福島県いわき市に住む大竹努さん(61)
約10年前から、少しずつ咳や息切れの症状が現れるようになった。
大竹努さん:「ただの肺炎かなと感じただけで、薬を飲めば、風邪と同じように治るかなということしか頭になかった。そのころは」
5年前に医療機関を受診すると『間質性肺炎』の中でも、原因が分かっていない国の指定難病『特発性肺線維症』と診断された。
この病気は、何らかの原因で肺が硬くなり膨らみにくくなってしまい、呼吸機能が低下してしまうもの。
完治が難しく、重症化すると他の臓器にも影響を与え、死に至る場合もある。
大竹さんは診断時に、余命2~3年と宣告された。
大竹努さん:「まさかというか…」
厚生労働省によると『特発性間質性肺炎』の患者は、全国で1700人以上。福島県内には330人以上いると推定されている。
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『間質性肺炎』を専門に治療するセンターを、4年前に福島県内で初めて開設した郡山市の坪井病院。
全国的にも専門医が少ないなか、福島県内外の患者660人以上の治療やリハビリにあたってきた。
患者:「(初発症状は)咳と息切れですね。個人の医院にかかったけど、はっきり分からなくて」
センター長の杉野圭史医師は、この病気自体があまり知られていないため「早期発見」を難しくさせていると指摘する。
杉野圭史センター長:「患者の初発症状が労作時の息切れ。しかも、これが軽いものだったりとか、咳に関しても『ゴホン、ゴホン』という、本当にちょっとした咳。これだと、例えば人によってはやはり年齢のせい、自分は何となく年を取ってきたなとか。まさか自分の肺が聞いたことがない病気に侵されているとは通常、一般の方は思い浮かばないと思うんですよ」
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余命宣告を受けた大竹さん。
2021年に奇跡的にドナーが見つかり、肺の移植を受けることができた。
新型コロナウイルスの影響で面会が制限されたが、家族が手紙を頻繁に届けるなど献身的にサポート。
現在は、日常生活に支障がない状態まで回復し、家族との幸せを噛みしめる毎日を送っている。
妻・大竹任子さん:「こうやって家族一緒に日常の生活を送れることが本当に尊いことなんだなと思いますね」
大竹努さん:「こうやって生きれること自体が奇跡みたいなものだから、大事にしていかなくちゃと思う」
いつ誰が発症するか分からない『間質性肺炎』
重症化してしまうと、治療方法が限られてしまうため、息切れなどが増えた時は軽視しないで、早めの受診が大切になる。
杉野圭史センター長:「珍しい病気ではなくて一般的な病気なんだと、いつも思っていただきたいと思う・ぜひ、疑うきっかけがあれば、我々のような専門病院に来ていただきい。それが私が一番お話したいことです」
新型コロナウイルスへの警戒から「受診控え」が相次ぐ今。『間質性肺炎』を始めとした病気の【早期発見】が求められている。
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