所信表明演説で核兵器のない世界の実現を掲げた岸田総理、被爆地広島出身の総理大臣として、一体どのようにして実現しようとしているのか、その本気度を探りました。
▽“所信表明”受け・・・若者らオンライン会議
(岸田文雄総理大臣 8日 所信表明演説)
「被爆地・広島出身の総理大臣として私が目指すのは『核兵器のない世界』です。これまで世界の偉大なリーダーたちが幾度となく挑戦してきた核廃絶という名のたいまつを、私もこの手にしっかりと引き継ぎ『核兵器のない世界』に向け、全力を尽くしてまいります」
その日の夜、総理の地元・広島では若者たちがオンラインで会議を行っていました。
(カクワカ広島 田中美穂代表)「岸田さんが首相になったのをどう思うか。みんなの意見を聞きたいなと」
「広島の人ということで応援したい気持ち半分、広島の声を届けてくれるのかなという気持ち半分」
「所信表明演説を聞いていても中身が見えてこないんですよね。なんというかそれ(核廃絶)はすごく大事な目標だと掲げながら、そこに向かう具体的な政策が見えなかったり・・・」
カクワカ広島は、唯一の戦争被爆国である日本が核兵器禁止条約に参加しなかったことに疑問を持ち、2019年に活動を始めました。
(田中さん)「核兵器の廃絶を目指すべき?」
地元・広島の議員らに条約への賛否と、どうすれば核廃絶できるかを聞き、その答えをSNSで発信する活動を行っています。
これまでに与野党の現職国会議員9人にインタビューを行いました。
岸田氏にも2年半にわたり何度も手紙を送り面会やアンケートへの回答を求めましたが・・・
(田中さん)「ちょくちょく事務所の方とは連絡させてもらっているんですけれども(事務所から)『簡単に自分の考えを言ってしまうと、どこかを乱してしまう』というか『難しい問題なんだよね』ということをおっしゃいます」
(カクワカ広島を立ち上げた 安彦恵里香さん)「私の実感として(岸田総理は)全然話を聞いてくれないという感じです。だからテレビの中と私たちから見える岸田さんの乖離がすごすぎてびっくりしています」
岸田総理はどうやって「核兵器のない世界」を実現しようとしているのでしょうか?
被爆地・広島の政治家として核廃絶に強い思い入れを抱いてきたという岸田氏。
岸田外務大臣(当時)(2012年年)
「唯一の戦争被爆国の立場、国民の想いをしっかり国際社会の中で訴えていく」
Q.核廃絶に取り組むということ?「おっしゃる通りです」
(2016年10月会見)
実は、外務大臣だった2016年、核兵器禁止条約をめぐる交渉に「積極的に参加し、主張していきたい」と述べています。しかし・・・
岸田外務大臣(2017年3月会見)
「今後この交渉へは参加しないということにいたしました」
この時、アメリカは同盟国などに圧力ともとれる文書を送っていて、日本にも送られていたといいます。
核保有国のアメリカは条約に反対していて、日本は、そのアメリカの「核の傘」の下にいます。
岸田氏は著書で、当時政府内には「『核の傘』を提供するアメリカの立場を考えれば日本の参加など考えられない」などとする意見が多数あったと明かし、私の試みは時期尚早だったと述べています。
8日、カクワカ広島を訪れたのは、岸田総理の父・文武氏の盟友で元広島市長の平岡敬さんです。
(平岡敬 元広島市長)「本気かどうか、それが問題だよ やっぱり」
1997年の平和宣言で「“核の傘“に頼らない安全保障」を市長として初めて政府に求めた平岡さん。
核廃絶の難しさを知り抜いた上で岸田総理に、こうエールを送ります。
(平岡敬 元広島市長)
「それをやるなら本気でやれと、口だけじゃダメだよと。そんなに簡単なことじゃないと私もよくわかっているけれども、しかし総理大臣になってね、せっかくなったら何かひとつやれよ。何かひとつ残してほしい。さすが岸田だなというのをやってほしいよね」
▽「勇気を持って」被爆者からの期待
核兵器禁止条約の採択に尽力したカナダ在住の広島の被爆者、サーロー節子さんは今月4日、岸田総理宛てに条約に加わるよう求める手紙を送っています。
(13歳の時に広島で被爆 サーロー節子さん)
「広島長崎であれだけの人が苦しんできて、だから今度の条約の中で、日本から建設的な意見が提供されるべきだと思いますね」
サーローさんは手紙の中で、原爆で亡くした4歳の甥が岸田総理の親戚にあたる岸田英治さんだと明かしています。
(サーロー節子さんが岸田総理に宛てた手紙)
「彼の小さな体は、何者か判別もできない溶けた肉の塊に変わってしまいました。彼の死を、あるいは彼と同じように非業の死を遂げた幾多の人たちの死を、決して無駄にしてはなりません」
(サーロー節子さん)「ここの叔母さんがですね、岸田家の叔母さんと姉妹だった」
岸田政調会長(当時)「そうかその辺で続いているんですね」
サーローさんは2018年、遠い親戚でもある岸田氏に面会しています。
「その時の印象としては、あなたの意見に耳を傾けますという態度が非常に鮮やかに見えたんです。それで私はほっとしているんですね。だから大いに期待もしているのです」
一方、岸田総理は就任会見で核兵器禁止条約の重要性を強調しつつも、サーローさんらが求めている締約国会議へのオブザーバー参加については明言しませんでした。
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