「あんなに良い家族だったのに…」その正体は“詐欺家族”　給付金10億円を詐取の手口とは？“主犯格”の父親は逃亡【Nスタ】｜TBS NEWS DIG

2022年6月6日 2022年6月6日 6分24秒

hamusoku

新型コロナの持続化給付金をだまし取ったとして家族3人が逮捕され、“主犯格”の父親が指名手配されている事件。被害総額は約10億円にのぼるとみられています。家族ぐるみの犯行はどういった手口で行われたのでしょうか？周囲からは「良い家族。お金持ちだと思っていた」との声も…“詐欺家族”の実態とは？

■一家4人家族ぐるみで詐取　“主犯格”の父親はインドネシアに逃亡

井上貴博キャスター：
手続きを簡略化しましたので、悪用する輩は出てくるだろうとは言われていました。ここからどこまで捜査を進めていけるのでしょうか？海外に逃亡しているという主犯格の男もいる、家族ぐるみの犯行でした。現時点で分かっている構図です。

詐欺の疑いで5月30日に逮捕されたのが3人です。
▼母親・谷口梨恵容疑者（45）、▼長男・大祈容疑者（22）、▼犯行当時19歳の次男です。容疑としては、新型コロナウイルスで収入が減った個人事業主を装い、持続化給付金300万円をだまし取った疑いです。3人の認否について警察はまだ明らかにしていません。

それぞれの容疑者に共犯者がいました。
▼母親の共犯者
　兵庫県の会社員男性（50代）　「建設業」で嘘の申請100万円
▼長男の共犯者
　東京都の飲食店のフィリピン人女性（50代）　「小売業」で嘘の申請100万円
▼次男の共犯者
　三重県の契約社員の男性（20代）　「建設業」で嘘の申請100万円

主犯格とみられる父親は、谷口光弘容疑者（47）です。2020年10月の時点でインドネシアに逃亡しています。国際指名手配の手続きも準備しているということです。

■約10億円を不正受給か　その手口は？全国各地でセミナー開催も…

お金の流れを見ていきます。まず、主犯格の谷口光弘容疑者がいます。母親と長男はそれぞれインターネット・メールで申請をする担当で、次男は確定申告書を作る税務署関係を担当していたということが分かっています。

セミナーも開催し、36都道府県の名義人を集めました。時期は2020年5月から9月の短期集中のような形で、約1780件の虚偽申請を行いました。このうちの約960件分、金額にすると約9億6000万円を不正受給したとみられます。

手口についてです。取材で分かっていることは、持続化給付金の申請を代行する。1件につき十数万円から数十万円の報酬をくださいというやりとりをしていたようです。

そして東京・港区のマンションでセミナーを開くなど拠点にしていた可能性があります。父親が息子2人を東京に呼び、手伝わせていたというようなことも分かってきました。

ホラン千秋キャスター：
金額が大変大きく驚きましたが、こんなことが起きうるシステムだったのですね。

TBSスペシャルコメンテーター星浩氏：
感染拡大の時でしたから、とにかく申請があったらなるべく早く認めようという風潮はありました。それにしてもこれだけ大規模になった犯罪が、どこかでチェックできなかったのか見抜けなかったのか、それはなぜなのかというのを検証する必要があります。これは税金ですから、絶対やってもらいたいです。

ホランキャスター：
スピード感を重視した結果、こういったことになってしまったのかもしれないですが、虚偽申請を行った約1780件のうち、今分かっている段階で、約960件分ということなわけですよね。となると、これが増える可能性もありますか。

星氏：
おそらくもっと増えるということもありますし、逮捕された人以外にも関わっている人が相当いますから、氷山の一角という、まさにその通りです。

■「あんなに良い家族だったのに…」逃亡の父親の捜査は？

井上キャスター：
捜査を進める上で、父親も2020年10月の時点で出国しているわけですけど、インドネシアとの捜査協力というのはどこまで進んでいくのか。

星氏：
おそらくインドネシアと共助の協定がありますから、向こうでもし見つかって逮捕されれば日本に送還されてくるということだと思います。

井上キャスター：
まずは向こうの警察に見つけてもらうということになるのですか。

星氏：
向こうに日本の警察が行くということは中々できませんから、そういうことだと思います。

井上キャスター：
三重・松阪市には、この家族が住んでいたとみられる住宅があります。家族を知る人からはこういった話も出てきています。

近所の人
「あんなに良い家族だったのに、何でなのかなと思って…外車があったり、お金持ちの家なんだと思っていました」

谷口容疑者の仕事の関係者
「（光弘容疑者は）金儲けが上手そうな感じ。頭の回転が速いから色んなことを考えられる人なんだなと」

■相次ぐ給付金の不正受給　日本の“デジタル化の遅れ”浮き彫りに？

持続化給付金の不正受給については、こんなデータも発表されています。経済産業省によりますと5月26日時点で、1218者、総額12億2557万3000円の不正受給が分かっています。