僕は二十歳の頃舞台監督になりたかった。そして最終的には脚本家になりたいと思った。
でもその時に付いた職業はウエイターという、僕がこの世の中で一番就きたくない仕事だった。
よほど嫌々仕事をしてたのであろう、新聞の投稿欄に「サービス精神の無いサービスマン」というタイトルで投書されたこともある。
ある日ホールで常連客と世間話をしていた時、そのお客さんは何気に僕が将来目指しているものは何かと聞いて来た。
僕は自分が望んでいた舞台の演出の仕事がしたいのだと答えた。
するとその人は「それなら僕の処においでよ」と、意外な事をいった。
そのお客さんは有名な歌手のプロデューサーであり、その時大阪で1ヶ月公演をする為に僕が務めているホテルに宿泊していたのだ。
僕はこの時のことを振り返り、ある真理を得た。
信念を込めて目標を設定すると、どんな形が分からないが目標へと続く道が出来る。しかしその道は、実はとても見え難いところにある。
そしてその道を探す方法は、とにかく目標を強くロックオンした時から現れる目の前の事象を、たとえどんなに嫌な事であってもクリアしていくことだ。
絶対夢は逃げない。
目標に辿り着けないのは、自分が逃げるからなんだ。
夢は逃げない。
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