メ~テレは、交通事故に巻き込まれ、全身にやけどをした女性を4年前から取材しています。事故がなければ、“ささやかな願い”でも、彼女が叶えるまでには、長い時間がかかりました。
愛知県に住む森亜美さん(34)。15歳の長男、12歳の次男、7歳の長女、3人の子どもの母親です。
一家5人。日常は5年前の事故で奪われました。
2016年1月、亜美さんが運転するワンボックスカーに、信号無視の車が時速100キロで衝突。
亜美さんは衝撃で意識を失い、車は炎に包まれました。
一緒に乗っていた長女は、当時1歳。車が燃える前に、助け出されました。
「子どもは大声で泣いて、病院で亜美だけ(手術中で)いない。しばらくこれ夢だろうなと思って…現実と思えなかったですね」(亜美さんの夫 森常司さん)
全身の60%を火傷 病院で子ども達は母の姿に戸惑い
亜美さんは全身の60%を火傷。
2カ月経って面会ができた時、上の子2人は、戸惑いを隠せませんでした。
「2人ともびっくりして何もしゃべらんかったですね。『これがママだぞ』って言っても、2人とも無視でそっぽむいて…別人に会ってる、初めて見た人といる感覚だったですね」(常司さん)
「近くにいるけど距離感もあったし。お互いにどうしていいか分からなくて、しゃべりたいけどわかんないし」(亜美さん)
事故を起こした男は、裁判で禁錮3年10カ月の刑が確定しました。
前向きに努力する母を見て 変わっていく子ども達
事故後、ヘルパーの手を借りていた家事。
ひとつひとつ、できることを増やそうと、亜美さんは努力していました。
「やれないなと思っていたけど、やってみようと思ったらやれたんで、良かったと思って」(亜美さん)
できることが増えていく亜美さんを、子供たちは、見ていました。
「私が外に出るようになってきて、『あっ、変わってきたのかな』と多分思ってるから。徐々に子供達も安心しているのかな。それでどんどん普通になってきたのかな」
「これからも取り戻せるかなと思って。過去には戻れないけど、未来なら変えられるかなと思って」(亜美さん)
子ども達との時間をつくるため、車の運転も再開しました。
長男は中学3年生。部活でハンドボールをしています。試合や練習の送り迎えを亜美さんにお願いするようになりました。
「『学校とか送っていって』って言ってくれたことが、距離感縮まったとも思う。誰か友達とか見られてもいいんだと思って『マスクしてないけど大丈夫?化粧してないけどいい?』って、こっちが気を遣うくらいで聞くと、(長男は)『別にいいでしょ』って」(亜美さん)
増えていく家族写真 そこに母の姿は無かった
日々成長していく子供たち。
亜美さんは家の中に家族の写真を飾るようになりました。
そこに亜美さんの姿はありません。最後に5人で撮ったのは事故直前でした。
「家たてる時で事故のちょっと前なんですけど、家の地鎮祭をやって、その時に多分、揃って撮ってもらったのが最後だったかなと思いますね」(亜美さん)
再び、家族全員で写真を撮りたい。
亜美さんはその日を心待ちにしながら、今の自分にあったメイクを研究してきました。
「ママどうですか?」(化粧している亜美さんの横で長女に聞くアナウンサー)
「可愛い」(長女)
「大きくなると子供は思春期に家族と写真なんて嫌だと思うけれど、(一緒に)写ってくれたら宝物だよね」(亜美さん)
事故前以来の5人そろっての家族写真を
2021年秋、亜美さんは家族5人で出掛ける計画を立てました。
「(上の2人は)絶対来ないよね~」(常司さんと相談する亜美さん)
上の子2人は中学3年と小学6年。 一緒にきてくれるか、気がかりです。
出かける当日。玄関には、5人の姿が…
向かったのは三重県桑名市のなばなの里です。
「ミスト出てるよ!」
イルミネーションを見ながら嬉しそうに声を上げる亜美さん。
家族全員で出かけるのは3年ぶりです。
「これが今の森家です」念願の家族そろっての写真
「毎日毎日忙しくて、あっという間に過ぎていくから。今充実してるかなって思います」(亜美さん)
念願だった家族5人の写真も撮ることができました。
「もうね、そんなに距離はないと思います。縮まった。事故前と変わらないんじゃないかな。『これが今の森家です』みたいなのが分かればいいかな」(亜美さん)
(2021年12月13日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
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