「打撃与えてやろう」誤送金“返金拒否”の理由・・・町側弁護士“費用高すぎ”に自ら反論(2022年5月25日)

 山口県阿武町が給付金4630万円を誤って振り込んだ問題で、町が田口翔容疑者(24)に返金を求めるやり取りの一部が明らかになりました。田口容疑者は「許せなかった」「打撃を与えてやろうと思った」と、町の対応への不満を語っていました。

■田口容疑者“態度硬化”の理由

 阿武町・花田憲彦町長:「本日現在、合計で4299万円3434円を法的に確保することができました」

 24日、緊急の会見に臨んだ山口県阿武町の花田町長。町が、田口容疑者に誤って振り込んだ4630万円のうち、9割以上にあたる、およそ4300万円を確保したとことを明らかにしました。

 事態は大きく前進し、全額回収も見えてきたことに、町の人は、次のように話します。

 阿武町民:「あと、わずかじゃ、ねえ?まぁまぁ」

 一方、田口容疑者が返金を拒み、態度を硬化させた理由について、町の職員に語っていたことが、24日に新たに関係者への取材で分かりました。

 振り込んだ直後、誤送金に気付き、副町長が田口容疑者の勤め先を訪れるなど、何度も説得を試みていた阿武町。しかし、振り込まれた8日当日から、デビットカード決済による出金が行われていました。

 先月21日、町の職員と田口容疑者の間では、こんなやり取りがあったといいます。

 田口容疑者(関係者によると):「副町長来ました、急に。会社来て『今から銀行連れてっていいですか』って。やっぱ、おかしいじゃないですか」

 町のやり方に、田口容疑者は不満を訴えていました。

 田口容疑者(関係者によると):「そういうのも余計、僕からしたら火のつくようなものなんですよ。もう許せなかったんですよ。打撃を与えてやろうと、思った部分も正直ありました」
 町の職員(関係者):「逃げようとか、そういうのは?」
 田口容疑者:「ないです、ないです。どっかの離島とかで、ひっそり暮らせたかもしれないけど、そういう考えはなかったです」

 この時すでに、口座からは4630万円の大部分が失われていました。

 その後、「お金は使い切った」と告白し、日本中を驚かせる事態に発展した騒動。回収の難航が予想されていましたが、急転直下、4630万円のうち、およそ4300万円が確保されたことになります。

■町は決済代行業者に“ある対応”

 一体、どうやって確保したのでしょうか?

 町側の弁護士によりますと、誤って振り込まれた4630万円を、田口容疑者はB銀行とC銀行にある3つの決済代行業者の口座に移動。この業者を通して、インターネットカジノへ金が移ったとみられるといいます。

 阿武町の代理人・中山修身弁護士:「自分のものではないと知りながら、そういう賭博か何か知らないけど、そんなことをやっていれば、これは民法90条で公序良俗に違反する取引だということになります」

 そこで、町側は3つの決済代行業者について、ある対応を行ったといいます。

 中山修身弁護士:「3つの会社の事務所に行って、差し押さえと、即時に払えという取り立て命令の紙を置いて帰りました」

 町は、3つの業者の口座に移された金について、田口容疑者が不当に得た財産とみなし、差し押さえ、取り立て処分を行ったところ20日に、3社から、およそ4300万円が町の口座に振り込まれたというのです。

 では、「全額使った」という田口容疑者の証言はうそで、口座に金が残っていたということなのでしょうか?

 中山修身弁護士:「彼ら(代行業者)に取り立て命令を出したら、彼らがなぜか満額払ってきた」

 つまり、決済代行会社の口座に金が残っていたかは分かりませんが、代行業者側が金を振り込んできたというのです。

 専門家は、次のように話します。

 弁護士・大澤孝征氏:「おそらく返した業者のほうは、警察の強制捜査の手が入って、諸々の書類等が押さえられてしまうのを恐れたのではないか。顧客名簿とかが押さえられてしまうと、業務に差し支えが出てくるし。あるいは、見られたくないものまで、見られてしまう」

■「弁護士費用高すぎ」に自ら反論

 誤って振り込んだ4630万円のうち、残るはおよそ330万円。それに加え、請求金額のおよそ1割にあたる500万円近い弁護士費用などの支払いも、町側は田口容疑者に求めています。

 24日の会見では、その“弁護士費用”について、一部の報道で「高いのではないか」といった声が上がっていることに、弁護士自ら反論する場面もありました。

 中山修身弁護士:「ですから、(弁護士費用の)463万円は別に、私と町との間の具体的な委任契約における金額ではない」

 あくまで、阿武町が弁護士費用として請求額の1割を容疑者に求めているだけで、その金額がそのまま報酬になるわけでないと説明しました。

 では、現在、無職の田口容疑者が、500万円もの弁護士費用を払えなければ、誰が支払うことになるのでしょうか?

 みずほ中央法律事務所・三平聡史代表弁護士:「田口容疑者が払おうが払うまいが、町が払うので。その後に、田口容疑者に対して、支払いを請求する。(田口容疑者から)回収できなかった場合は、結果的には税金で賄ったということになります」

(「グッド!モーニング」2022年5月25日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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