「最後まで頑張りたい」創業73年老舗おもちゃ屋3月閉店…市民から”惜しむ声”北海道旭川市 (21/02/28 11:00)

3月閉店を決めた北海道旭川市の老舗おもちゃ屋。 

 買物公園で唯一のおもちゃ屋は、長年親しまれてきただけに閉店を惜しむ声が上がっています。

 今注目のeスポーツ。

 旭川市の中心部に2月、専用の競技場がオープンしました。 

 その目と鼻の先に、長い歴史に幕を下ろす老舗のおもちゃ屋がありました。

 「♪オモチャのたもちゃんです」 

 創業73年、「オモチャのたもちゃん」

 店先にはレトロなゲームソフトが並び、日に焼けたカプセルトイの販売機が歴史を感じさせます。 

 店内をのぞくと壁を埋め尽くすように、懐かしいおもちゃから最新のゲーム機まで。

 客:「あるよ300円」

 オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「いいから、いいから」

 客:「いいの?申し訳ないね」

 オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「これ高いんだよ、木製だから。だけど箱が壊れているから480円。いいゲームだよ、遊び方知らないけど」

 誰にでも明るく声をかけるのは店主の金子影子さん、88歳。 

 1人で店を切り盛りしています。

 オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「けん玉は売れる。コロナでしょ、これは家の中でできるから体にいいしょ。お客さんがだんだん出なくなってきた。買物公園の店、あちこち閉まっているじゃない」

 1972年、日本初の歩行者天国として誕生した買物公園。 

 多い時では8軒のおもちゃ屋が軒を連ねました。

 オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「ドラクエ3の発売の時、1000本以上売った、1日で。朝来たら並んでいた。誰も並んでと言わないのに」 

 郊外での大型店の進出で買物公園の人通りは減少しましたが、カードゲームを買い求める若者や、影子さんの人柄にひかれる市民が店を支えてきました。 

 しかし転機は2020年12月、夫の保(たもつ)さんが88歳でこの世を去りました。

 オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「保っていう名前だから、店名がたもちゃんってなったの」

 影子さん自身も高齢で、1人で店に立つことが難しくなり3月、店を閉める決断をしました。 

 古くからの商売仲間たちも閉店を惜しみます。

 メガネ店 店員:「小さい時から知っている。長い間、一緒だったから寂しい」

 親子であわせて60年以上通ったという常連客が店を訪れ、思い出話に花を咲かせます。

 常連客:「幼いころは、必ずミニカーを3つか4つ買った。3世代でお世話になっている。私が赤ちゃんの時から。昔持っていたこれ、買っていく。とても寂しい、寂しすぎる。寄る場所がまた一つ減りましたね」 

 子どもたちに夢を与え続けて来たオモチャのたもちゃん。 

 苦難の時代を乗り越え、長年親しまれたワケとは。
 
 オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「皆さんのおかげです。皆さんが、たもちゃんたもちゃんと言って来てくださったから続けられた」

 (Q.おもちゃが減っていくのは寂しい?)
 オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「片付けなければいけないと思うと、寂しいなんて言っていられない。健康に気をつけて、最後まで頑張りたいと思っています」

 新型コロナウイルスの終息が見えない今の時代。 

 専門店が生き残るヒントを示しています。

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