重症熱性血小板減少症候群ウイルス

重症熱性血小板減少症候群ウイルス, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=2730919 / CC BY SA 3.0

#ウイルス
#ブニヤウイルス科
#重症熱性血小板減少症候群
重症熱性血小板減少症候群ウイルス(じゅうしょうねっせいけっしょうばんげんしょうしょうこうぐんウイルス、Dabie bandavirus、英通称 : Severe fever with thrombocytopenia syndrome virus)とは、ブニヤウイルス目フェヌイウイルス科バンダウイルス属に属するウイルスの1種。
ウイルス性出血熱の重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) の病原体として同定されたウイルスである。
名称が長いため、しばしば同症候群の頭文字をとってSFTSウイルス (SFTSV) と呼ばれる。
また、中国語の「新布尼亞病毒」から新型ブニヤウイルスと呼ばれることもある。
2009年3月から7月にかけ、中国の湖北省および河南省で、原因不明の感染症が発生した。
2011年になり、于学杰 (Xue-jie Yu) らによって患者の病理組織から抗原と核酸が発見されたことから病原体と特定され、SFTSウイルスと名づけられた。
その後、2013年になって日本でもコホートスタディにより、2005年秋以降2015年3月までに感染者が100名以上いたことが報告されている。
なお、中国のSFTSウイルスと日本のSFTSウイルスは遺伝子が似ており、同一種であると考えられているが、遺伝子の分析から日本で分離された株は独自の群を形成することが明らかになっており、両者は完全に同一のものではないと考えられている。
また、日本で確認されている4例の患者は、いずれも海外への渡航歴がない。
このため、日本のSFTSウイルスは最近発生したものではなくウイルスそのものは昔から存在しており、患者の病原体を同定して初めて発見されたものと考えられている。
SFTSウイルスのゲノム構造模式図 SFTSウイルスは3分節に分かれるマイナス鎖の1本鎖RNAを有するRNAウイルスであり、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスやリフトバレー熱ウイルスなどと同じブニヤウイルス目に属する。
SFTSウイルスのゲノムは解読されている。
L (Large)、M (Medium)、S (Small) の3つのセグメントと、RNA依存性RNAポリメラーゼ (RdRp)、前駆体糖タンパク質 (M)、糖タンパク質N (Gn)、糖タンパク質C (Gc)、核タンパク質 (NP)、非構造タンパク質 (NSs) の6つのタンパク質が発見されている。
Lセグメントには、2084個のアミノ酸残基からなるRdRpがエンコードされている。
Mセグメントには、糖タンパク質であるGnとGcの前駆体となる、1073個のアミノ酸配列をエンコードしている1つのオープンリーディングフレームが含まれる。
SFTSVはGn/Gcの働きによってpH依存性に細胞へ侵入することが知られている。
また、この時C型レクチンの一種であるDC-SIGNが細胞膜上のウイルスレセプターとして働く。
Sセグメントには、GnとNSsの2つのタンパク質をエンコードする1744個のヌクレオチドを有する。
これら2つのタンパク質をコードする遺伝子領域は62塩基対の遺伝子間領域によって2つに分離されている。
ブニヤウイルス目に共通して見られる性質から類推すると、SFTSウイルスは酸や熱に弱く、消毒用アルコールや台所用洗剤、紫外線の照射によって急速に失活すると考えられている。
SFTSウイルスを保有するダニの一種であるフタトゲチマダニ SFTSウイルスはフタトゲチマダニ、オウシマダニ、タカサゴキララマダニといったマダニ科のダニから分離されており、マダニ科のダニが宿主であると考えられているが、どのマダニ種が媒介するのかは特定されていない。
また、SFTSウイルスを持つダニに咬まれることにより感染すると考えられているが、咬傷痕が確認できない場合もある。
また、感染した患者の血液や体液との接触によるヒト-ヒト感染も報告されている。
飛沫感染や空気感染は報告されていない。
中国の江蘇省における疫学調査では、ヤギ、ウシ、イヌ、ブタ、ニワトリの血清から抗SFTSV抗体が検出されている。
また、山東省沂源県の報告ではヤギが83%という高い陽性率を示している。
なお、この報告においてヤギが選択された理由は、この地域でヤギがよく飼育されており、かつマダニの吸血を受けていることが多いためである。
しかし、この動物が発病したかどうかは確認されていない。
また、感染した動物との接触感染も考えられているが、報告され...

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