山口県阿武町が4630万円を誤って振り込んだ問題で、花田憲彦町長が、誤送金のおよそ9割に相当する4299万円余りを「法的に確保した」と発表しました。また、田口翔容疑者（24）が町に対して、「打撃を与えてやろう」と話していたことが分かりました。
■約4300万円回収実現・・・容疑者「打撃与える」
阿武町・花田憲彦町長：「合計で4299万3434円を、確保することができました」
4630万円が誤って振り込まれてから、1カ月半余り。町長が24日、その9割以上を取り戻したと発表しました。
花田町長：「引き続き、公金の全額回収に向けて、これまで通り粘り強く努力していきたいと思っております」
「ネットカジノに使った」とされていた大金を、町はどうやって回収したのでしょうか。
また、返金を拒み続けてきた田口容疑者の動機の一部が見えてきました。
田口容疑者：「打撃を与えてやろうと思った部分も正直ありました」
■急展開に町民「ビックリしか」「良かった」
24日に会見した阿武町の花田町長。冒頭で、謝罪の言葉を口にしました。
花田町長：「町民の皆様、多くの方々に、大変なご心配や、ご迷惑をおかけしたことを、改めて深くおわびを申し上げます。また、この事件の発端が、町の事務事業のミスによる誤振り込みであることは、間違いのない事実でございまして。このことにつきましては、相手方の田口翔氏に対し、これまでもおわびを申し上げてきたところでございますが、この場を借り、改めておわびを申し上げたいと思います」
無職の田口容疑者。その口座に誤って振り込まれた、4630万円の大金。
田口容疑者：「全額をネットカジノに使った」
23日に事態は急転し、町の口座に3500万円余りが返金されたことが明らかになりましたが、24日に町長の口から語られたのは、それを上回る金額でした。
花田町長：「それでは、本題に入らせて頂きます。本日現在、合計で4299万3434円を、確保することができましたので、本日この記者会見を開催させて頂きました」
およそ4300万円が、決済代行業者側から、町の口座に入金されたといいます。町は、誤って振り込んだ4630万円のうち、9割以上を取り戻したことになります。
花田町長：「引き続き、公金の全額回収に向けて、これまで通り粘り強く努力していきたいと思っております」
この急展開に、阿武町の住民は、次のように話します。
町民：「ビックリしかないね。もっと長引くかなと思ってたけど。比較的ね、早めに返ってきたので」「（Q.返ってこないんじゃないかって？）はじめはね」「（Q.そこからかなりの金額が）そうそう。良かったなと思う」
■容疑者 町対応に・・・「やっぱりおかしい」
一方、誤って振り込まれた4630万円のほぼ全額を出金するまで、返金を拒み続けていた田口容疑者。町の関係者への取材で、田口容疑者が職員に対して発言していた内容が、新たに分かりました。
田口容疑者：「副町長、来ました。急に会社に来て、『今から銀行に連れて行っていいですか』って、やっぱりおかしいじゃないですか」
田口容疑者が「おかしい」と訴える出来事は、先月14日の副町長たちとの面会です。
副町長：「（4月）14日木曜日に、（田口容疑者の）母親と私、および職員1人が勤務先に赴き、責任者の了解を得て本人と面会することができましたが、本人は役場の非ばかりを述べ、『弁護士と話してから対応する』との一点張りで、会話が成り立たないような状況でした」
町側が「田口容疑者との会話が成り立たなかった」と訴える一方で、田口容疑者は、この日の対応が「許せなかった」といいます。
田口容疑者：「余計に、僕からしたら、火がつくものなんですよ。もう許せなかったんですよ。『打撃を与えてやろう』と思った部分も、正直ありました」
面会があった先月14日の時点では、4630万円のうち半分以上が出金され、町にとって、すでに大打撃が与えられていました。
自宅を訪問した職員に対し、こうした発言をしたのは、面会から1週間後の先月21日。田口容疑者はこの日初めて「お金は動かして元に戻せない」などと明かしました。
町の職員：「逃げようとかは？」
田口容疑者：「ないです、ないです。どこかの離島で、ひっそり暮らせたかもしれないけど、そういう考えはなかったです」
■約4300万円・・・決済代行3社から直接取り立て
田口容疑者側が、ネットカジノで使い果たし、返済能力もないとしてきた、4630万円。町はどのようにして、その9割以上を回収することができたのでしょうか。
24日の会見で、町の代理人を務める弁護士が経緯を説明しました。
中山修身弁護士：「公序良俗違反ですよね、カジノに使ったとか。職員は東京に出張しまして、3つの会社の事務所に差し押さえと、即時に払えという取り立て命令の紙を置いて帰りました」
田口容疑者が繰り返し出金していた、3つの決済代行業者。町は19日、3社に対して、国税徴収法などに基づいて、差し押さえと取り立ての処分を行いました。
3社はすぐに対応。翌日には、合わせておよそ4300万円が町の口座に振り込まれたということです。
ただし、町は代行業者側で、お金がどのように移動したのか、分かっていません。
中山修身弁護士：「（Q.（決済代行業者が）代わりに肩代わり）それは分かりません」「（Q.お金をすったか、どこかに残っていたか）分かりません。どちらかではなくて、分かりません」「彼らに取り立て命令を出したら、彼らがなぜか満額払ってきた」
■回収成功も・・・カジノ使った？金流れは
決済代行業者の実態について、元検事の亀井正貴弁護士は、次のように話します。
元大阪地検検事・亀井正貴弁護士：「適法な資金需要に応じて、代行決済をするのは、もちろん多い。そのなかで、資金移動の原因がカジノであるとか、賭博に類するような違法な行為に関わってくる場合は、グレーゾーンであったり、違法行為そのものという評価を受ける。真っ当なところもあるし、怪しいところもある」
ネットカジノと決済代行業者。不透明なお金の流れは明らかになるのでしょうか。
岡安弥生リポーター：「誤送金されたお金がそのまま返ってきたわけではなく、町のお金がどのように流れて、何に使われて、もしくは使われているのか、いないのか分からない状態。それについては、どう思われますか」
花田町長：「できるだけの解明は、ただ、私たちの力だけではできない。警察のほうで、一定程度明らかになると思いますので。私としては、町民に対して、説明がしっかりできたらいいなと」
また、阿武町は、まだ取り戻せていない残りのおよそ330万円についても、回収方法を検討するとしています。
（「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年5月25日放送分より）
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp
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