京都の保津川下りで船が転覆し、1人が死亡、1人が行方不明になっている事故で運航業者が会見し、船が転覆した瞬間の様子が説明され、船頭1人が落下した直後に船が正面の岩に激突し、乗客らが川に投げ出されたことが明らかになりました。
■水をかく動作中に「空振りした」
保津川遊船企業組合・豊田知八代表理事:「皆様、この度は大変ご迷惑とご心配をお掛け致しましたことを心よりおわび申し上げます。申し訳ございませんでした」
28日、京都府亀岡市で保津川下りの船が転覆し、船頭1人が死亡した事故。川に投げ出された40歳の船員は依然として行方不明です。
保津川遊船企業組合・豊田知八代表理事:「昨日、3月28日火曜日午前10時半、保津川下りの乗船場を出発した船、乗船人数が大人22名、子ども3名、そして乗船を担当する船頭4名、計29名で出発いたしましてその後、20分すぎに大高瀬という急流で舵(かじ)を持っている船頭が投げ出されまして、舵の航行不能になったと。それに対して櫂(かい)をひいていたものが、素早く舵のリカバリーにいきましたが間に合わず、船は航路から外れて大きな正面の岩に激突。そして船がその岩にへばりつくような形で横になり、そしてその波を受けて転覆をしたということでございます。転覆いたしまして、乗船されていたすべての方が川に落水された。お客様を救助船に乗せるという段取りで進めておりましたけれども、お客様からですね、その時に流された船頭が岸に流れ着いて、お客様と一緒にですね、引き揚げて頂いてたんですね。その時すでに呼吸がなかったということで、その船頭を先に救助船に乗せてあげてくれということもありまして、まず、その判断で倒れている船頭を引き揚げて船に乗せたということでございます。点呼の中でもう1人船頭がいないとなって、船を出して捜索した。病院に搬送された客のなかで女性2名が入院していたが、本日退院の準備をしている。舵を持っていた船頭が水をかくための動作中で力が抜けていく空振りという形をした報告を受けています。船頭用語で言いますと空かじと言うが、空振りのようなものだと。水をかかずに浮いた、それでバランスを崩して船から落ちた。原因は最初の舵の動作の空かじをした動作で船頭が川に落ちてしまった。主な原因であることは間違いない。それがどうして起きたのかということは、今担当した者から話を聞いた。救助にあたったもう1人の船頭からも状況を聞いているところです」
■岩に激突した後「すべての方が落水」
何艘もの船が朝から京都府西部を流れる保津川を走りました。行方不明者の捜索です。捜索は陸地からも橋の上からも行われています。
川下りの船で起きた転覆事故では、乗っていた29人全員が川に投げ出されました。船頭の田中三郎さん(51)が死亡し、船員の40歳の男性が今も行方不明のままです。
警察と消防は28日夜まで現場を捜索。29日もおよそ80人態勢で捜索を続けています。保津川の川下りは事故発生後、運航が中止されました。
ただ、乗り場近くには事情を知らない海外からの観光客の姿もありました。
香港からの観光客:「ボートに乗ろうと思っていたのですが、今、きのうのニュースを知りました」
スペインからの観光客:「ガイドブックで見てきました。きのうの午後も来たのですが、売り切れでした。理由が分からなかったのですが、きょう分かりました」
■船頭が落下し「正面の岩に激突」
事故を起こした船に乗っていた4人の船員は、いずれも船頭歴9年から30年のベテラン。亡くなった田中三郎さんは竿(さお)を担っていました。
行方が分かっていないのは、櫂を取っていた40歳の船員です。乗客25人も川に投げ出されましたが、全員、救助されました。
消防によると、9人が低体温症や打撲などで病院に搬送されました。症状はいずれも軽いといいます。
転覆した船の乗客:「(Q.音があってすぐ転覆?)そうですね。落下して100メートルくらいは流されていると思うので、その後はずっと寒い。亡くなっている方もおられるんでね、死ぬかと思いました」「(Q.水に落ちた時は自力で岸に上がった?)流れに身を任せて自然に浅瀬に着くのを待った感じです」
事故を起こした船が岸に引き揚げられていました。前方の左側が破損しています。船に乗っていた船員は4人。先頭が川底の岩に刺す竿を担い、2人が櫂をこぎ、最後部には方向を制御する舵取りがいました。
しかし、舵取りが操作を誤り、水中に転落。他の船員が舵を取ろうとしましたが、船は左前方にあった岩に衝突し、転覆したといいます。舵取りによるミス。
保津川遊船企業組合・豊田知八代表理事:「空かじと言いますが、かじが少しすかされる」
■空舵で「バランス崩し川へ落下」
「空舵」とは、どういうミスなのでしょうか。長野県で同じく川下り船を運営する会社に聞きました。
天龍ライン遊舟・半崎信弘社長:「こうやって普通、こいでいるんですけど、これが波で船が前のほうが沈むと櫂が上に上がっちゃうんですね、こういう感じにね。普通はこうやって持っているんですけど空を切っちゃうっていうんですかね。櫂が水に入っているか、入っていないかですね。咄嗟(とっさ)の時にぐっとやった時に波の上をかいてこういうふうに」
半崎さんによると、波とタイミングを合わせられないと「空かじ」が起きるといいます。
天龍ライン遊舟・半崎信弘社長:「波の所かきますよね。こうやってこいでくるんですけど、波が沈んだ所をかけば、空をかくということです」「(Q.本来、抵抗があると思っているものがないから?)そうですね、空を切っちゃう」
ただ、保津川遊船企業組合の豊田代表理事は、通常であれば「空かじ」になっても船から落ちることはないと話します。
保津川遊船企業組合・豊田知八代表理事:「普通の姿勢だったら。重心をどこに置いているかとか、手の伸び方がどうだったか。普通は落ちないですがなぜ落ちたのか、なぜ舵がそこまで伸びたのか、ということはこれから調べたい」
国の運輸安全委員会は事故調査官2人を派遣。引き揚げられた船を調べるなど、29日の午後から原因調査を始めました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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