“自首勧められ逆ギレ”“とっさに行動”殺害の罪を認めた１７歳少年が証言～福岡の商業施設で女性客刺殺事件

2022年7月25日 2022年7月25日 5分51秒

jin115z

福岡市の大型商業施設で２０２０年８月、女性客を殺害したなどとされる少年（当時中学生）の裁判員裁判は２日目、被告人質問が行われた。少年は「逆ギレしたとっさの行動」などと動機を語る一方、被害者への謝罪については矛盾する答弁を連発した。

◆焦点は「刑事罰」か「保護処分」か
17歳になった少年は福岡市中央区にある大型商業施設のトイレで女性（当時21）の首などを包丁で何回も刺して殺害したなどとして殺人などの罪に問われている。初公判で少年を含む弁護側は起訴内容を認めた。検察側は更生の可能性が乏しいとして刑事罰を求め、弁護側は保護処分を訴えている。

7日午前中に行われた弁護側の被告人質問で、少年は「自分の勝手な行いで将来だったり、色々なものを自分が奪ってしまったことを申し訳なく思います」と亡くなった女性に謝罪の言葉を述べた。更生については「専門医の治療を積極的に受けようと思う」と意欲を示した。

◆逆ギレしてとっさに・・・当日の経緯が明らかに
一方、断片的ではあるものの、事件につながった動機が少年の口から語られた。

少年はそれまで少年院を転々とし、事件の２日前に保護施設に移ったばかりだった。その施設からの引き取りを母親から拒絶されたことについて「地元に戻って頑張ろうと思っていたので前向きになれなかった」と不満を露わにした。

また、商業施設のトイレにいた女性に包丁を向けると「たしなめられるように自首をすすめられました」「母親の姿と重なって怒ってしまった」と振り返った。

続く検察側の質問に対しても、被害女性に自首を勧められたことで「逆ギレした」と答え「女性が母親と同じように思えた」とも付け加えた。母親とその日たまたま商業施設に居合わせた女性。２人に接点はないものの、少年にとっては“拒絶”される出来事が相次ぎ、衝動的な行動に結びついたという主張だ。

◆遺族側に「クズはクズのまま、自分は変わらない」
裁判には、被害者参加制度を利用して被害女性の母親の代理人（弁護士）も出席している。代理人からの質問で先出の謝罪や更生の意とは180度異なる“矛盾”する答弁が相次いだ。家裁審理の時に「1人ぐらい死んだって大したことない」と発言していたことを問われると少年は「今も変わらない」と述べた。

さらに被害者のことを思い返すことは「特にない」、「更生はたぶんできない、人間はクズはクズのまんまで、変われることはないと思ってます」とも発言。遺族からだろうか、法廷にはすすり泣く声が響いた。

母親の代理人が「謝罪の気持ちはありますか」と改めて質問すると、少年は「謝罪がどういうことなのかわからないので、特にないです」と締めくくった。

◆公開法廷で１７歳少年が“証言”一問一答（抜粋）
＜弁護側の被告人質問＞
Ｑ小学生の頃からトラブルを起こしていたのは間違いないですか
Ａ間違いないです

Ｑ原因はありましたか
Ａ家でのストレスだったり、そういうのを発散していました

Ｑ家でのストレスとは何ですか
Ａ親とうまくいかなかったり、きょうだいでも喧嘩が多かったりして、ストレスが多かったです

Ｑ小学生の頃家族そろって食事したことはありますか
Ａ幼い頃はありましたが、そんなにないです

Ｑ幼い頃とは
Ａ３、４歳の頃です

Ｑ普段は何を食べていた
Ａ祖父母からもらったものを食べていました

Ｑ母から与えられたものはありますか
Ａ特になかったです

Ｑまったく食事がない時も
Ａまったく食事がない時もたびたびありました。だいぶつらかったです

Ｑ学校のトラブルで施設に入り、施設でもトラブルをおこしましたね
Ａ職員に暴力をふるったり、施設の子に暴力をふるったりしてました。施設の職員の人たちは仕事で接していると感じて暴力を振るいました

Ｑ施設を転々としていましたが、その間に信頼できる大人はいましたか
Ａ一人もいなかったです