ローマ法王 ベネディクト16世の退位後

新法王が決まった。では、前法王の今後の生活はどうなるのだろう。過去600年間、法王は死去するまで法王の座にいたため、退位後が問題になることは皆無だった。

 前法王ベネディクト16世は2月28日夕刻、約8年間住んだバチカン市国を離れ、ローマ郊外カステルガンドルフォの法王専用の夏季別荘にいったん、落ち着いた。その後は、バチカン市国内サンピエトロ大聖堂の裏手奥の緑に包まれた場所にある総面積約450平方メートルの元尼僧院に移り、祈りと瞑想(めいそう)と読書などの引退生活を送る。この僧院は現在、4月中旬の完成をめどに突貫工事で改装を行っている。

 前法王の肩書はいろいろ取り沙汰されたが、退位直前に自身が決めた「名誉法王」になった。これは今まで一度も存在しなかった新しい肩書だ。

 前法王は今後、法王庁の行事には一切関わることはない。とはいえ、今回の居住地選択は、バチカン市国内に前法王と新法王が共に住むという法王庁始まって以来、初めての事態を生む。また、今後の法王は、かつてのように老体にむち打ち死去まで職務を全うすることなく生前退位が慣例になるとも予想される。

 そうなると、前法王は今後退位する法王の居住地の問題にも前例を作ることになる。

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