名古屋撃ち 漫画「ゲームセンターあらし」すがやみつるさん語る インベーダーゲームからeスポーツまで ネーミングのコツも【NAGOYA発】

元祖・裏ワザといわれるインベーダーゲームの「名古屋撃ち」を全国に広めた1人が漫画家のすがやみつるさんだ。人気漫画『ゲームセンターあらし』で、流行の兆しが見えだした直後にインベーダーゲームを取り上げ、漫画誌コロコロコミックに掲載。名古屋撃ちの原型とみられる攻略法「不死鳥(フェニックス)」も紹介した。

―インベーダーゲームが「あらし」に初登場したのは1979年4月発行の月刊コロコロコミック春の特別増刊号。読み切りで掲載された
 すがやさん「前の年の秋にコロコロに読み切りで出したが、そんなに人気が取れなくて1回こっきりで終わって…。年明けに増刊号を出すことになって、スペースインベーダーが人気が出ているからそれをネタにもう1回やろうということになった。描いたのは2月ごろ」

―その中で「不死鳥」という技が出ている
 「名古屋撃ちに似ているが、(本来と違って)左端に1匹残さない技。アマチュア無線仲間の大学生がいて。インベーダーが得意で、名古屋撃ちみたいな技を見せてくれた。その様子を大学ノートにメモして漫画に使った」

―名古屋撃ちというネーミングは使っていない
 「知っていたら漫画に名前を載せていたと思う。その時に大学生は1匹を残すやり方をしていなかったので、そのころに名古屋撃ちが世に出ていたのかどうか分からないですね」

―「あらし」に名古屋撃ちの言葉が登場するのは実質的に連載がスタートしたコロコロ8月号
 「7月に発売された号。増刊号の漫画には名古屋撃ちとは出ていないので、あの時点では名前がなかったのだと思う」

―不死鳥のネーミングはご自身が付けられた?
 「だと思うんですけど、あまりよく覚えていない。その場しのぎでつけた名前じゃないかという気がします。名古屋撃ちもどきの技では他に聞いたことがないので」

―どのような発想で名前を考えられた?
 「その時の思い付きですけど、困ったときは他紙の『東京スポーツ』を買ってきてプロレス記事を見て、そこに出てくる必殺技の名前を参考にしていた。その辺りが影響していたかも」

―ゲーム大会で対決する構図は、今のeスポーツにつながっている
 「eスポーツは海外発祥。『あらし』が元祖と言われるといつも『違います』と作者自ら否定しているんです。読み切りだったのでいいかげんに作った。SFジャンルに、筒井康隆さんが書いていた(本物のように作り上げる)疑似イベントというのがあってそれを少し意識した。対決の発想は漫画の『包丁人味平』」

―なぜ「名古屋撃ち」という名前になったのか
 「名古屋の方で生まれて口コミで伝わったと聞いたこともあるが、確証を持てない。最初は『758』の数字のもじりかと思ったこともあったが、インベーダーを数えてもあまり関係がなかった」

―言葉の響きについて
 「ナゴヤには濁音が入っている。『仮面ライダー』とか、ビタミン剤や薬の名前、『ゲームセンターあらし』もそうだけど、濁音や『ん』が入っていると口に出したときに語感がいい。心に残りやすい」

1979年4月12日の地方紙『名古屋タイムズ』によると、愛知県内のゲーム機は78年10月末で1220台だったが、79年4月には一気に7000台を超えたという。
 『スペースインベーダーを創った男 西角友宏に聞く』(徳間書店)には「79年7月時点でビデオゲーム設置店は(全国で)7万店に及び、筐体(ゲーム機)数は28万3000台」とある。
 ブームの最中には東京六大学対抗のインベーダーゲーム大会が開催され、テレビ東京(当時は東京12チャンネル)で放送されたという。

▼すがやみつる 1950年9月20日、静岡県出身。本名は菅谷充。71年に児童誌テレビマガジンの『仮面ライダー』(原作・石ノ森章太郎)でデビュー。78年に月刊コロコロコミックに『ゲームセンターあらし』を読み切りで掲載。79年8月号から連載に。82年にテレビアニメ化される。モータースポーツにも造詣が深い。京都精華大マンガ学部で教授も務めた。

◆スペースインベーダー ミサイルを発射しながら攻めてくる5列、55匹のインベーダーを、ビーム砲で撃破するテレビゲーム。画面上部に出現するUFOを撃ち落とすとボーナス点をもらえる。裏ワザとして「名古屋撃ち」のほか、「京都撃ち」「レインボー」「化石」などがあった。ゲームはのちに家庭用ゲーム機ソフトにも移植された。インベーダーの図柄はアミューズメント施設「タイトーステーション」のロゴマークにもなっている。

◆名古屋撃ち インベーダーの群れが最下段まで下りてくるのをひたすら待ち、端から一気に撃ち落とす戦法。最下段では相手のミサイル攻撃を受けないという“バグ”を巧みに利用した。上端の1匹を残すのが特徴で、ビーム砲を群れと上端の1匹の間に避難させて、上空に出現するUFOも狙う。初期には「モグラ撃ち」「寝技」「横浜撃ち」「原宿撃ち」「神戸撃ち」「フェイス・トゥ・フェイス」とも呼ばれた。群れの端ではなく、真ん中のインベーダーの列を撃ち抜く戦法は「京都撃ち」と言う。

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