悪魔の詩作者が刺された直後に犯人が取り押さえられる 2022年8月12日

英作家サルマン・ラシュディ氏(75)が米ニューヨーク州で刃物を持った男に襲撃された事件で、地元検察当局は13日、現場で取り押さえられたハディ・マタール容疑者(24)を殺人未遂などの容疑で訴追したと発表した。計画的犯行とみて動機を解明する方針だ。

 ラシュディ氏は搬送先の病院で治療を受け、12日夕は人工呼吸器を装着した状態で、片方の目が失明する恐れもあるとされていた。米紙ニューヨーク・タイムズなどは13日、代理人の情報として「人工呼吸器が外され、話をし始めた」と伝えた。
 ラシュディ氏は12日午前、講演のため訪れた同州西部の教育施設で、壇上に突然駆け上がってきたマタール容疑者に首などを刺された。
 検察は13日の罪状認否手続きで、「ラシュディ氏を狙った計画的な攻撃」と指摘した。ラシュディ氏が10回前後刺されていたと明らかにした。
 マタール容疑者は事件前日に現地入りし、偽の身分証明書を所持していたという。マタール容疑者側は無罪を主張している。
 ラシュディ氏を巡っては、1988年発表の小説「悪魔の詩」がイスラム教の預言者ムハンマドを侮辱しているとして、イラン革命の指導者ホメイニ師が89年、ラシュディ氏に「死刑」を宣告するなど反発を招いた。
 米メディアでは、マタール容疑者について、利用していたソーシャルメディアの分析から、イスラム教シーア派の過激主義やイランの軍事組織「革命防衛隊」に「共感を抱いていた」と報じられている。
 バイデン米大統領は13日、「凶悪な襲撃に衝撃を受け、悲しみに暮れている」との声明を発表し、ラシュディ氏や表現の自由を擁護する人々との連帯を表明した。

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