【総動員令要請に革命言及】プリゴジン氏が“政権批判”ロシア内情は◆日曜スクープ◆(2023年6月11日)

■プリゴジン氏が政権批判“総動員令”発出要請の背景

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者・プリゴジン氏は6日、SNSの投稿動画で、「ウクライナ軍は複数の地域で既にロシア軍の防衛線を突破している」と述べ、「ウクライナの反転攻勢を阻止できるのはワグネルだけだ」と主張した。プリゴジン氏は、ワグネルに20万人の増援を求めており、プーチン大統領に総動員令の発出を要請した。さらに、プリゴジン氏は、「ただし、3カ月をかけて適切な訓練を行わなければ、新たな部隊は“大砲の餌食”になるだろう」と警告した。

■プーチン氏「現代的な兵器が足りない」焦燥と危機感

プーチン大統領は9日、ウクライナ軍に反転攻勢の動きが見られるとする認識を初めて示した。報道陣に対し、プーチン大統領は「ウクライナ軍はどの方面への攻勢でも成功を収めていない」とウクライナ軍の攻撃を阻止していることをアピールしたが、「ウクライナ政権には攻勢の潜在能力がまだ残っている」と語った。

米戦争研究所は、「プーチン大統領は、ウクライナ軍にはまだ攻撃的な潜在力があると指摘したが、これはウクライナの反撃を軽視しようとするクレムリンの取り組みとは異なるものだ」と分析した。また、プーチン大統領は、自軍の装備に関連して、「ロシアには現代的な兵器が足りない」と述べ、軍事面に厳しい状況にあることを認めた。同時に、プーチン大統領は、「防衛産業は急速に発展しており、直面している課題は解決されると確信している」とも語り、生産体制の増強など改善を促した。

■ロシア政府“刑務所で新兵募集”露呈した脆弱性

英国防省は5月14日、ロシア軍部隊について、「大半が訓練不足の動員された予備役兵で、時代遅れの旧式装備への依存度が高まっている。多くの部隊は、著しく戦力不足である」との分析を公表した。ロシア政府は受刑者の採用を強化しており、4月の1カ月で最大1万人が契約したと見られる。

■プーチン氏に“軍惨状は知らせない”側近は戦況報告せず

ウクライナへの軍事侵攻に関する作戦遂行の状況が上手く推移していない戦況報告について、プーチン大統領に知らされていないと指摘されている。今回、この告発を行ったテレグラムチャンネル「ロシアの犯罪」は5日の投稿で、情報筋の話として「プーチン大統領が極度にイライラする反応を示したために、戦争に関する悪いニュースを報告するのをやめた」と伝えた。今年3月、ロイターは米国情報機関の関係者の話として、「プーチン大統領はロシア軍の惨状に関して、周囲から誤った情報を伝えられている」と報じた。

■プリゴジン氏“革命に言及”国内で一定の支持

ワグネル創設者・プリゴジン氏は5月23日、「ロシアは特別軍事作戦でウクライナの武装解除を試みたが、結果的にウクライナ軍が世界最強の軍隊の一つになった」と指摘したうえで、「ロシアの現状が変わらなければ革命が起こりかねない」と、1917年のロシア革命になぞらえて、敗戦の可能性にあることを警告した。

5月31日に公表されたロシアの独立系調査機関「レバダセンター」の世論調査では、「最も信頼できる政治家」という項目で、プリゴジン氏が初めて10位内に入り、メドベージェフ前大統領と並んで5番目となった。4月の調査では、プリゴジン氏は1%から5月には4%となり、支持を伸ばしている。

■元ロシア軍将校「ワグネル撤収は偽装」クーデターに警戒

元ロシア軍情報部門将校のイーゴリ・ギルキン氏は4日、プリゴジン氏が政府へのクーデターを計画していると非難、プリゴジン氏がワグネルのバフムトからの帰国にあわせて、ロシア政府に対して、反乱を起こす計画を立てていると警告した。また、ギルキン氏は、ウクライナの反撃前夜にバフムトからワグネル軍を撤退させたという決定は、怪しさを含めた懐疑的な見解を示した。

★ゲスト:駒木明義(朝日新聞論説委員)、長谷川雄之(防衛省防衛研究所)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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