台風3号発生へ 大雨に警戒…先週と同じコース? 前線を刺激(2023年6月6日)

 梅雨前線や低気圧の影響で、九州南部では1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降りました。そんななか、早ければ6日にも台風3号が発生する見通しです。先週の台風2号と同じように大雨をもたらす恐れがあり、警戒が必要です。

■鹿児島市に「大雨・洪水警報」

 車のワイパーが追い付かないほどの雨…。6日、大雨洪水警報が出された鹿児島県内では1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨を観測しています。市内では道路が川のようになり、坂道を激しく雨水が流れ落ちていきます。別の場所では、排水溝からあふれ出した場所も。

 枕崎市では次第に雨風が強まり、ヤシの木も大きく揺れています。海も白波を立て、まるで台風のよう…。このカメラがあるホテルは…。

 ホテル従業員:「ホテルが南向きに建っているので、『ビュー』という音がする。台風2号の時は、こんなに荒れていない。きょうの方が荒れている」

 梅雨前線や低気圧の影響で、九州は朝から本降りの雨になっています。鹿児島県内では在来線の一部が大雨の影響で運転を見合わせているほか、ダイヤに乱れが発生しているということです。姶良市では用水路が増水し、今にもあふれそうになっています。
 
 この雨雲は次第に東に広がり、東海や関東でも雨が降り出します。
 
 一方、正反対の天気だったのが東北です。ギラギラとした太陽が東北の各地に照り付け、秋田県横手市や岩手県釜石市で30℃を超えたほか、福島では7月下旬並みの30.5℃を観測しました。

■台風3号発生へ 大雨に警戒

 台風2号に加え、6日の大雨…。そんななか、再び台風がやって来る可能性が出てきました。

 今村涼子気象予報士:「予報円の西を進めば、沖縄に近付く可能性。進路によっては台風2号と似たコースに」
 
 前回の台風2号は先月20日にグアムの南で発生し、ゆっくりと北上。1日に沖縄を直撃した後、本州の南を進み、3日に温帯低気圧に変わりました。今回も同じようなコースをたどる可能性があるといいます。しかし…。
 
 今村涼子気象予報士:「台風2号後のため、それほど発達しない予想」

 それでも油断は大敵です。

 今村涼子気象予報士:「本州付近の梅雨前線を活発化させる恐れ」

 現在、フィリピンの東に熱帯低気圧があり、早ければ6日にも台風3号になる見通しです。フィリピンの気象庁は。

 フィリピン気象庁:「低気圧は東ビザヤエリアから南に1000キロほど離れたところにありましたが、その後フィリピンに接近し、北ルソンに接近する可能性があるとみられます。この低気圧は今後24時間~48時間で台風に発達する可能性があります。台風の名前は『チェデン』です」

■クレーン倒壊 被害の爪痕濃く

 ただ、前回の台風2号の傷もまだ癒えていません。奈良県御所市では作業中のクレーン車が遊歩道でバランスを崩して横転しました。電柱も倒れ、道路はクレーン車の重みで陥没。今月2日の大雨で現場周辺も地盤が緩んでいた可能性があるということです。

 いまだに台風2号の爪痕が残されたままの場所も…。湖のようになってしまった茨城県つくば市の西谷田川では普段は田んぼのあぜ道が見えていました。それが6日はハクチョウが泳げるほどに…。

 近所の人(70代):「すごい雨が降った時、一面、湖になっちゃってたよね。湖と同じだよ。田んぼ、全部埋まっちゃってた。今まで経験がないから、びっくりだね」

 近くの取手市では前回の大雨で道路が冠水し、家の中まで水が浸水しました。市によると、雨は2日から降り始め、半日で286ミリの雨を観測したということです。

 まだ片付けは終わっていません。市内の集積場には大雨で濡れてしまった家財道具などが運び込まれていて、中には泥まみれの金庫も…。畳も水を吸っています。終わらない片付け…。空も曇り始めています。関東にもこの後、雨が降り始める予想で、取手市の周辺でも午後9時ごろから本降りになる可能性があります。

■「線状降水帯」を含む集中豪雨

 先週、豪雨をもたらした線状降水帯。高知から1回、2回、3回と徐々にその数を伸ばし、最終的に発生したのは6県で11回。線状降水帯が一日で6県発生したのは情報の運用開始以来、初めてのことだったといいます。一体、なぜここまで増えたのでしょうか。

 列島上空に長く伸びた梅雨前線が台風の接近前から停滞していました。そこに台風から暖かく湿った空気が前線に供給し、雨雲が活発となりました。そして台風2号は長くゆっくり日本の南海上にいたため、より多くの湿った空気が供給され、複数の箇所で線状降水帯が発生していたといいます。

■45年前に比べ2.2倍に 温暖化か

 そこで今後、心配されるのが線状降水帯の発生頻度です。気象研究所によると、線状降水帯を含む集中豪雨は45年前に比べ、2.2倍も増えているといいます。その影響とみられるのが地球の温暖化です。

 気象庁気象研究所台風・災害気象研究部長、加藤輝之氏:「海面水温の上昇は地球温暖化によるもの。海面水温が上昇すると、その上空の気温も高くなり、含まれる水蒸気も増えている。それが(集中豪雨の)1番の原因」

 発達した雨雲が次々と発生し、線状に列になる線状降水帯。今後、警戒すべきは発生する範囲で、今までより地域が広がる可能性があるといいます。

 気象庁気象研究所台風・災害気象研究部長、加藤輝之氏:「基本的には西日本で集中豪雨・線状降水帯の事例が多い。東北地方や北海道でも今以上に、あまり集中豪雨・線状降水帯が発生していないところでも大雨が増える」
 
 日本近海の海面水温は100年前と比べ上昇。ここで注目されるのが、東日本や北海道の近海の海面水温です。

 気象庁気象研究所台風・災害気象研究部長、加藤輝之氏:「特に日本海の海面水温の上昇が全体を見ると高くなっている。特に北の方でも海面水温の上昇はかなり大きい」

 気象庁によると、2017年以降、北海道では線状降水帯は発生していないといいます。しかし、今後、東日本や北海道では海面水温の上昇により、線状降水帯を含む集中豪雨の回数が数倍に増える可能性もあるといいます。

 気象庁気象研究所台風・災害気象研究部長、加藤輝之氏:「今まで大雨を経験したことない場所に住んでいる人も、大雨リスクに対して警戒していただけたら」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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