映画『ハンナ・アーレント』オリジナル予告編

1960年、衝撃的なニュースが、世界を駆け巡る。ナチス親衛隊で何百万のユダヤ人を強制収容所へ移送した責任者アドルフ・アイヒマンが、逃亡先のアルゼンチンで、イスラエルの諜報部に逮捕されたのだ。
ニューヨーク在住のドイツ系ユダヤ人で高名な哲学者、ハンナ・アーレント(バルバラ・スコヴァ)は、裁判の傍聴を希望、ザ・ニューヨーカー誌にレポートを書きたいと持ちかける。著書「全体主義の起原」で名声を得ていたアーレントの要望は、即座に受け入れられた。
旧友の哲学者ハンス・ヨナス(ウルリッヒ・ノエテン)、親友のアメリカ人作家メアリー・マッカーシー(ジャネット・マクティア)らがアーレントの決意を称える。しかし、夫のハインリヒ・ブリュッヒャー(アクセル・ミルベルク)だけは、アメリカ亡命前に強制収容所で受けたアーレントの心の傷が再び開くことを心配していた。
1961年、イスラエルに到着したハンナは、真っ先にクルト・ブルーメンフェルト(ミヒャエル・デーゲン)を訪ねる。ユダヤ国家再建を願うシオニストであるクルトは、アーレントとは家族のような信頼で結ばれていた。
裁判が始まった。アーレントは、アイヒマンが想像していた”凶悪な怪物”ではなく、”平凡な人間”なのではないかと思い始める。命令に従っただけで反ユダヤではないというアーレントの主張に、クルトたちは激怒する。だが、熾烈な論争が終わると、クルトは帰国するアーレントをやさしく見送る。
アーレントの原稿は進まない。様々な証言が頭を巡り、うまく思考がまとまらない。アーレントの若き日の師であり恋人で、その後ナチスに入党したマルティン・ハイデガーとの思い出も交差する。そんな時、夫ブリュッヒャーが脳動脈瘤破裂で倒れてしまう。アーレントの献身的な看病で一命を取りとめるが、アーレントの執筆はさらに中断してしまう。
アイヒマンに死刑の判決が下されたのをきっかけにアーレントは執筆を再開、第1稿をハンスに見せる。だが、ハンスもアイヒマンはヒトラーに従っただけだというくだりに反論、こんな原稿は発表しないでくれと懇願される。
1963年、完成した原稿を読んだザ・ニューヨーカー誌の編集部は、5回に分けた連載とその後の出版を決めるが、ユダヤ人指導者がナチスに協力していたという箇所に憂慮する。アーレントは「事実」だと断言し、原稿はそのまま掲載される。
発売直後、世界はたちまち大騒ぎになった。「アーレントによるアイヒマン擁護」と非難され、編集部に抗議の電話が鳴り続ける。大学の同僚たちもハンナを攻撃し、今や味方は愛する夫ブリュッヒャーと親友メアリーとロッテだけだ。
郊外に引きこもり、固く口を閉ざしていたアーレントのもとに、イスラエル政府の使いが現れ、記事の出版を中止するよう警告する。彼からクルトが危篤だと聞いたアーレントはイスラエルへ駆けつけるが、病床のクルトに「もう君とは笑えない」と背を向けられてしまう。
ニューヨークへ帰ったアーレントは、さらなる嵐に呑み込まれる。誹謗中傷の手紙が続々と届き、大学からは辞職を勧告される。アーレントは、学生たちへの講義という形で、初めての反論を決意する。今、アーレントの全存在をかけた魂のスピーチが始まる──。

10月26日(土)より岩波ホールほか全国順次公開

配給・宣伝:セテラ・インターナショナル

©2012 Heimatfilm GmbH+Co KG, Amour Fou Luxembourg sarl,MACT
Productions SA ,Metro Communicationsltd.

公式サイト
:www.cetera.co.jp/h_arendt

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