
「4か月(約120日)はみてくださいと言われる。もう少しスピーディーに審査をしていただきたい」
労働力の確保を目指しながら、日本になかなか入ってこない労働者。
こうした中、政府は今月24日、与党側に「特定技能制度」の大幅な拡大方針を示しました。農業や漁業など9分野について、これまでは最長5年としていた在留期間を、試験に通れば日本への永住や家族の帯同を認めるようにするものです。
しかし、現状でも来日が滞っている中、制度の拡大でさらに需要が増加した場合、どれほどの外国人が入って来られるか、懸念もあります。
農家
「自分たちは何もできないですからね。ただ待っているだけで。毎日、頭抱えています。悩んで、どうしようかなと」
東京出入国在留管理局も審査が滞っていることを認めた上で、「適切な人員配置を行うなどして審査期間の短縮に努めていく」などとしています。
政府が来年5月からの開始を目指す新たな特定技能制度。制度を機能させるため、安定した雇用の確保に向けた体制の整備が求められます。
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