歌舞伎界のスーパースター、市川猿之助さん(47)。業界を盛り上げるため、ドラマやバラエティーなどに出演し、新たなファンの獲得に積極的でした。
■7歳の時に“初舞台”
おととし、特殊詐欺被害防止の広報大使に任命された猿之助さん。詐欺被害を防ぐためには親子の関係性が大切だと話していました。
猿之助さん(当時45):「核家族化でなかなか大家族がそろって暮らすことができないなかで、本当に大事なことは親のことを心配して電話を掛ける、普段会うということ。コロナの状況でなかなか難しいとは思いますが、そういうことがゆくゆくは犯罪防止につながる。親を心配する、子どもが親を守る、家族を守る基本的なことから取り組んでほしい」
四代目・市川段四郎の長男として1975年に生まれた猿之助さん。父の兄で伯父にあたるのは、二代目・市川猿翁。九代目・市川中車で俳優の香川照之さんは、いとこにあたります。
1983年、7歳の時に父の名を継いで二代目・市川亀治郎として初舞台を踏み、歌舞伎役者としての道を歩み始めました。
市川亀治郎さん(当時28):「歌舞伎に限らず、歌舞伎、ミュージカル、オペラ、バレエ。全部垣根を取っ払った演劇というものを作って、それこそが日本の演劇であるというものを僕は作りたい」
■革命児「歌舞伎界盛り上げる」
その猿之助さんに2011年、大きな転機が訪れます。
亀治郎さん(当時35):「突然降ったような話ではございますが、伯父、三代目・市川猿之助のたっての希望によりまして、私が四代目として猿之助を継ぐことになりました」
伯父の猿翁がかつて名乗っていた、市川猿之助の襲名を発表しました。
父・段四郎さん(当時65):「僕では大きくできなかった名前を、二代目・亀治郎が大きくしてくれたので、亀治郎という名前も捨てがたい、寂しい思いがしましたけれど。兄(市川猿翁)の家の芸を継いでいきたいということで、将来的に考えると、市川猿之助を継いでいくことが非常に重要なこと」
亀治郎さん(当時35):「この後は、この猿之助という名前を次の世代に渡すべく、私が預からしていただきまして、市川家の一門として、市川家ならびにその一員として歌舞伎界をますます盛り上げて、歌舞伎のために私は今回、襲名を決意致しました」
■ドラマやバラエティーでも大活躍
「歌舞伎界を盛り上げる」。その言葉通り、猿之助さんはドラマやバラエティーなど活躍の場を広げ、新たな歌舞伎ファンの獲得につとめてきました。
亀治郎時代から猿之助さんのことをよく知る芸能リポーターの山崎寛代さんは、次のように話します。
山崎さん:「とにかく芸達者な歌舞伎役者という感じがする。ドラマでも癖のある脇役で存在感を出したり、バラエティーではキレのあるコメントをして本当に頭の回転が早い人という印象。猿之助さんをテレビで知って歌舞伎を観に行きたい方もすごく多くなって、ファンも増えていったと思う」
歌舞伎においても、先代の作り上げたスーパー歌舞伎を引き継ぎ、人気漫画「ワンピース」や「鬼滅の刃」を題材にした演目に挑戦するなど、伝統の世界で革新的な作品に取り組んできました。
猿之助さん(当時39):「そんなものないからね、歌舞伎に『ゴム』の表現というものが。日本でいうと八犬伝とか大長編冒険活劇。古くからいらっしゃるお客様も大事にしつつ新たなお客様も開発する」
■ハラスメント報道…関係は?
また、世襲にとらわれない若手育成にも積極的でした。
猿之助さん(当時37):「若手には自分で考える力をつけてもらいたい。とりあえず芸を磨く」
現在、明治座で上演されている作品にもこうした思いが感じられたといいます。
山崎さん:「若手の役者さんを一緒に、一緒の舞台に立って、それが今、自分がいい状態で動ける時、演じられる時に、“この若手の方々に教えないと”ってそういうふうな、伝えて行こうというような気持が伝わるものだった」
猿之助さんを巡っては、18日発売の週刊誌に一門の俳優らに対するセクハラやパワハラに関する記事が掲載されたばかりでした。
週刊誌報道について、猿之助さんの舞台を制作する松竹はこうコメントしています。
松竹 広報室のコメント:「パワハラやセクハラはあるべきではなく、会社としてしっかり対応して参りたいと考えております。ただ、今回の記事には伝聞等不確かな事もございますので、まずもって事実を確認したいと思っております」
■行きつけのうなぎ店 両親も来店
今後も多くの舞台で主演を務めることが決まっていた猿之助さん。稽古場が近く、猿之助さんが一家で通っていたという、うなぎ店の女将に話を聞くことができました。
猿之助さんの行きつけ うなぎ「小柳」女将:「ずっと前に古いファンの方が、まだ亀治郎さんの若いころにウチからうなぎを持ってらっしゃって、『ここのうなぎだけが食べられる』っておっしゃって、それから公演をされる時にお稽古場にお弁当をとってくださったり、色々とそんなお付き合いでしたね」
今年の1月にも店を訪れていました。
女将:「最近は正月1月の猿之助さんが歌舞伎座公演の時かな。お仲間と4,5人でおいでになりましたよ。土曜日、パッといらした。お電話が掛かってきて」
その際は、元気で思い詰めているような様子などはなかったといいます。
女将:「全然、元気ですよ。お仲間と楽しそうにはしゃいでらっしゃいましたよ。その時たまたま、いつもは『さよなら』って言って見送る。『猿之助さん写真いい?』って聞いたら、『撮ろう撮ろう』って言って、皆さんで一緒に撮っていただいて」
父親の段四郎さんと母親も店を訪れたことがあったといいます。
女将:「(最近は)お母様ずっとお父様のご看病だったんでしょうね。あまり姿を見掛けなかったけど、(猿之助さんに)『お元気?』っていらっしゃるたびに伺うと、『元気よ、言っとく』なんておっしゃって。何でこういうことになったのってびっくりしましたね」
■「猿之助くんはすごい」絶賛も
歌舞伎座の近くにあり、多くの歌舞伎役者も通うという喫茶店の主人は…。
喫茶店 アメリカン店主:「皆今、歌舞伎座の関係の人はショック受けているだろうし、周りの人もきょう歌舞伎やっている状況じゃないよね。彼がすごい将来性あるのは(他の役者などから)いつも聞いていた。猿之助くんは今からすごいからねって聞いていたから、そういう意味でもショックだしね」
厚生労働省は、悩みを抱えている人には、1人で悩みなどを抱えずに「こころの健康相談統一ダイヤル」や「いのちの電話」などの相談窓口を利用するよう、呼び掛けています。
▼「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556
▼「#いのちSOS」0120-061-338
▼「よりそいホットライン」0120-279-338
▼「いのちの電話」0570-783-556
(「グッド!モーニング」2023年5月19日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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