24時間の停戦合意するも…戦闘5日目 混乱続くスーダン 対立のウラに“ロシアの影”(2023年4月19日)

アフリカ東部・スーダンでは、今月15日から軍と民兵組織による武力衝突が始まりました。

日本政府は、日本人の避難に向け、自衛隊機を派遣する準備に入ったことを明らかにしました。
松野官房長官:「ハルツーム市を含むスーダン全土において、スーダン国軍と即応支援部隊(RSF)との間で、武力衝突が発生し、これまでに多数の死傷者が発生しています。19日時点でスーダンには大使館員を含め、約60名の邦人が滞在しています。現地に滞在するすべての邦人と連絡が取れており、在留邦人の生命・身体に被害が及んでいるとの情報に接していませんが、水・食料が不足し、頻繁に停電が起こるなど、厳しい状況にあると承知しております」

首都のハルツーム。スーダン軍は、街の至る所に展開し、爆撃機や戦車を投入しています。対する相手の『RSF』と呼ばれる民兵組織ですが、空港などを占拠しています。
RSF兵士:「我々は完全に地上を掌握した。空港を陥落させた。完全な勝利を得た」

これまでに270人が亡くなり、2600人以上が負傷したといわれています。18日、双方が24時間の停戦にいったん合意。しかし、その後も爆発音や銃声が響いています。

スーダンがあるのは、エジプトの南で、ナイル川が南北に走るアフリカ大陸で3番目に大きい国です。イギリスからの独立以降、国家としての成り立ちは、クーデター・内戦・民族紛争の繰り返しでした。今回の武力衝突もその流れです。

ここ30年ほどスーダンでは、クーデターで政権を手に入れたバシール大統領による独裁が続いていました。しかし、それも2019年に失脚します。主導したのは2人。今の統治評議会の議長でスーダン軍のブルハン将軍と、統治評議会の副議長でRSFのダガロ司令官です。今回の武力衝突は、協調路線を歩んできた2人による権力闘争です。

スーダンは、現在、クーデター政権のため、国際社会の支持を得るには、民政移管しなければなりません。そのため、ブルハン将軍が、RSFを正規軍に統合させようとしたのが、衝突の始まりとされています。

そして、不確定要素は、スーダンと関係の深いロシアの存在です。今年2月には、ロシアのラブロフ外相がスーダンを訪問し、2人のトップと面会していました。
報道ステーションの欧州・アフリカ 大平一郎担当デスク:「スーダンはアフリカ有数の金の産出国。金の採掘や密輸出に『ワグネル』が関わってきたといわれている。金は、ロシアのウクライナ侵攻を経済的に下支えしているとの指摘も。ワグネルは金の見返りとして、スーダンの民兵組織に武器や兵士の訓練を提供しているといわれてきた」

西側と対立し、孤立化を強めているロシア。アフリカが活路の一つです。
報道ステーションの欧州・アフリカ 大平一郎担当デスク:「いま起こっている衝突にワグネルやロシアが、どのように関わっているか、まだわかっていない。すでにロシアは、スーダンに海軍基地を建設する計画がある。この混乱を乗じてスーダンへの影響を強めたり、ここを足掛かりにアフリカ各国への影響力を拡大する可能性も否定できない」

スーダンでは、近年、甚大な干ばつ被害と、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、食料難も深刻化していました。そして追い討ちの武力衝突。医療体制も危機的状況です。

スーダンで、長年、医療活動を行っているNPO法人の代表に話を聞きました。
NPO法人・ロシナンテススーダン事業部の川原尚行代表:「爆撃機が飛ぶ音が、窓の近くにいなくてもすごくしますし、ちょっと窓に目をやると爆撃機が見えてきたりとか、通過した後、黒煙が上がるとか、今までに経験したことない戦闘だと。日本が、かつて支援したイブンシナ病院が砲撃を受けたと、そこの先生に連絡するが連絡がつかない。病院が攻撃を受けているという悲しい状況があるのは事実。(Q.空港が閉鎖される中で退避の実現性は)日本政府がしっかり動いてくれていることにうれしく思いましたけれど、空港が閉鎖されていること、空港が主戦場になっていること。さらに、我々邦人が私たちだけではなく、恐らく6~70名ぐらいいると思う。その方たちが安全に空港まで行けるか。安全性に問題があるんじゃないか危惧しています」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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