3月閉店を決めた北海道旭川市の老舗おもちゃ屋。
買物公園で唯一のおもちゃ屋は、長年親しまれてきただけに閉店を惜しむ声が上がっています。
今注目のeスポーツ。
旭川市の中心部に2月、専用の競技場がオープンしました。
その目と鼻の先に、長い歴史に幕を下ろす老舗のおもちゃ屋がありました。
「♪オモチャのたもちゃんです」
創業73年、「オモチャのたもちゃん」
店先にはレトロなゲームソフトが並び、日に焼けたカプセルトイの販売機が歴史を感じさせます。
店内をのぞくと壁を埋め尽くすように、懐かしいおもちゃから最新のゲーム機まで。
客:「あるよ300円」
オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「いいから、いいから」
客:「いいの?申し訳ないね」
オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「これ高いんだよ、木製だから。だけど箱が壊れているから480円。いいゲームだよ、遊び方知らないけど」
誰にでも明るく声をかけるのは店主の金子影子さん、88歳。
1人で店を切り盛りしています。
オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「けん玉は売れる。コロナでしょ、これは家の中でできるから体にいいしょ。お客さんがだんだん出なくなってきた。買物公園の店、あちこち閉まっているじゃない」
1972年、日本初の歩行者天国として誕生した買物公園。
多い時では8軒のおもちゃ屋が軒を連ねました。
オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「ドラクエ3の発売の時、1000本以上売った、1日で。朝来たら並んでいた。誰も並んでと言わないのに」
郊外での大型店の進出で買物公園の人通りは減少しましたが、カードゲームを買い求める若者や、影子さんの人柄にひかれる市民が店を支えてきました。
しかし転機は2020年12月、夫の保(たもつ)さんが88歳でこの世を去りました。
オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「保っていう名前だから、店名がたもちゃんってなったの」
影子さん自身も高齢で、1人で店に立つことが難しくなり3月、店を閉める決断をしました。
古くからの商売仲間たちも閉店を惜しみます。
メガネ店 店員:「小さい時から知っている。長い間、一緒だったから寂しい」
親子であわせて60年以上通ったという常連客が店を訪れ、思い出話に花を咲かせます。
常連客:「幼いころは、必ずミニカーを3つか4つ買った。3世代でお世話になっている。私が赤ちゃんの時から。昔持っていたこれ、買っていく。とても寂しい、寂しすぎる。寄る場所がまた一つ減りましたね」
子どもたちに夢を与え続けて来たオモチャのたもちゃん。
苦難の時代を乗り越え、長年親しまれたワケとは。
オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「皆さんのおかげです。皆さんが、たもちゃんたもちゃんと言って来てくださったから続けられた」
(Q.おもちゃが減っていくのは寂しい?)
オモチャのたもちゃん 店主 金子 影子さん:「片付けなければいけないと思うと、寂しいなんて言っていられない。健康に気をつけて、最後まで頑張りたいと思っています」
新型コロナウイルスの終息が見えない今の時代。
専門店が生き残るヒントを示しています。
powered by Auto Youtube Summarize