参院選での自民党の圧勝で日本では原発再稼働を急ぐ声も上がっていますが、いわゆる核のゴミの最終処分場の問題がクリアできていません。こうしたなか今年、最終処分場の建設に踏み切った国があります。
使用済み核燃料の最終処分場の問題の解決に一歩踏み出した国があります。
記者
「こちらが使用済み核燃料の最終処分場の建設地です。今まさに工事が行われています」
スウェーデンの首都ストックホルムから北におよそ120キロの位置にあるエストハンマル市、フォルスマルク地区。既に3基の原発があります。
今年1月、スウェーデン政府はここに使用済み核燃料の最終処分場を作ることを承認しました。建設するのは電力会社などが出資する核廃棄物管理会社です。使用済み核燃料を地下およそ500メートルに埋め、放射能が無害化されるまでおよそ10万年保管する計画です。
SKB(核廃棄物管理会社)広報担当者
「永久に安全だと言えます。我々の研究では100万年安全との結果が出ていますから」
こうした最終処分場はフィンランドの「オンカロ」に続き世界で2例目になります。
埋められる予定の使用済み核燃料は、最終処分場予定地の南およそ400キロにある中間貯蔵施設に保管されています。
記者
「最終処分場が完成するまではスウェーデンの発電に使われた全ての使用済み核燃料が、こちらのプールに保管されています」
最終処分場の深さに近い、地下460メートルの場所で実験が行われていました。実際に使われる銅製の容器を用いて、長年、地下水にさらされ容器が腐食することを想定した検証が行われています。
また、最終処分場予定地の住民を招いた説明会も行われました。
SKB(核廃棄物管理会社)広報担当者
「何を建設するか住民が理解した上で判断してもらうことが重要。上手くいきました」
こうしたこともあってか、建設予定地の世論も2003年には賛成が6割だったのが2010年以降はおよそ8割に達しています。
住民
「(使用済み核燃料は)どこかに捨てなければなりません。さもないと他でやることになります。ここは適した環境なんです」
市長は、地元での雇用創出とならんで政府などと企業が協力して住民の理解を深めてきたことが大きいと強調します。
エストハンマル市長
「住民の理解を得るには、企業と自治体双方の情報開示と透明性がとても重要だと考えています」
もともと発電量の4割を原子力に依存するスウェーデン。ウクライナ情勢を受けてエネルギーでロシアに依存すべきでないとの機運も高まり、原発への支持は84%に上っています。
ただ、賛成意見ばかりではありません。
住民
「10万年保管するなんて、想像を絶します。原子力が持続可能なエネルギーだとは思えません」
日本でも改めて原発が注目されていますが、最終処分場の問題の解決と、その過程の透明性と信頼の確保は避けて通れません。
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