コロナ療養期間10日→7日に短縮検討 感染リスクは?専門家から慎重論も…(2022年8月25日)

 新型コロナウイルスの感染者が増加するなか、どうやって社会を維持していくのか。患者の「全数把握」のルールを見直すことが決まりましたが、療養期間の短縮についてはまだ議論が続いています。感染リスクをどう考えればいいのか専門家に聞きました。

 広島県で、コロナ患者の診療や、高度医療を担う、「広島市民病院」。

 新型コロナの感染者が全国的に増えているなか、医療を制限せざるを得ない、危機的な状況に直面しています。

 広島市民病院・秀道広院長:「新たな問題はスタッフの中に新型コロナウイルスの感染。家族に感染が起きて濃厚接触になってしまって、現場に出てこられないスタッフが急増していることが大きな問題」

 特に、人員不足が著しいのが、医療体制の屋台骨を支えている看護師です。

 これは、看護師たちの今月の勤務表。ピンクのマーカー部分を見ると…。「病欠」を意味する「病」の文字が、ずらりと並んでいます。

 お盆休みに入ってから、今週に至るまで、コロナ感染者や濃厚接触者の欠勤が相次いでいます。

 ある病棟では、看護師の3分の1が休んだことで、入院患者の受け入れを止める緊急事態に陥っています。

 広島市民病院・秀道広院長:「看護師の手も足りないし、危険性も高い。院内で感染する可能性も高いので、しばらくの間、その病棟への新たな入院はストップしている。だから疾患によっては新たな入院ができない状態」

 医療スタッフの勤務シフトが、限界に近付いていて、救急搬送の患者も、「選別せざるを得ない」と訴えます。

 広島市民病院・秀道広院長:「私たちの病院は、特に心臓血管と脳血管の急性期の病気を主に担っている。こういう人は優先して治療する。本当に皆さんには申し訳ないが、どうしても限られた資源をできる限り公平に命に関わる人を優先するために選別せざるを得ない状態になっている」

 人手不足が拡大している背景には、コロナ感染者の療養期間が、原則10日間に設定されていることも影響しているといいます。

 政府は、現在、この療養期間の短縮を検討しています。

 岸田総理大臣:「感染防止と社会経済活動の両立を実現していくためウィズコロナに向けた対応を加速していきたい」

 政府が検討しているという案では症状がある人は、現状の10日間から、7日間に短縮。症状がない人は、5日間にするというものです。

 広島市民病院・秀道広院長:「感染してから発症するまでの期間も短くなっているし、治るまでの期間も(短い)。自覚症状が軽ければ短縮しても良いと思う。問題は常に病院に入院していないといけない病気を持った人は一定数いる。そういう人たちが感染すると本人にも医療機関にも負荷がかかる。だからもともと病気を持っていて入院せざるを得ない人に、感染が及ばないようにというのが切なる願い」

 療養期間を7日間に短縮する案について、街の人たちは。

 20代学生:「(Q.『療養7日間』短縮案は?)一回コロナにかかったことがあるが、あまり症状が重くならなくて(療養期間が)短くなっても問題はないかと思う」

 50代介護士:「(Q.『療養7日間』短縮案は?)もし自分がかかったら早く社会復帰しないといけないので、社会復帰という意味では7日の方が助かる」

 10代学生:「(Q.『療養7日間』短縮案は?)気持ちとしては正直不安なところはある」「症状ありはその人個人にもよるので何とも言えないが、無症状であれば7日から5日に変わっても良い」

 50代パート:「(Q.『療養7日間』短縮案は?)(7日に短縮して)大丈夫という保証があるなら良い。ただそれで重症化が増えるという問題になったらまた考えなくてはいけない」

 7日間で療養を終えた場合、感染リスクはないのでしょうか。感染制御の専門家は…。

 東邦大学感染制御学・小林寅てつ教授:「新型コロナ感染症は、発症から5日後くらいからウイルス量が段々と少なくっていくというデータが出ている。7日以降にはウイルスが検出されてもかなりウイルス量は少なくなってくる。なので感染させるリスクが減ってくる。ただ感染させないということではないので、マスクを着用してうつさないように生活していくことが必要」

 専門家からは、一律での期間短縮について、慎重な声も上がっているということです。

 東邦大学感染制御学・小林寅てつ教授:「(療養から)復帰した後も体調が優れないことがあれば、本人が無理をして社会に出ていくことをやめて、もうちょっと療養期間を自分自身で増やしていくことも必要」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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