安倍元総理が倒れた後に「最大の問題」 米の警備プロが指摘(2022年7月10日)

 10日も各地では、安倍元総理の死を悼む人の姿が…。東京の自宅前にも…。

 アメリカのブリンケン国務長官も哀悼の意を表すため、11日、日本を訪れる予定です。

 選挙演説のさなかに起きた凶行。

 安倍氏の背後に映り込んでいる男が山上容疑者です。

 安倍氏の周りには、スーツ姿の警備担当者とみられる人物が確認できます。

 安倍氏がいたのは、ガードレールに囲まれた一角。

 山上容疑者は車道を挟んだ位置にいました。

 警備体制に、問題はなかったのでしょうか。

 オバマ大統領や、就任前のバイデン大統領の警護にもあたったプロに今回の現場の分析を依頼しました。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「観衆との距離が近すぎます。安倍元総理が立っている所は低いガードレールがあるだけで、観衆からの距離が3メートルくらいしかありません。誰もが歩いて安倍元総理に近付けてしまいます」

 最初は道路を挟んだ所に立っていた山上容疑者。

 動き出したのは、演説が始まってから1分14秒後のことでした。そして、安倍氏の背後数メートルの場所に近付き…。映像は、弾丸とみられる、黒い物体を捉えていました。

 奈良県警は、初めて不審者を認識したのは最初の銃声の後だったと説明しています。これに対して警備のプロは…。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「銃を持った男が近付いてきて構えるところ、恐らく1秒か2秒。十分時間があったはずなのに誰も動いていません。誰もです」

 そして、2発目の発砲音が響きます。

 ボムベース氏は、日本は銃規制が厳しく、銃撃を想定した警備にはなっていないのではとしたうえで、こう指摘します。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「少なくとも銃口と安倍元総理との間に入ることはできたはず。映画のように簡単にいかないと思うかもしれないが、少なくとも攻撃の邪魔はできた」

 そして、最大の問題は、安倍氏が倒れた後の行動にあるといいます。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「ここ見て下さい。警察官全員が容疑者の方に向かって走っています。こんなに大勢はいりません。容疑者はすでに取り押さえられています」

 映像では、山上容疑者を取り押さえようとする場所に4人の人物が向かっている姿が確認できます。

 米民間警備会社・ボムベースCEO:「容疑者の1カ所に集中しすぎて、次の脅威を見逃しています。銃を持っている不審者が他にもいたらどうしますか?」

 さらに、安倍氏が撃たれてから救急車を呼ぶのではなく、事前に治療できる病院と救急車を確保しておくべきで銃に対する備えを見直す必要があると指摘しました。

 当初、奈良県警は警備体制について…。

 奈良県警・警備部参事官:「お答えは差し控えさせて頂く」

 奈良県警・刑事部長:「(Q.責任の所在あるなしについては言及しない?)現場は現在、捜査中なので…」

 しかし、9日は一転して…。

 奈良県警・鬼塚友章本部長:「痛恨の極みであります。このような重大な結果を招いたことを踏まえ、安倍元総理の警護・警備に対する問題があったことは否定できない」

 一方で、選挙遊説中の警備の難しさを指摘する声もあります。

 元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:「政治家によっては聴衆と身近に接したい。過去には握手の数だけ票が集まる。警備体制にとっては危険が生じてしまう。所持品検査を強制的にやることで、聴衆の人数が減ってしまうこともある。警護員も臨機応変に判断できる訓練を強くやらないといけない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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