「髪形も服装も自由」という、生徒の個性を尊重して校則をなくした高校が、東京・小金井市にあります。付属校ならではの授業で、大学に入学する前の“0年生”としての力を育む教育現場を取材しました。
小金井市にある中央大学付属高校の教室をのぞいてみると、そこには金髪やピアスを着けた生徒の姿もありました。木川裕一郎校長は「本校には校則らしい校則はない。何をすべきか自分で考え、理解してもらうことが自由の前提。“大学0年生”といえるのでは」と語ります。
判断力を育てる“大学0年生教育”ともいえる学校の特徴的な教育は、まず「個性を尊重し、髪形・服装なんでもOK」という点です。目に留まる生徒の見た目は、髪の色も茶髪や金髪などさまざまで、髪形や髪の色、服装も自由です。学校は身なりを個性と捉えているため、生徒たちは自分らしさを自由に表現することができます。生徒も「楽しいけど、めりはりも付けなければ。楽しむところは楽しみ、勉強するところは勉強しないといけない。自分できちんとコントロールするのは結構大変」「自分の好きな服を着られるのはモチベーションのアップにもつながる」などと話します。
さらに授業も個性的です。科目によってはスマートフォンで調べ学習をすることもあり、技術の進歩を柔軟に取り入れて効率的に授業を進めています。校則で縛り付けるのではなく、自ら判断させることで社会生活に必要な「行動力」を育てます。
そして、大学付属校ならではの強みが「大学さながらの講義」です。木川校長は「キーワードは『教養総合』。大学の教育を先取りしている部分も大きい」といいます。学校では一般的な高校が受験対策に充てる時間を、中央大学と連携して国際政治学や心理学など、専門知識を身に付ける授業に振り替えています。取材したこの日は、ドラマや映画などの映像作品を分析し、社会心理を学ぶ授業が行われていました。高校生が学ばないような領域に触れることで、“大学0年生”としての力を育みます。さらに理系クラスでは、ロボットプログラムの研究や動物の生態調査など、体験型の授業に力を入れています。この取り組みが国に評価され、東京都内では14校しかない、先進的な理数教育を推進する「スーパーサイエンスハイスクール」として認定されました。
生徒たちも「どんなことを勉強したいのかさまざまな選択肢から選び、やりたいことを勉強できる。この先、社会に出た時に役立つことを学べるのは中央大学付属ならでは」「単純に座って授業を聞くだけでなく、いろいろなことに深く言及していく。他の高校では得られない体験」などと話しています。
生徒たちの将来について、木川校長は「社会で重視されている価値とは何なのか、大学に入るまでに理解してほしい。いま置かれている場面で、どんな価値、どんなことが重要なのか、常に意識して、学ぶことの重要さに気付いてほしい」と語ります。自由な校風の中で自由に学び、変化が激しい現代で、未来を切り開く力を後押ししています。
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