内閣改造、自民党の役員人事が10日に迫っています。「世界平和統一家庭連合」、いわゆる“統一教会”と政治との関係がどのように影響するのでしょうか。
「内閣改造“前倒し”」
「関係を認めた7人」
「岸田首相の本音」
以上の3つのポイントを中心に詳しく解説します。
■内閣改造「前倒し」 当初は「9月だろう」
安倍元首相の銃撃事件から8日で1か月がたちました。警察庁は現在、当時の警護態勢や対応が適切だったかについて検証を進めていて、今月中に結果を公表する予定です。
この事件によって、霊感商法などが社会問題化したいわゆる“統一教会”と政治との関係が改めて注目されています。これが10日の内閣改造にも影を落としています。その時期について、岸田首相は6日に「内閣改造は来週にも行いたい」と表明し、10日に行われることになりました。
実は当初、内閣改造は「9月だろう」とみられていましたが、それには 次のような理由がありました。
安倍元首相が亡くなって間もない時期であり、党内やトップを失った安倍派の内部が落ちつきを取り戻すまでは控えておこうか、という配慮がありました。
さらに、「原爆の日」に関して、6日に広島で平和記念式典、9日には長崎で平和祈念式典が行われます。 その後はお盆、 8月後半に国際会議も予定されています。8月は日程が窮屈だという理由もありました。
ところが、急に前倒しされました。
岸田首相は6日、「様々な課題を考えますと、とにかく新しい体制を早くスタートさせたい」と述べ、新型コロナウイルスや物価高への対応など課題をあげて新たな体制をスタートしたいと説明していました。
■「内閣改造」前倒し 3つのポイントとは
この内閣改造の前倒しについては、そのほかに3つのポイントがあります。
(1)支持率低下
各社の世論調査では、岸田内閣の支持率がこのところ低下しているという現状があります。内閣改造でこの局面を早く打開し、支持率を回復させたいという狙いがあるとみられます。
(2)主導権を握りたい
内閣改造には、政界内部の様々な思惑がうごめくものです。当然、自分や派閥にとって有利になるように水面下の動きも活発化していきます。 9月に向けて準備していた人たちは、急に1か月早まることで当然、焦ります。時間が短くなればなるほど、根回しや駆け引きが十分にできなくなる恐れがあります。
急に日程を早めることで皆が手を回す時間をなくして、がっちり主導権を握りたいというのが、岸田首相の狙いとみられています。
(3)“統一教会”との関連
現在の内閣には、何らかのかたちで教団との関係を認めた閣僚が7人います。
末松文部科学相は、教団関係者にパーティー券を購入してもらい、関係団体のイベントに祝電を送ったことを認めています。
萩生田経産相は、関連団体の会合であいさつをしていました。
山口環境相は、教団が関連するクリスマスイベントなどに祝電を送っていました 。
安倍元首相の弟の岸防衛相は、過去の選挙で教団側から支援を受けていたことを明らかにしています。
二之湯国家公安委員長は4年前、教団の関連団体のイベントで実行委員長を務めていました。
野田少子化担当相は関連団体のイベントに祝電を送り、秘書が代理でイベントに出席したことを明らかにしています。
小林経済安全保障相は去年、関連団体のイベントであいさつをしていたということです。
■岸田首相は「点検」指示 「関係」認めた閣僚の処遇は…
8日、岸田首相から閣僚に対して「国民に疑念を持たれることのないよう、当該団体(=“統一教会”)との関係を点検し、厳正に見直しを行う」との指示が伝えられました。さらに、「新たに指名する閣僚や副大臣 なども含めて、教団との関係を点検してもらいたい」とも述べています。
今回、内閣改造を早めた背景には、教団の問題をめぐる危機感の高まりがあるとみられています。
この7人の閣僚は全員交代となるのかというと、これまでの取材では、必ずしもそういうわけでもなさそうです。
岸防衛相については、健康面を考慮して交代させる意向で調整しています。
二之湯国家公安委員長は先月の参院選に出馬せず、すでに議員バッジは外しており、「民間人の閣僚」という立場です。そのため、閣内に残ることはないとみられています。
注目は萩生田経産相です。萩生田氏は、文部科学相、経産相を歴任してきました。今後について8日、首相の専権事項である人事についてかなり踏み込み、「留任したい」との考えを示しました。
萩生田経産相
「福島復興は、わが省にとって最も重要な案件を控えています。当然、継続してやっていくことが望ましいのではないかと、せんえつながら思っています」
実は、萩生田経産相についてはすでに、「閣内にとどまるか党の要職での起用」が検討されています。本人も、いま非常に問題となっているエネルギー政策や福島の原発事故の処理水の問題などを例にあげながら、「こんな大変なことを、人が交代して大丈夫なのかという思いもある」と述べ、留任を強く希望しました。
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新内閣の発足や内閣改造の度に「適材適所」と言われながら、必ずしもそうではない人事もありました。今回は教団との関係が「点検」されるそうですが、本当にそのポストにふさわしい能力や識見を持つ適材なのかも、しっかりと「点検」して人事にあたってほしいです。
(2022年8月8日放送「news every. 」より)
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