【攻防激化のソレダル】交戦で廃墟の町“制圧に執着”ロシアの思惑は◆日曜スクープ◆(2023年1月15日)

 東部ドネツク州の要衝バフムト近郊の町、ソレダルの掌握を巡り、進攻成否の情報が錯綜する。ロシア国防省は13日、ロシア軍がウクライナ東部ソレダルを制圧したと発表した。ゼレンスキー大統領は13日夜、「激しい戦闘が継続している」と述べ、ロシアの主張を否定した。ソレダルで戦うウクライナ軍兵士は、「死者が何人いるのか誰にも答えられない」と過酷な戦闘状況を語った。

 昨年夏以降の激戦により、ソレダルでは、学校、民家などの建築物が破壊され、廃墟の状態にあることを示す衛星画像が公開された。ウクライナ・チェレバティ報道官は、「膨大な数の兵士を犠牲にし、廃墟を占領することは、現代の戦争において非常に奇妙だ」とロシアを批判した。ソレダル攻略にロシア軍が執拗に拘る理由とは。

 侵攻で昨年7月初旬以降、屈辱的な後退が続いており、ロシア軍がソレダルを奪取した場合、誇示すべき戦果となる。バフムトを巡る攻防について、英国防省は、「ロシアはバフムトを北から包囲し、ウクライナの通信網を寸断する狙いが強い」とし、ウクライナ軍が安定した防衛線を維持する状況下、ロシアがすぐに包囲する可能性はないと分析する。

 ロシア国防省と民間軍事会社「ワグネル」の間で対立か。ロシア国防省は11日、空挺部隊によるソレダル封鎖を発表した。一方、戦闘に参加するロシアの民間軍事会社「ワグネル」は、ロシア国防省の発表を否定した上で、「ソレダル攻撃はワグネルの部隊だけで遂行した」と主張した。発表内容の相違は、「ワグネル」とロシア国防省との間に生じる対立の可能性を示すのか。

 また、苦戦が続く政権とロシア軍との間で、権力闘争が激化する。ロシア国防省は11日、総司令官に軍制服組トップのゲラシモフ参謀総長を任命した。前任のスロビキン総司令官は昨年10月に就任したばかりだが、3カ月で交代する結果となった。スロビキン氏は、副総司令官に就任する。ロシア国防省は「任務範囲の拡大、軍隊における緊密な連携の必要性、また、軍隊指揮の効率性向上」と人事の理由を挙げた。米シンクタンク・戦争研究所は、ゲラシモフ参謀総長の昇格について、「国防省の優位性を再構築するための政治的決断であった」と内部闘争によるものと分析する。

 西側諸国によるウクライナへの軍事支援が一層強化される中、英政府は、主力戦車「チャレンジャー2」を供与することを決めた。実現すれば戦車の供与は初となる。同戦車は、英国が開発し、イラク戦争などで展開された実績があり、攻撃による損失がこれまで報告がないとされている。

 軍事車両の支援を巡っては、ポーランドは、高性能戦車「レオパルト2」を提供する意向を示し、米・独が歩兵戦闘車、仏が装輪装甲車の供与を表明している。防衛戦略とロシアの内情に精通する識者を交え、米戦争研究所の報告を基礎に最新情勢を詳報・解説する。

★ゲスト:渡部悦和(元陸上自衛隊東部方面総監)、畔蒜泰助(笹川平和財団)
★アンカー:木内登英(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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