ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、24日で1年となります。この1年で、ロシアとウクライナ双方が戦場に大量投入してきたのが、ドローンなどの「無人兵器」です。さらに、人間の判断を一切介さずに敵を攻撃する“AI兵器”も技術的には可能とされ、専門家は今後、ウクライナで得られた実戦データにより開発が加速されるといいます。“戦争のカタチを変える”無人兵器の最前線を取材しました。
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ウクライナ東部で、ウクライナ軍のドローンが撮影した映像には、茂みに隠れるロシア兵が映っています。別の映像では、塹壕(ざんごう)に身をひそめるロシア兵がはっきりと捉えられています。この後、得られた位置情報をもとに、別の無人機が自爆攻撃を行いました。
戦場で偵察や攻撃を担うドローンなどの「無人兵器」。ウクライナの戦場で大量に使われている無人兵器の実態を探るため、私たちはアメリカ・ロサンゼルス近郊の街、シミバレーに向かいました。
訪ねたのは、アメリカがウクライナに供与している最新の無人兵器を開発した企業「エアロバイロンメント社」です。今回、日本メディアの取材に初めて応じました。
エアロバイロンメント社 ワヒド・ナワビCEO
「ウクライナで使われている製品をお見せします。これが『スイッチブレード』です」
見せてくれたのは、自爆型無人兵器「スイッチブレード」です。大小2つのモデル合わせて700機以上がウクライナに供与されています。
エアロバイロンメント社 ワヒド・ナワビCEO
「相手の攻撃が届かない場所から攻撃できるのがポイントです」
最大90キロ先の標的を敵の射程外から攻撃でき、兵士の数で不利なウクライナ軍の大きな戦力になっているといいます。さらに、戦闘機やミサイルなど、これまでの「空の兵器」と比べ圧倒的に安価で、訓練も短期間で済みます。
そして、攻撃でカギを握るのが、敵の位置を特定するための偵察機との連携。まず、無人偵察機が高性能のカメラと赤外線センサーで、敵の居場所を昼夜問わず的確に探知します。
試しに、記者が木の陰に隠れてみると、無人偵察機が追跡してきました。非常に風が強い中でも、安定して上空を飛行していました。偵察機が捉えた映像を確認すると、物陰に隠れていても、搭載された赤外線カメラが記者とカメラマンの体温を感知していたことが分かりました。映像を拡大すると、2人の姿がはっきりと確認できました。
エアロバイロンメント社 担当者
「偵察機が標的を追跡し、必要なときにスイッチブレードに(位置情報などの)デジタルデータを送ります。そして、スイッチブレードが標的に向かって発射されます」
偵察機から共有された標的の位置情報をもとにスイッチブレードを発射。弾頭を搭載していて、大型のタイプは戦車をも破壊する威力があるといいます。
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ウクライナ軍が前線で無人兵器を運用する一方で、ロシア軍は去年の秋以降、民間施設や重要インフラへの攻撃に大量のドローンを投入し、一般市民に多くの犠牲者が出ています。
ウクライナ コスティン検事総長
「ドローンはとても静かで、夜間に飛来すると特殊なレーダーをもってしても、捉えるのは非常に困難です」
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無人兵器は、ウクライナとロシア双方にとって主力兵器の1つとなりましたが、さらに懸念されているのがAI(=人工知能)との融合です。人間の判断を一切介さずに敵を攻撃する「自律型致死兵器システム(LAWS)」も技術的には可能とされています。
すでにリビアで使用された可能性が指摘されていますが、今のところ規制する国際的なルールはありません。
専門家は、AI兵器を開発する国々がウクライナで実戦データを収集し開発を加速させると指摘しています。
AI兵器に詳しい元アメリカ空軍高官のウィル・ローパー氏
「残念ながら、各国は自律型致死兵器システムの使用に踏み切ることになるでしょう」
長期化する戦争の影で今、新たな脅威が忍び寄っています。
(2023年2月24日放送「news every.」より)
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