“核の判断”担うロシア軍幹部が停職か ウクライナ軍が東部で反転攻勢 (2022年5月14日)

 ウクライナ情勢です。東部で連日激しい戦闘が続くなか、ウクライナ軍がロシア軍を押し戻しているという分析も出ています。こうしたなかイギリスのメディアは、核兵器使用の判断を担うとされるロシア軍幹部が東部での苦戦を理由に停職処分を受けた可能性があると報じました。

 ウクライナ東部の戦闘は激しさを増しています。

 ウクライナ軍は8日、東部ルハンシク州のドネツ川を渡っていたロシア軍に砲撃を浴びせて70台以上の戦車・装甲車を破壊し、およそ1000人の兵力を全滅させたと発表しました。

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、一日でロシア兵1000人が死亡するのは異例の事態です。

 ロシアはこれまでウクライナ東部のドンバス地方を占領するため兵力を増強してきました。ドネツ川はロシアとウクライナ東部を結ぶ川で渡河作戦失敗は今後、ロシアからの補給を難しくします。

 ウクライナ内務省は、ロシア軍が東部で占領地を拡大する「第2段階」に失敗し、現在は防御戦に移行する第3段階に入ったと指摘。

 「ロシアは作戦の長期化を決断した」と分析しています。

 ロシアにとってウクライナ東部の苦戦は予想外だったということでしょうか。

 イギリスの「インディペンデント紙」は、ウクライナ大統領府のアレストビッチ補佐官の話を引用し、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長が停職処分を受けた可能性を報じました。

 ゲラシモフ参謀総長は、プーチン大統領やショイグ国防相と共に核兵器使用の判断を担うとされる3人のうちの1人とみられる人物です。

 9日に行われたロシアの対ナチス・ドチツ戦勝記念日の軍事パレードにもゲラシモフ参謀総長は姿を現さなかったことからこうした見方が強まっているとしています。

 一方、近隣諸国ではロシアに対する安全保障が大きく変わろうとしています。

 チェコは11日、義勇兵としてロシアと戦う許可を求めた103人に対し、ウクライナ行きを認めました。

 チェコの法律は、国民に国外での戦闘参加を禁止していますが、ウクライナ義勇兵として戦闘に参加した国民を処罰しない方針で合意しているといいます。

 ゼマン大統領(チェコテレビNOVAニュースから):「プーチンは平和に対する罪を犯した戦争犯罪者だ。ウクライナへの攻撃はロシアを経済的、政治的に破壊するだろう。そしてロシアの人気も地に落ちるだろう」

 ゼマン大統領は親ロシア派の大統領でしたが、一体、何があったのでしょうか。

 首都プラハ在住のチェコ人に話を聞くと歴史が深く関係しているといいます。

 プラハ在住・チェコ人:「我々国民はこのような侵攻に大変敏感です。なぜなら1968年の出来事があるからです」

 1968年春・・・当時、ソ連の強い影響を受け、共産党の一党独裁だったチェコスロバキアで起きた民主化運動「プラハの春」。しかし、社会主義体制の危機を感じたソ連は同盟国とともにプラハに侵攻し、民主化の動きを弾圧しました。

 プラハ在住・チェコ人:「そして当時のチェコスロバキアがロシアによって占領されたのです。ロシア軍が入った地帯には“100年草は育たない”とよく言われています」

 チェコ政府はこれまでウクライナ対し戦車などおよそ160億円分の軍事支援もしています。

 一方、ロシアと1300キロの国境を接するフィンランドでは、国境にフェンスを設置する構想が進んでいます。

 国境の町の住人:「ロシア軍が国境を越えようと思えばフェンスは役に立ちませんが、何もないよりは良いと思います」

 フェンスの設置は検問所がある町などに限られていて、早ければ来月にもフェンスの種類や設置場所などの計画をまとめるとしています。

 さらに国内では攻撃への備えも行っているといいます。

 人口65万人のフィンランドの首都ヘルシンキには有事の際、72時間以内に避難者を受け入れることができるシェルターが90万人分備えられています。

 こちらの市民プールにはおよそ3800人が避難できるということです。

 ヘルシンキ市担当者:「今、シェルターとして使う警戒感はありませんが、シェルターが必要となればすぐに開設できます」

 フィンランドはこれまで「軍事的中立」を守ってきましたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けNATO(北大西洋条約機構)へ加盟申請する方針を決めています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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