ビッグモーター元従業員が証言 頻繁な異動・降格人事の実態(2023年7月22日)

 故意に車を傷付けるなどして自動車保険の保険金を不正に請求していた中古車販売大手の「ビッグモーター」。元社員が取材に応じ、厳しい降格人事の実態を証言しました。

 「必要ないなら人が足りないところに異動させますかね」、これはビッグモーターの兼重宏一副社長が部下たちに送ったとされるラインです。

 ビッグモーター元従業員:「鶴の一声ですね。早ければ次の日から店舗に行ってくれと…」

 中古車販売大手の「ビッグモーター」は故意に車を傷付けるなどして修理代を水増しし、保険金を不正に請求。外部の弁護士らによる調査委員会の報告書では、不正が横行した背景には過剰なノルマや異常な降格人事があったと指摘されています。

 中古車販売「バディカ」・中野優作社長:「厳しいノルマは、私は2008年から入社しているが、そのころから利益至上主義というのは変わっていないんですよ。目標を達成するためにガンガン、プレッシャーを掛けていく」

 こう話すのは「ビッグモーター」の元幹部で、中古車販売会社を経営する中野さんです。

 調査報告書では、3年間で47人の工場長が一方的に降格処分を受けていたとしています。さらには降格の理由が明確に伝えられない、弁明の機会が与えられない、基本給の大幅な減額や転勤もあったため「従業員らが常に経営陣の顔色をうかがい、経営陣の意向に異を唱えない姿勢になった」とされています。

 実際にビッグモーター内で2019年に行われたラインの画像は副社長、役員、新入社員のグループでやり取りされたものだといいます。ライン内で張り付けられている画像の商談の欄には0が多く並んでいます。すると…。

 「これも」「商談しない、アプローチしない」「店長は何してるの?」「必要ないなら人が足りないところに異動させますかね」、このラインの送信者の名前は「Koichi Kaneshige」となっています。兼重宏行社長の息子で、副社長を務めている人物とみられます。

 ビッグモーター元従業員:「本部長だったり、部長と副社長あたりがほぼ(人事の)権限を持って一言、移動と言われたら異動という形ですね」

 こうした一方的な人事異動のやり取りはほぼ毎日、グループラインで一斉送信されていたといいます。

 ビッグモーター元従業員:「私は3年間で7回ほど転勤しています。一番短い期間は1カ月(の転勤)。1カ月の時は、さすがに『ないだろう』『おかしいだろう』という思いはあった。私も言われて『できません』と言えない立場ですので、行かざるを得ないというのが正直なところです」「(Q.精神的には?)新天地に行って家も見つからず、ホテルで暮らして通ってずっとやっていたので、精神的にもきつかった部分はあります」

 一方、ビッグモーターはホームページで調査報告書の提言を真摯に受け止め、再発防止に取り組んでいくと謝罪。兼重宏行社長は報酬の100%を1年間返上、兼重宏一副社長は報酬の50%を3カ月返上するとしています。しかし、記者会見が行われる予定はありません。

 中古車販売「バディカ」・中野優作社長:「もう、こうなったら全部出す方が僕はいいと思う」

 現在、店を経営する中野さんは中古車販売業界に不安を抱えているユーザーのためにインターネットを使って新たな取り組みを始めたといいます。

 中古車販売「バディカ」・中野優作社長:「自宅で車が買えるみたいな、営業マンの軽はずみな調子のいいことも未然に防げるし、WEBならでは店頭にいかなくてもできる一番の利点だと思います」

 また、自宅に整備士が行き、修理・点検を行うサービスも始めるといいます。

 ビッグモーターを巡っては、国土交通省が26日にも聴取をする方針であることが分かりました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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