いわゆる「袴田事件」で再審=裁判のやり直しを認める決定が出たことを受け、検察は特別抗告を断念する方針を固めました。再審開始が確定することになり、袴田巖さんは再審公判で無罪となる公算が高まりました。
午後4時半過ぎ、検察の抗告断念の一報が入ると、支援者は散歩から帰った袴田巖さん(87)に抱きつき、喜びを分かち合いました。
弟とともに半世紀以上闘ってきた姉のひで子さん(90)は。
袴田巖さんの姉 ひで子さん
「『安心しな、もう再審開始になったよ』と説明したが、分かっているのか、分からないのか、反応が鈍かった」
57年前、旧清水市で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」。東京高裁は先週月曜日、死刑判決が確定している袴田巖さんの再審開始を決定。この決定では、事件の証拠を捜査機関がねつ造した可能性にまで踏み込んでいました。
東京高検は、最高裁に特別抗告するかを検討し、きょうがその期限。きょう夕方、検察は抗告を断念し、弁護団にも連絡をしたということです。
これにより再審開始が確定することになり、袴田巖さんは再審公判で無罪となる公算が高まりました。
87歳の袴田さんは、死刑執行の恐怖と48年間に及ぶ拘留によって、精神的に不安定な状況が続く「拘禁症状」と今も闘っています。弁護団や支援者は、袴田さんが高齢であることなどを踏まえ、きょうも特別抗告をしないよう求めました。
また、弁護団がウェブサイトで始めたオンライン署名は急速に広がり、きのう午後7時時点でおよそ3万6千人以上が抗告を断念するよう署名。おとといには、2014年に静岡地裁で再審開始の決定と袴田さんの釈放を決めた村山浩昭元裁判長が、初めて公の場で検察を“けん制”するなど、検察への批判が高まっていました。
静岡地裁で再審開始を決定した 村山浩昭元裁判長
「私は、もし袴田事件で特別抗告をしたら、検察の特別抗告は法律で禁止しなければいけないという意見がもっともっと高まると思う」
この後、検察庁が会見を開き、正式に抗告の断念について発表するとみられます。
再審開始が確定することになり、袴田巖さんは再審公判で無罪となる公算が高まりました。
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