“続投希望”萩生田大臣の処遇は?旧統一教会問題の影響どこまで…内閣改造 解説(2022年8月8日)

岸田総理は10日に行う、内閣改造と自民党役員人事へと慌ただしく動いています。

岸田総理がどういう陣容とするのか。大きなポイントとなりそうなのが、旧統一教会、今の世界平和統一家庭連合との関わりです。

岸田総理:「私の内閣においては、その新たに指名する閣僚だけでなく、現閣僚も含め、さらには副大臣等も含めて、この当該団体との関係、これをまずしっかりとそれぞれ点検してもらい、その結果を明らかにしてもらう。そのうえで、適正な形に見直すこと、これを指示したいと思っている」

これを受け、松野官房長官は8日、全閣僚に関係の点検と見直しを指示しました。

岸田内閣では、すでに8人の閣僚らが旧統一教会と関わりを持っていたことを認めています。

旧統一教会の関係者から選挙支援を受けていたことを認めている岸防衛大臣。体調不良もあり、今回で退任するとみられています。

岸防衛大臣:「内閣改造は総理がお考えになる、お決めになることですから、私からはお答えできません」

旧統一教会の関連団体のイベントで実行委員長を務めたことのある、二之湯国家公安委員長も退任する方向です。

旧統一教会関連のイベントに祝電を出していたのは、山口環境大臣です。

山口環境大臣(5日):「よく分からないけどね、どういう団体かは。事務所は『祝電出していただけますか』と言われたら出していた」

5日は、ときおり笑顔も見せながらの説明でしたが、8日は表情も一変。

山口環境大臣:「過去に祝電を出したことがあったと確認されたので、今後は出さないよう指示をしたところ。旧統一教会関係の事実を把握したので、今後は気を付けたいと思います。(Q.今回の行動が軽率だったのではないかという批判もあるが)今後は気を付けたいと思います」

誰が残り、誰が去るのか。“総理の専権事項”とされる人事。異例の発言をしたのは、7日に総理公邸を訪ね、岸田総理と面会もした萩生田経済産業大臣です。

萩生田経済産業大臣:「最終的に任命権者である総理総裁が決定するんだと思いますが、私がやりたいとかじゃなくて、こんな大変なことを人が代わって大丈夫なのかと。継続してやっていくことが望ましいのではないかと」

経産大臣として重要な任務が継続しているとして、続投希望を明言しました。

これまでのところ、松野官房長官や、林外務大臣の留任が固まっています。

萩生田経済産業大臣:「一部報道で『骨格は維持する』と出ていて、俺は骨格じゃなかったのかと。最後は総理の判断に委ねたいと思いますけれど」

萩生田氏が代表を務める政治団体は、旧統一教会の関連団体に、会費1万5000円を複数回、支払っていました。

過去には教会のイベントであいさつをしていて、そこには当時の教会トップも出席していました。「あくまで誘われた会合だった」と説明しています。

萩生田氏については、党の要職である高市政調会長の後任に起用する案も浮上しています。

岸田総理は8日夕方、自民党本部で麻生副総裁や茂木幹事長と打ち合わせを行ったうえで、臨時の役員会に出席。人事は岸田総理に一任されました。

役員会の後の記者会見で、茂木幹事長は、自民党議員に、旧統一教会との関係を断つよう通達する考えを明らかにしました。

自民党茂木幹事長会見:「社会的問題、国民の関心も高いということでありまして、当然、我が党の国会議員には政治家としての自覚を持って点検を行い、見直すということですから、これからは関係は持たないということが基本だと思っています」

当初、来月上旬との見方もあった内閣改造。この前倒しについて、党内からはこのような声も上がっています。

片山さつき参院議員:「やはり色んなことが出ているので、早めにリセットして、秋の国会に備えたいということじゃないですかね。その気持ちは分かるような気もします。人とかお金とか関係があるのかどうか、そういったことは調べて、答えられる範囲は答えた方が、有権者に対しては透明性があって分かりやすい」

自民党関係者は“安倍派外し”の一環との見方をしています。

自民党関係者:「旧統一教会を理由にすれば、安倍派の人間を外しやすい。どうせこの話もお盆を過ぎればほとぼりが冷める」

ただ、安倍派のベテラン議員からは、こんな声も出ています。

自民党・衛藤征士郎衆院議員:「(Q.人を変えることが根本的な改善につながりますか?)当然、統一教会のことについては、一つのきちっとした基準を決めて、それに基づいて皆さんが納得するような解決をされるのでは。例えば、秘書が関連団体のイベントに祝電を打ったとして、それをバツだって言ったら、もう人事できなくなっちゃう」

***

ここまでに、茂木幹事長・麻生副総裁・松野官房長官の続投が固まっているほか、林外務大臣も続投の方向で調整しているということです。

安倍元総理の弟・岸防衛大臣は、健康面も考慮して交代の方向で調整されています。

金子農水大臣・二之湯国家公安委員長も交代の方針。一方、岡田直樹参議院議員の初入閣も有力視されています。

萩生田経済産業大臣は、留任や党役員での起用が取り沙汰されています。

共同通信が先月30日、31日に行った世論調査では、内閣支持率が前回より12.2ポイント下がり、51.0%となりました。

また「旧統一教会と政界の関わりの実態解明をすべき」と答えた人が80%以上に上りました。

◆政治部・原慎太郎記者

(Q.旧統一教会との関係を認めた閣僚はどうするのでしょうか?)

一口に「関係を認めた」と言っても、人によって濃淡があります。

関連団体の会合であいさつしたり、祝電を送っただけという閣僚もいれば、選挙を手伝ってもらうなど、かなり深い関係にある閣僚もいます。

当然かもしれませんが、この関係が深い閣僚については起用しない方針です。

具体的には、教会をめぐる発言が問題視されている二之湯国家公安委員長と、健康面も不安視されている岸防衛大臣は交代する方向です。

改造の規模は、閣僚の半数以上が入れ替わる大幅改造となる見通しです。

その結果として、数は別として、安倍派の議員が外れるケースが出てくる可能性はあります。

(Q.安倍派の萩生田経産大臣は自ら「継続してやっていくことが望ましい」「俺は骨格じゃなかったのか」と発言しています。自信の現れなのか、アピールなのか、どう見ていますか?)

萩生田氏は、これまでも安倍元総理と岸田総理をつなぐ役割を果たしてきたので、岸田さんにとっては重要な人物といえます。

萩生田氏については、政調会長に起用する案と、エネルギー分野など多くの課題を抱える経産大臣に留任させる案が検討されています。

萩生田氏は7日、総理公邸で約40分間、岸田総理と面会していて、その場で政調会長のポストをにおわされた可能性があります。

それが8日の発言につながっていて、萩生田氏としては「政調会長をやるなら経産大臣として残りたい」という意思表示をしたとみることもできます。

萩生田氏の人事について、岸田総理は8日、安倍派の幹部に対して「私が決めさせていただきます」と伝えたということです。

(Q.今回の人事のなかで、各派閥が活発に動いていて、岸田総理にねじ込んできている感じがしますが、どうですか?)

私も同じ印象です。というのは、岸田総理が人事の日程を示してから、実際に人事を決めるまでの期間が極端に短い短期決戦のため、派閥の希望をできるだけ伝えよう・通そうと思って動いているように感じます。

まだ人事の全容が見えていないので、そこまで表立って反応している議員はいませんが、どのような人事をしても必ず不満は噴出するので、そこをどう押さえるかが、安定した政権運営を続けていけるかのカギになると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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