乗客は新鮮な魚!?新幹線輸送サービスの背景に2024年問題

21日朝に鹿児島県で水揚げされたばかりの『初ガツオ』です。このカツオを運ぶのに使われたのはトラックではなく新幹線です。JR九州が実用化に向けて準備を進めています。

■須田キャスター
「お店の人が来ました。おいしそうな魚が並べられています。」

福岡市・天神のスーパーマーケットに並んだ新鮮な魚は、約9時間半前の21日午前4時ごろに鹿児島市で水揚げされたばかりのものです。ここまでの道のりをさかのぼります。

水揚げされたばかりの魚は、21日午前8時すぎ、鹿児島市のJR鹿児島中央駅にありました。箱の中には新鮮な初ガツオが入っています。荷物が運び込まれたのは、博多行きの新幹線で、実証実験のための臨時列車です。ふだんは客が乗る場所に荷物が積み込まれました。その数、約200箱です。

午前9時20分、いつもは人を乗せて走る新幹線は、魚も載せて出発しました。

■須田キャスター
「いま新幹線が博多駅に入ってきました。」

福岡市の博多駅に到着したのは午前10時46分でした。鹿児島中央駅を出発して、わずか1時間26分で到着です。

■須田キャスター
「人ではなく、魚を入れた発砲スチロールが出てきました。」

魚が台車に乗って向かった先は、福岡市内のスーパーマーケット『レガネット天神』です。

■『レガネット天神』店員
「さっき来たばっかりなんです。鮮度めちゃくちゃよかったです。」

鹿児島県で水揚げされた新鮮な魚が、その日のうちに店頭に並びました。

■買い物客
「新鮮な魚がその場で食べられる。その日のうちに食べるのと同じ。鹿児島のものが福岡に来て、夕食の食卓の並ぶのはすごい。」

■来店客
「福岡から鹿児島は遠いので、それがこちらで食べられるのは貴重でいいなと思いました。」「贅沢だよね。」「うん。」

21日に届いた魚は、福岡市内のスーパーマーケットなど10店舗に並びました。

実際に食べてみました。

■須田キャスター
「いただきます。ぶりぶりとした歯ごたえがあります。そして、臭みがなくて新鮮です。これはおいしい。」

JR九州では、“コロナ禍”による乗客減少などを受けて、おととしから新幹線で客室以外の空きスペースを使った荷物の輸送サービスを始めました。さらに、飲食店から注文を受け、鮮魚を配送するサービスの試験運用を去年末から始めています。

今回は初めて、客室を使って大量の荷物を運ぶ実証実験を行いました。JR九州が、新幹線を使った荷物の輸送サービスに力を入れる理由は、新型コロナウイルスによる乗客減少だけではありません。

■JR九州・古宮洋二社長
「社会の課題・2024年問題。モーダルシフト(輸送手段の切り替え)の推進を図る」

『2024年問題』とは、来年4月からトラックドライバーに対する残業の規制が強化されることで、運ぶ荷物の量が減るなどの影響が懸念されていることです。

■古宮社長
「新幹線や在来線、特急含めて代役がいかにできるか。駅まで持ってくることと、駅から運ぶことが苦手なのでそこをうまくお互いに提携結んで、課題を克服すれば2024年問題はうまくいくと思っている。人と荷物を運ぶことに、これから注力していきたい。」

JR九州によりますと、今後は博多からさらに航空機を使って東京や海外へ荷物を運ぶサービスも検討していくということです。

JR九州ではすでに新幹線で荷物を運ぶサービス『はやっ!便』を始めています。例えば、鹿児島市から博多駅まで縦・横・高さの合計が100センチ以内の荷物を送った場合を『ゆうパック』と比較します。

ゆうパックでは、料金は1330円で午前中に出すと届くのは翌日の午前中です。

一方、新幹線では料金は1500円ですが、午前7時に荷物を出すと約3時間後の10時ごろには博多駅に到着します。料金が少し安いゆうパックに対し、新幹線は駅に受け取りに行く必要はあるものの、当日中に届くというスピードに強みがあります。

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