「現金を渡され『あと3時間雇われてくれ』」くら寿司で店長が高校生アルバイトを“自爆雇用”

「現金を渡され『あと3時間雇われてくれ』」くら寿司で店長が高校生アルバイトを“自爆雇用”

 大手回転寿司チェーン「無添くら寿司」の複数の店舗において、店長が自腹を切ってアルバイトに給与を支払っていたことが「 週刊文春 」の取材でわかった。店長にポケットマネーを渡されて労働したアルバイトには未成年の高校生(当時)も含まれており、労働基準法に抵触する疑いがある。

 くら寿司は東証プライム上場の一大回転寿司チェーン。2022年10月期の連結純利益は前期比51%増の28億円を見込むなど、業績は好調だ。同社を巡っては、山梨県甲府市にある店舗の店長が店の駐車場で焼身自殺していたこと、自死の背景に上司のパワハラがあったこと、現役従業員がパワハラを理由に会社を提訴する意向を示していることなどを小誌が3号にわたり報じている。

 そんな中、新たな情報が寄せられた。自らも会社に雇用されている店長が身銭を切ってアルバイトの給与を支払っていたというのだ。一般にノルマ達成のために自社商品を購入することを“自爆営業”というが、“自爆雇用”ともいえる行為である。

 高校時代から3年間にわたり、広島県の店舗でアルバイトをしていたAさんは、「(バイト時代は)多忙を極め、23時を超えて勤務していたこともあります」と振り返る。

 Aさんが証言する。

「バイト代とは別に店長からポケットマネーを渡されて働いたことがあります。2015年、高校2年の春頃でした。その日は9時~17時のシフト。退勤時刻の直前、店長に呼ばれて3000円を渡され、『あと3時間だけ雇われてくれ』と頼まれた。勤務時間は10時間を超えました」

 Aさんのケースと同様に、他の地域の別の店長たちも、自腹を切ってアルバイトを“自爆雇用”しているケースを小誌は複数確認している。
 労働事件に詳しい旬報法律事務所の佐々木亮弁護士はこう指摘する。

「店長の“自爆雇用”を会社が黙認していたとすればかなり悪質。『知らなかった』では済まされません。店舗に適切な人員配置がなされていない証拠です。

(Aさんについて)18歳未満の未成年者を22時以降に勤務させること、1日8時間・週40時間以上働かせることは労働基準法に明確に違反しています」

18歳未満の未成年者を22時以降に勤務させると…

 くら寿司本社に店長の“自爆雇用”について聞くと、以下の回答があった。

〈今般ご照会の事項につきましては、7年から8年も前のものであり、個別の事項に関するご回答には調査を要するところですが、これまでにご照会のような事項に関する当社への情報提供や通報等はございません。

 なお、当然のことながら、当社の店長にはご照会のような店長個人としてのアルバイトの採用等の権限も義務もありません。

 貴誌に情報提供があったとされる事項に関して、当社が対応困難な短期間での回答を求められ、貴誌に提供されたとされる断片的な情報がさも真実であるかのように報じられることに対しては、前回のご照会時にも申し上げましたが、当社としては遺憾に堪えないところです〉

 なぜ店長は身銭を切らなければならないのか。5月18日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および5月19日(木)発売の「週刊文春」では、Aさん以外の元アルバイトによる“自爆雇用”の証言、店長経験者が語る自腹でバイトを雇わなければならない理由などを詳報している。

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